10月18日、参議院の代表質問が行われ、公明党の山口那津男代表が登壇しました。山口代表は国民やマスコミに不安や懸念の声がある特定秘密保護法案について、「国民の知る権利」や「報道の自由」「取材の自由」を明記するなどの修正が、公明党の主張で実現したことを力説。さらに、特定秘密が記録された文書は公文書管理法が適用されるとし、閣議や閣僚懇談会の議事録作成を義務付けるとともに、30年の保存期間の経過後に公開するための公文書管理法改正案の早期成立を訴えました。
この質問に対し安倍首相は、「政府で必要な調整、検討を行い提出することとしたい」と、改正案の国会提出に向けた政府内の調整に入る意向を示しました。政府の最終的な意思決定の場である閣議などの内容を記録、管理する意義は大く、首相の答弁を高く評価したいと思います。
また、山口代表は、政権基盤が安定している今こそ中国や韓国との関係改善に本腰を入れて取り組む好機として、歴史認識や従軍慰安婦問題に関する「(歴代内閣の考えを引き継いでいる)安倍内閣の立場が正確に伝わるよう、丁寧に説明していくことが必要」と主張しました。
安倍首相:歴代内閣の歴史認識の歴史認識を踏襲
安倍首相は慰安婦問題について「筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々を思うと非常に心が痛む」と述べた上で、「この問題は政治問題、外交問題化させるべきではない」と指摘。「歴史の中で多くの戦争があり、女性の人権が侵害された。21世紀は人権侵害のない世紀にすることが大切で、日本としても全力を尽くす」と表明しました。さらに、日本の過去の植民地支配や侵略について「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたとの認識は安倍内閣も同じだ。歴代内閣の立場を引き継ぐ」と述べ、これまでの内閣の歴史認識を踏襲する考えを改めて示しました。
この質問に対し安倍首相は、「政府で必要な調整、検討を行い提出することとしたい」と、改正案の国会提出に向けた政府内の調整に入る意向を示しました。政府の最終的な意思決定の場である閣議などの内容を記録、管理する意義は大く、首相の答弁を高く評価したいと思います。
また、山口代表は、政権基盤が安定している今こそ中国や韓国との関係改善に本腰を入れて取り組む好機として、歴史認識や従軍慰安婦問題に関する「(歴代内閣の考えを引き継いでいる)安倍内閣の立場が正確に伝わるよう、丁寧に説明していくことが必要」と主張しました。
安倍首相:歴代内閣の歴史認識の歴史認識を踏襲
安倍首相は慰安婦問題について「筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々を思うと非常に心が痛む」と述べた上で、「この問題は政治問題、外交問題化させるべきではない」と指摘。「歴史の中で多くの戦争があり、女性の人権が侵害された。21世紀は人権侵害のない世紀にすることが大切で、日本としても全力を尽くす」と表明しました。さらに、日本の過去の植民地支配や侵略について「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたとの認識は安倍内閣も同じだ。歴代内閣の立場を引き継ぐ」と述べ、これまでの内閣の歴史認識を踏襲する考えを改めて示しました。
10月18日、公明党の山口那津男代表は、参院本会議で、安倍晋三首相の所信表明演説に対し代表質問を行いまし。要旨は次の通りです。
初めに台風26号が東京都・伊豆大島を中心に甚大な被害をもたらしております。犠牲となられた方々に深い哀悼の意を表するとともに、多くの被災者の皆さまに、心からのお見舞いを申し上げます。また、政府に対し行方不明の方々の捜索や被災された方々への支援に全力を挙げるよう求めます。
公明党と自由民主党との連立政権が発足してから約10カ月が経過しました。今夏の参院選で自民・公明の与党が勝利し、衆参のねじれが解消しました。
あらためて与党を勝利させていただいた民意を振り返れば、安定した政権の下で、着実に日本の内外に山積する課題に取り組んでもらいたいとの国民の願いがあったと思います。
それにお応えするためにも、連立政権発足の際に掲げた「経済の再生」と「東日本大震災の復興の加速」など具体的な課題に対し、与党としての重責を果たしてまいります。
政治を安定させ、積極外交も
先に私は公明党代表として10年ぶりに訪米した折、現地での講演で、公明党は日本政治の「安定装置(スタビライザー)」になると申し上げました。ここでの「安定」の意味には二つの要素があると考えます。国会において公明党は、自由民主党と共に「数の安定」を保つ、と同時に、福祉や子育て、環境、中小企業等の国民生活に密接なテーマで実績を積み重ねてきた経験・持ち味を発揮する、いわば「質の安定」の役割も十分に果たしてまいりたいと考えています。そして、安倍政権の下、自由民主党と協力しながら、力強く政治を前に進めてまいりたい。
安定した政治状況が生まれた今、公明党として外交にも積極的な役割を果たしていきたいと考えています。先の党訪米団派遣もその一環です。日米関係の重要性はアジア・太平洋地域の国際的な位置付けを考えれば一層、高まっています。その中で、政府間の関係強化はもとより、政党、議員の交流も欠かすことができません。
一方、日中関係は厳しい環境にありますが、最近、わが国の「言論NPO」がまとめた中国との共同世論調査では、相手国にマイナス印象を持つ人の割合がいずれの国も9割に達したものの、日中関係を「重要」とみる人は双方で7割を超えています。
公明党は国交正常化を進めた時から、長年にわたり中国と対話を通じた友好的な交流を継続してきました。
こうした関係を生かして日中平和友好条約締結35周年の本年1月には安倍総理の親書を携えて訪中し、習近平・中国共産党総書記と会談。9月にはこれまでの交流の財産を若い世代の議員に引き継ぐ意味からも青年訪中団を派遣致しました。
米国でも日中関係とともに日韓関係への関心は高かったのが印象的で、私は現地での講演で「韓国は基本的な価値と利益を共有する重要な隣国であり、大局的観点から協力関係を築いていきたい」と強調しました。さまざまな障害があろうとも、あくまで粘り強く、対話による日韓関係の改善を進めるべきであると考えます。
去る10月3日、日米安全保障協議委員会が開催され、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)について、2014年末までに見直しを行うことが合意されました。
宇宙・サイバー空間における新たな脅威や北朝鮮による核・ミサイル開発など、安全保障環境の変化を踏まえ、アジア太平洋地域の平和と安定のために日米が共同して責任を果たしていくことは重要な課題です。一方、わが国の役割を見直すに当たっては、その内容と必要性について、国民への十分な説明と理解を得る丁寧な議論や周辺諸国への配慮が必要です。今後、どのように見直し作業を進めていくのか、お考えを伺います。
また、同合意では、在沖縄海兵隊のグアム移転の開始時期やオスプレイの沖縄における駐留・訓練の削減など、沖縄の負担軽減に資する在日米軍の再編措置が明記されました。本年4月に合意された嘉手納以南の土地返還計画の着実な進展と合わせ、沖縄の方々が実感できる負担軽減策を前に進めることが何より重要と考えます。
隣国との関係改善
領土や歴史認識にかかる問題が障壁となり、隣国である中国、韓国との関係修復が遅れています。双方が関係悪化の原因を取り除く粘り強い対話努力が必要であり、政権基盤の安定している今こそ、本腰を入れて関係改善に取り組む好機といえます。
歴史認識については、これまで総理も、「アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた反省に立ち歴代内閣の立場を引き継ぐ考えである」と表明しており、慰安婦問題については、「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛むわけでございまして、この点についての思いは、私も歴代総理と変わりありません」と述べていらっしゃいます。こうした安倍内閣の立場が正確に伝わるよう、あらゆる場面を通じて丁寧に説明していくことが必要です。
シリア難民支援
シリアの化学兵器全廃を義務付ける国連の安保理決議を受け、化学兵器禁止機関(OPCW)による査察が始まりましたが、いまだ戦乱状態は続き、死者や難民の数は増え続け、受け入れ国の経済的社会的負担も増大しています。
国際社会としてさらなる支援が不可欠ですが、公明党としても人道支援策等を調査するため、今月1日から6日にかけ、ヨルダンやイラクなどシリア周辺国に石川博崇参院議員を派遣し難民キャンプ等の現状を調査し、関係者の意見を聴取してきました。
避難者からの切実な声を聞き、喫緊の課題として、水衛生・保健分野における支援や、子どもたちの教育環境整備、妊産婦など母子保健を含む女性支援が重要であるとの認識に至りました。また、キャンプ外で生活する避難民やシリア国内にとどまる避難民への支援も十分ではなく、さらには、受け入れ国にあって避難民の長期受け入れが深刻な水不足、電力不足を招いている状況など、課題山積です。
化学兵器の廃棄が重要であることは当然です。さらに、根本的な情勢の改善には戦闘状態の終結が必要であり、わが国としてもシリア情勢の平和的外交的解決を図るさらなる努力が必要と考えます。
その取り組みの一つとして、文化芸術の振興に力を入れることをあえて強調したい。地方には世界に誇るべき有形・無形の文化財があり、多様な文化芸術活動や伝統などがあります。
これらの文化芸術を新たな成長分野として、これまで以上に予算と人材を投入し、振興することにより、その他の多彩な観光資源と融合し、世界の人々が行き交う地方をつくり出します。こうして地方の活性化を生んで、日本経済再生につながると考えます。
スポーツ庁
公明党はかねてよりスポーツ振興政策を総合的に進めるため「スポーツ庁」の設置をめざしてきました。
2011年に成立したスポーツ基本法附則第2条には、その設置検討が盛り込まれ、安倍内閣発足の際も「スポーツ庁の創設を含め、『スポーツ立国』を実現するための諸政策を推進する」と総理から下村文部科学大臣に指示されたところです。
オリンピック・パラリンピック東京大会へ向けて、政府一体でスポーツ振興を力強く推進するとともに、高齢者や障がい者も幅広くスポーツと親しめる環境整備を進めるなど、生涯スポーツ社会構築への司令塔として、スポーツ庁の設置を期待しますが、総理の所見を伺います。
われわれも消費税率引き上げ判断の前提となる「経済状況が好転しているかどうか」「社会保障の全体像が示されているかどうか」―この2点について検討を行い、了承しました。
経済状況については、対外リスクなど先行きに不透明さがあるものの、4〜6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で3.8%に改善、日銀短観における全産業・全規模合計の景況感は5年10カ月ぶりにプラスに転じたほか、雇用の面でも回復がみられるなど、本格的な経済成長への好循環に向かう兆しが見て取れると判断しました。
社会保障の全体像については、消費税の税収は地方消費税の一部を除いて、年金、医療、介護、子ども・子育て支援の社会保障に全て充てられるということが既に決定されています。また「社会保障制度改革国民会議」の報告書を基に、制度の工程を示す「社会保障プログラム法案」が国会に提出されています。昨年の一体改革の議論の中で、子ども・子育て支援と当面の年金改革については、関係法律が既に成立し一定の方向性が示されました。その上で、残された医療や介護についての基本的な方向性が同法案に盛られており、社会保障改革の全体像はおよそ示されたものと判断しました。
とはいえ、日本経済の本格的な成長への軌道は緒に就いたばかりであります。特に、われわれは成長の果実を家計へ、地方へ、中小・小規模企業へといかに浸透させていくかが最も重要だと認識しており、政権の一翼を担う公明党として、政府と共に全力を挙げていく所存であることをまず表明させていただきます。
さて、今回の引き上げ決定に際し、税制を含め5兆円規模の経済対策を行うこととなりましたが、3党合意に立ち返りますと、残された課題として消費税の逆進性対策をどうするかという大きな問題があります。
マスコミの世論調査においても、10%段階からの食料品をはじめとする日常必需品への軽減税率を求める国民の声が7割に及ぶなど、一時的な給付措置ではなく、抜本的、恒久的な対応を講ずべきとする声が高まってきています。
自民党と公明党は既に消費税10%への引き上げ時に軽減税率制度の導入をめざすことで合意をしており、与党の税制調査会で精力的にヒアリング調査などを進めているところです。今年末の税制改正大綱作成時に向けて軽減税率の導入の議論をさらに加速化し、制度設計の基本を明確にしてまいりたいと考えます。
難 病
公明党はかねてより、難病で苦しむ方々を社会で支える体制を築くべく、対策の抜本改革を主張してきました。
「プログラム法案」では、恒久的な医療費助成、対象疾患の拡大、対象患者の認定基準の見直しについて、検討の上、来年の法案提出をめざすとされ、厚生労働省の難病対策委員会でも改革についての議論が進められています。
今後の検討では、患者の方々の実態を踏まえ、真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られないよう留意すべきです。
難病対策は、安定的な財源を確保した上で、医療体制の整備や治療方法の研究促進も含め総合的に推進すべきと考えます。
雇 用
少子高齢化が進む日本では「支え手」の人々の雇用拡大は最重要課題の一つであり、元気な高齢者や若者、女性、障がい者など、希望者が能力に応じて働ける「全員参加型社会」の構築が不可欠です。
また、社会全体が経済回復を実感し、経済の好循環を生み出すためには、企業収益を賃金上昇や雇用拡大に反映することが必要であり、「政労使会議」における実りある議論を期待します。
共働き世帯や単身世帯の増加など、国民のライフスタイルも多様化しており、正社員か非正規かというこれまでの二元的な考え方を脱却し、多様な働き方を選択できる社会の構築が求められています。
非正規雇用から正社員への転換が進みにくい中、多元的な働き方の拡大はキャリアアップの一里塚との見方もありますが、働く人の視点に立ち、適切に進めるべきです。
なお、雇用政策の課題の一つである労働者派遣制度の在り方については、雇用の安定と労働者の保護、中小企業等の労働力確保の観点も踏まえて議論すべきと考えます。
先月、厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる企業への集中的な監督指導、全国一斉の電話相談、職場のパワーハラスメントに関する啓発を実施しました。この問題は公明党もかねてから憂慮しており、「若年労働者に対して劣悪な労務環境下で仕事を強いる企業への対策強化」を訴えてきました。本年6月には、公明党青年委員会が同対策を含む政策提言を総理に直接申し入れたところです。
未来ある若者が安心して働けるよう、今回の取り組みの結果を検証し、さらに対策を進めるべきと考えます。
社会保障の「担い手」となる人々の雇用を拡大し、日本経済を成長軌道に乗せるべく、多様な働き方を選択できる社会、安心して働ける社会の実現に向け、着実に取り組みを進めるべきと考えます。
連立政権の発足から約10カ月、総理の強いリーダーシップの下、この間、さまざまな施策が講じられる中、復興を阻む隘路も徐々に克服され、被災地の方々からは、政権交代により復興のスピード感が上がってきたとの声も聞かれるようになりました。確かに一部の被災地で企業立地や雇用確保、住宅再建の面などに明るい兆しが見えつつあるように感じます。
しかし、仮設住宅などで厳しい生活を余儀なくされている被災者の現状や福島の再生に暗い影を落としている汚染水問題、除染の遅れや災害公営住宅の不足などの課題に目を向ける時、5年という集中復興期間の半ばを経過した今、より一層復興の速度を増し、きめの細かい支援、力強い対策の推進が必要です。
原発事故の賠償
現在、帰宅困難な長期避難者が所有する家屋に対する賠償の上積み額や、避難指示区域の住民への区域解除後の精神的損害に対する賠償期間などについて議論が進められています。いずれも年内に取りまとめ、それらを反映した新たな指針をつくる方針と聞いておりますが、一日も早く長期避難者の住宅再建、生活再建への不安が解消されるよう、避難者の実情や要望を踏まえた新しい指針を早期に策定し、新たな賠償を開始すべきと考えます。
加えて、被災者から要望の強い、田畑や山林の賠償、自主除染への賠償などの「賠償の指針」も、速やかに検討を始める必要があります。
また、特定秘密が記録されている文書の取り扱いも、公明党の求めに応じ、他の行政文書と同様に公文書管理法を適用することとなりました。
この公文書管理法については、公文書等が国および独立行政法人等の諸活動や歴史的事実を記録するものであり、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産として主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、国民主権の理念にのっとり、その諸活動を国民に説明する責務を全うすべく、より適切な管理を図ることが必要であると考えます。
そこで、内閣の最高かつ最終的な意思決定の場である閣議やこれに準ずる閣僚懇談会につきましては、その内容を記録し、利用を確保することが公文書管理制度の目的に照らし重要であることから、閣議や閣僚懇談会の議事録の作成を義務付けるとともに、30年の保存期間が満了した後は、国立公文書館の設置する公文書館に移管し、一般の利用に供することができることを内容とする公文書管理法の改正案を早急に成立させることが重要であると考えます。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会は先日、第5次報告書を発表しました。6年ぶりとなった今回の報告書は、さまざまな批判や懐疑論を踏まえた上で、世界の気候学者らがあらためて温暖化の進行と脅威を確認した点で意義が大きいと言われています。
近年、猛暑や豪雨など異常気象が頻発し、温暖化はもはや現実の脅威です。世界各国が足並みをそろえて温室効果ガスの削減に取り組むことが急務であり、わが国も必要な対策を講じる責任があります。ところが、わが国の20年までの削減目標は、東日本大震災等により見直しを余儀なくされており、先進国と主要排出国の中で20年までの削減目標を示していないのは、わが国のみになっています。
来月にはCOP19が開催され、20年以降の温暖化対策の法的枠組みについて、再来年中の合意をめざして、交渉がいよいよ本格化します。また、来年9月には、地球温暖化に関する首脳会議も開催される予定です。そうした中、わが国の温暖化対策の在り方が厳しく問われてくることは間違いありません。
政府では、わが国の削減目標について、原子力発電所の稼働がゼロであるという事態の中で、どれだけのことを示すことができるのか、環境、経産、外務の3省で議論を進めていると聞いております。
公明党は、少なくとも省エネルギーや再生可能エネルギーなどの分野で最大限の努力を行う削減目標を決定し、それを盛り込んだ地球温暖化対策計画を閣議決定し、COP19に臨むべきだと考えます。
高校無償化見直し
高校授業料の無償化制度は導入の時からさまざまな問題点が指摘されていました。
例えば、無償化以前から授業料が全額免除されていた低所得者層には恩恵が及ばないことや、無償化の財源を捻出するために特定扶養控除が縮減され、もともと授業料が安かった特別支援学校や定時制・通信制高校の生徒がいる世帯では、負担増を強いられたことなどです。また、私学に進学した高校生の家庭の経済的負担が依然重く、都道府県で支援の状況が大きく異なっていることも課題でした。
施行後3年を迎えた制度の見直しでは、低所得者層への支援や公私間の教育費格差の是正、特定扶養控除縮減への対応など、一層の支援の充実を図るため、それに要する財源と負担をお願いできる世帯の範囲とのバランスを考慮しつつ、自公両党で協議を重ね、所得制限の基準額ならびに教育費負担の軽減のための具体的施策を確認しました。
その一つとして、公明党が主張してきた「給付型奨学金」の創設も盛り込まれましたが、今回の見直しの方向性についてのご認識を伺います。
教育委員会制度
経済再生と並ぶ最重要課題として、教育の再生を掲げる安倍総理が設置した教育再生実行会議ではこれまで3次にわたる提言がされています。
第2次提言となった教育委員会制度の在り方については現在、中央教育審議会に諮問、教育制度分科会で審議されており、10月11日の審議経過報告では教育行政の執行機関を現在の教育委員会から、自治体の首長とする案と、現行通り教育委員会とするがその性格を変えた執行機関とする案が提示されました。
現在の教育委員会制度は、責任の所在が不明確、委員会の役割が形骸化しているなどの批判も多く、見直しが必要なことは言うまでもありませんが、教育の政治的中立性・継続性の確保という教育委員会制度の本来の意義が損なわれることがあってはならないと考えます。
民法等改正
非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分と定める民法の規定について9月に最高裁が違憲判決を下しました。審理に加わった14人の裁判官全員が「違憲」と判断しており、司法の強い決意を立法府である国会に示したものといえます。
また、戸籍法では出生届に、嫡出子かまたは非嫡出子であるかを記入するよう義務付けていますが、最高裁は、憲法に違反しないものの、自治体の事務処理上、不可欠とは言えないと指摘しました。
関連して、寡婦控除について婚姻歴のない母親は適用外であるとの問題もあります。
憲法は「法の下の平等」を保障しています。民法、戸籍法の改正を含め、こうした差別の解消に取り組むべきと考えます。
最後に一言申し上げます。
公明党は明年11月、結党から50周年を迎えます。公明党は結党以来、「大衆とともに」の立党精神に立脚して政治に処してきました。その立党精神をさらに堅持し、どこまでも深く地域に根差し、国民の皆さまの声なき声に耳をそばだて、不安を取り除き、安心と希望の道を示す。それこそが政治に携わる者のあるべき姿であると自らに言い聞かせ、これからもさまざまな課題に真摯に挑み続けていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
初めに台風26号が東京都・伊豆大島を中心に甚大な被害をもたらしております。犠牲となられた方々に深い哀悼の意を表するとともに、多くの被災者の皆さまに、心からのお見舞いを申し上げます。また、政府に対し行方不明の方々の捜索や被災された方々への支援に全力を挙げるよう求めます。
公明党と自由民主党との連立政権が発足してから約10カ月が経過しました。今夏の参院選で自民・公明の与党が勝利し、衆参のねじれが解消しました。
あらためて与党を勝利させていただいた民意を振り返れば、安定した政権の下で、着実に日本の内外に山積する課題に取り組んでもらいたいとの国民の願いがあったと思います。
それにお応えするためにも、連立政権発足の際に掲げた「経済の再生」と「東日本大震災の復興の加速」など具体的な課題に対し、与党としての重責を果たしてまいります。
政治を安定させ、積極外交も
先に私は公明党代表として10年ぶりに訪米した折、現地での講演で、公明党は日本政治の「安定装置(スタビライザー)」になると申し上げました。ここでの「安定」の意味には二つの要素があると考えます。国会において公明党は、自由民主党と共に「数の安定」を保つ、と同時に、福祉や子育て、環境、中小企業等の国民生活に密接なテーマで実績を積み重ねてきた経験・持ち味を発揮する、いわば「質の安定」の役割も十分に果たしてまいりたいと考えています。そして、安倍政権の下、自由民主党と協力しながら、力強く政治を前に進めてまいりたい。
安定した政治状況が生まれた今、公明党として外交にも積極的な役割を果たしていきたいと考えています。先の党訪米団派遣もその一環です。日米関係の重要性はアジア・太平洋地域の国際的な位置付けを考えれば一層、高まっています。その中で、政府間の関係強化はもとより、政党、議員の交流も欠かすことができません。
一方、日中関係は厳しい環境にありますが、最近、わが国の「言論NPO」がまとめた中国との共同世論調査では、相手国にマイナス印象を持つ人の割合がいずれの国も9割に達したものの、日中関係を「重要」とみる人は双方で7割を超えています。
公明党は国交正常化を進めた時から、長年にわたり中国と対話を通じた友好的な交流を継続してきました。
こうした関係を生かして日中平和友好条約締結35周年の本年1月には安倍総理の親書を携えて訪中し、習近平・中国共産党総書記と会談。9月にはこれまでの交流の財産を若い世代の議員に引き継ぐ意味からも青年訪中団を派遣致しました。
米国でも日中関係とともに日韓関係への関心は高かったのが印象的で、私は現地での講演で「韓国は基本的な価値と利益を共有する重要な隣国であり、大局的観点から協力関係を築いていきたい」と強調しました。さまざまな障害があろうとも、あくまで粘り強く、対話による日韓関係の改善を進めるべきであると考えます。
外交・安全保障
日米関係去る10月3日、日米安全保障協議委員会が開催され、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)について、2014年末までに見直しを行うことが合意されました。
宇宙・サイバー空間における新たな脅威や北朝鮮による核・ミサイル開発など、安全保障環境の変化を踏まえ、アジア太平洋地域の平和と安定のために日米が共同して責任を果たしていくことは重要な課題です。一方、わが国の役割を見直すに当たっては、その内容と必要性について、国民への十分な説明と理解を得る丁寧な議論や周辺諸国への配慮が必要です。今後、どのように見直し作業を進めていくのか、お考えを伺います。
また、同合意では、在沖縄海兵隊のグアム移転の開始時期やオスプレイの沖縄における駐留・訓練の削減など、沖縄の負担軽減に資する在日米軍の再編措置が明記されました。本年4月に合意された嘉手納以南の土地返還計画の着実な進展と合わせ、沖縄の方々が実感できる負担軽減策を前に進めることが何より重要と考えます。
隣国との関係改善
領土や歴史認識にかかる問題が障壁となり、隣国である中国、韓国との関係修復が遅れています。双方が関係悪化の原因を取り除く粘り強い対話努力が必要であり、政権基盤の安定している今こそ、本腰を入れて関係改善に取り組む好機といえます。
歴史認識については、これまで総理も、「アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた反省に立ち歴代内閣の立場を引き継ぐ考えである」と表明しており、慰安婦問題については、「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛むわけでございまして、この点についての思いは、私も歴代総理と変わりありません」と述べていらっしゃいます。こうした安倍内閣の立場が正確に伝わるよう、あらゆる場面を通じて丁寧に説明していくことが必要です。
シリア難民支援
シリアの化学兵器全廃を義務付ける国連の安保理決議を受け、化学兵器禁止機関(OPCW)による査察が始まりましたが、いまだ戦乱状態は続き、死者や難民の数は増え続け、受け入れ国の経済的社会的負担も増大しています。
国際社会としてさらなる支援が不可欠ですが、公明党としても人道支援策等を調査するため、今月1日から6日にかけ、ヨルダンやイラクなどシリア周辺国に石川博崇参院議員を派遣し難民キャンプ等の現状を調査し、関係者の意見を聴取してきました。
避難者からの切実な声を聞き、喫緊の課題として、水衛生・保健分野における支援や、子どもたちの教育環境整備、妊産婦など母子保健を含む女性支援が重要であるとの認識に至りました。また、キャンプ外で生活する避難民やシリア国内にとどまる避難民への支援も十分ではなく、さらには、受け入れ国にあって避難民の長期受け入れが深刻な水不足、電力不足を招いている状況など、課題山積です。
化学兵器の廃棄が重要であることは当然です。さらに、根本的な情勢の改善には戦闘状態の終結が必要であり、わが国としてもシリア情勢の平和的外交的解決を図るさらなる努力が必要と考えます。
2020年東京五輪
2020年のオリンピック・パラリンピック夏季競技大会の東京開催が決定しました。開催成功はもとより、元気な日本社会へと変革する取り組みをオールジャパンで推進することが重要です。その取り組みの一つとして、文化芸術の振興に力を入れることをあえて強調したい。地方には世界に誇るべき有形・無形の文化財があり、多様な文化芸術活動や伝統などがあります。
これらの文化芸術を新たな成長分野として、これまで以上に予算と人材を投入し、振興することにより、その他の多彩な観光資源と融合し、世界の人々が行き交う地方をつくり出します。こうして地方の活性化を生んで、日本経済再生につながると考えます。
スポーツ庁
公明党はかねてよりスポーツ振興政策を総合的に進めるため「スポーツ庁」の設置をめざしてきました。
2011年に成立したスポーツ基本法附則第2条には、その設置検討が盛り込まれ、安倍内閣発足の際も「スポーツ庁の創設を含め、『スポーツ立国』を実現するための諸政策を推進する」と総理から下村文部科学大臣に指示されたところです。
オリンピック・パラリンピック東京大会へ向けて、政府一体でスポーツ振興を力強く推進するとともに、高齢者や障がい者も幅広くスポーツと親しめる環境整備を進めるなど、生涯スポーツ社会構築への司令塔として、スポーツ庁の設置を期待しますが、総理の所見を伺います。
消費税
厳しい財政状況の下、一層本格化する少子高齢化・人口減少社会にあって社会保障の費用を安定的に確保し、将来にわたって持続可能な社会保障制度を維持・強化していくことを目的に、昨年の3党合意を受けて立法化した社会保障と税の一体改革に基づき、安倍総理は法律通り、明年4月1日から消費税率を、5%から8%へと引き上げる決断をされました。われわれも消費税率引き上げ判断の前提となる「経済状況が好転しているかどうか」「社会保障の全体像が示されているかどうか」―この2点について検討を行い、了承しました。
経済状況については、対外リスクなど先行きに不透明さがあるものの、4〜6月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で3.8%に改善、日銀短観における全産業・全規模合計の景況感は5年10カ月ぶりにプラスに転じたほか、雇用の面でも回復がみられるなど、本格的な経済成長への好循環に向かう兆しが見て取れると判断しました。
社会保障の全体像については、消費税の税収は地方消費税の一部を除いて、年金、医療、介護、子ども・子育て支援の社会保障に全て充てられるということが既に決定されています。また「社会保障制度改革国民会議」の報告書を基に、制度の工程を示す「社会保障プログラム法案」が国会に提出されています。昨年の一体改革の議論の中で、子ども・子育て支援と当面の年金改革については、関係法律が既に成立し一定の方向性が示されました。その上で、残された医療や介護についての基本的な方向性が同法案に盛られており、社会保障改革の全体像はおよそ示されたものと判断しました。
とはいえ、日本経済の本格的な成長への軌道は緒に就いたばかりであります。特に、われわれは成長の果実を家計へ、地方へ、中小・小規模企業へといかに浸透させていくかが最も重要だと認識しており、政権の一翼を担う公明党として、政府と共に全力を挙げていく所存であることをまず表明させていただきます。
さて、今回の引き上げ決定に際し、税制を含め5兆円規模の経済対策を行うこととなりましたが、3党合意に立ち返りますと、残された課題として消費税の逆進性対策をどうするかという大きな問題があります。
マスコミの世論調査においても、10%段階からの食料品をはじめとする日常必需品への軽減税率を求める国民の声が7割に及ぶなど、一時的な給付措置ではなく、抜本的、恒久的な対応を講ずべきとする声が高まってきています。
自民党と公明党は既に消費税10%への引き上げ時に軽減税率制度の導入をめざすことで合意をしており、与党の税制調査会で精力的にヒアリング調査などを進めているところです。今年末の税制改正大綱作成時に向けて軽減税率の導入の議論をさらに加速化し、制度設計の基本を明確にしてまいりたいと考えます。
社会保障改革
社会保障制度改革国民会議の報告書、ならびに「プログラム法案」については、介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らせるための地域包括ケアシステムの構築や、医療保険制度の財政基盤の安定化など充実のメニューが列挙されていることと並び、注目されるのは、「難病対策」が明記されたことです。難 病
公明党はかねてより、難病で苦しむ方々を社会で支える体制を築くべく、対策の抜本改革を主張してきました。
「プログラム法案」では、恒久的な医療費助成、対象疾患の拡大、対象患者の認定基準の見直しについて、検討の上、来年の法案提出をめざすとされ、厚生労働省の難病対策委員会でも改革についての議論が進められています。
今後の検討では、患者の方々の実態を踏まえ、真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られないよう留意すべきです。
難病対策は、安定的な財源を確保した上で、医療体制の整備や治療方法の研究促進も含め総合的に推進すべきと考えます。
雇 用
少子高齢化が進む日本では「支え手」の人々の雇用拡大は最重要課題の一つであり、元気な高齢者や若者、女性、障がい者など、希望者が能力に応じて働ける「全員参加型社会」の構築が不可欠です。
また、社会全体が経済回復を実感し、経済の好循環を生み出すためには、企業収益を賃金上昇や雇用拡大に反映することが必要であり、「政労使会議」における実りある議論を期待します。
共働き世帯や単身世帯の増加など、国民のライフスタイルも多様化しており、正社員か非正規かというこれまでの二元的な考え方を脱却し、多様な働き方を選択できる社会の構築が求められています。
非正規雇用から正社員への転換が進みにくい中、多元的な働き方の拡大はキャリアアップの一里塚との見方もありますが、働く人の視点に立ち、適切に進めるべきです。
なお、雇用政策の課題の一つである労働者派遣制度の在り方については、雇用の安定と労働者の保護、中小企業等の労働力確保の観点も踏まえて議論すべきと考えます。
先月、厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる企業への集中的な監督指導、全国一斉の電話相談、職場のパワーハラスメントに関する啓発を実施しました。この問題は公明党もかねてから憂慮しており、「若年労働者に対して劣悪な労務環境下で仕事を強いる企業への対策強化」を訴えてきました。本年6月には、公明党青年委員会が同対策を含む政策提言を総理に直接申し入れたところです。
未来ある若者が安心して働けるよう、今回の取り組みの結果を検証し、さらに対策を進めるべきと考えます。
社会保障の「担い手」となる人々の雇用を拡大し、日本経済を成長軌道に乗せるべく、多様な働き方を選択できる社会、安心して働ける社会の実現に向け、着実に取り組みを進めるべきと考えます。
震災からの復興
被災地の方々は、震災から、間もなく3度目の冬を迎えようとしています。連立政権の発足から約10カ月、総理の強いリーダーシップの下、この間、さまざまな施策が講じられる中、復興を阻む隘路も徐々に克服され、被災地の方々からは、政権交代により復興のスピード感が上がってきたとの声も聞かれるようになりました。確かに一部の被災地で企業立地や雇用確保、住宅再建の面などに明るい兆しが見えつつあるように感じます。
しかし、仮設住宅などで厳しい生活を余儀なくされている被災者の現状や福島の再生に暗い影を落としている汚染水問題、除染の遅れや災害公営住宅の不足などの課題に目を向ける時、5年という集中復興期間の半ばを経過した今、より一層復興の速度を増し、きめの細かい支援、力強い対策の推進が必要です。
原発事故の賠償
現在、帰宅困難な長期避難者が所有する家屋に対する賠償の上積み額や、避難指示区域の住民への区域解除後の精神的損害に対する賠償期間などについて議論が進められています。いずれも年内に取りまとめ、それらを反映した新たな指針をつくる方針と聞いておりますが、一日も早く長期避難者の住宅再建、生活再建への不安が解消されるよう、避難者の実情や要望を踏まえた新しい指針を早期に策定し、新たな賠償を開始すべきと考えます。
加えて、被災者から要望の強い、田畑や山林の賠償、自主除染への賠償などの「賠償の指針」も、速やかに検討を始める必要があります。
特定秘密保護法案
現在、政府で提出を予定している特定秘密保護法案について、公明党の求めに応じ、「国民の知る権利」や「報道の自由」「取材の自由」を明記すること、取材行為については「専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」という規定を盛り込むことなどの修正がなされました。また、特定秘密が記録されている文書の取り扱いも、公明党の求めに応じ、他の行政文書と同様に公文書管理法を適用することとなりました。
この公文書管理法については、公文書等が国および独立行政法人等の諸活動や歴史的事実を記録するものであり、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産として主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、国民主権の理念にのっとり、その諸活動を国民に説明する責務を全うすべく、より適切な管理を図ることが必要であると考えます。
そこで、内閣の最高かつ最終的な意思決定の場である閣議やこれに準ずる閣僚懇談会につきましては、その内容を記録し、利用を確保することが公文書管理制度の目的に照らし重要であることから、閣議や閣僚懇談会の議事録の作成を義務付けるとともに、30年の保存期間が満了した後は、国立公文書館の設置する公文書館に移管し、一般の利用に供することができることを内容とする公文書管理法の改正案を早急に成立させることが重要であると考えます。
環境、教育、民法等
環 境国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会は先日、第5次報告書を発表しました。6年ぶりとなった今回の報告書は、さまざまな批判や懐疑論を踏まえた上で、世界の気候学者らがあらためて温暖化の進行と脅威を確認した点で意義が大きいと言われています。
近年、猛暑や豪雨など異常気象が頻発し、温暖化はもはや現実の脅威です。世界各国が足並みをそろえて温室効果ガスの削減に取り組むことが急務であり、わが国も必要な対策を講じる責任があります。ところが、わが国の20年までの削減目標は、東日本大震災等により見直しを余儀なくされており、先進国と主要排出国の中で20年までの削減目標を示していないのは、わが国のみになっています。
来月にはCOP19が開催され、20年以降の温暖化対策の法的枠組みについて、再来年中の合意をめざして、交渉がいよいよ本格化します。また、来年9月には、地球温暖化に関する首脳会議も開催される予定です。そうした中、わが国の温暖化対策の在り方が厳しく問われてくることは間違いありません。
政府では、わが国の削減目標について、原子力発電所の稼働がゼロであるという事態の中で、どれだけのことを示すことができるのか、環境、経産、外務の3省で議論を進めていると聞いております。
公明党は、少なくとも省エネルギーや再生可能エネルギーなどの分野で最大限の努力を行う削減目標を決定し、それを盛り込んだ地球温暖化対策計画を閣議決定し、COP19に臨むべきだと考えます。
高校無償化見直し
高校授業料の無償化制度は導入の時からさまざまな問題点が指摘されていました。
例えば、無償化以前から授業料が全額免除されていた低所得者層には恩恵が及ばないことや、無償化の財源を捻出するために特定扶養控除が縮減され、もともと授業料が安かった特別支援学校や定時制・通信制高校の生徒がいる世帯では、負担増を強いられたことなどです。また、私学に進学した高校生の家庭の経済的負担が依然重く、都道府県で支援の状況が大きく異なっていることも課題でした。
施行後3年を迎えた制度の見直しでは、低所得者層への支援や公私間の教育費格差の是正、特定扶養控除縮減への対応など、一層の支援の充実を図るため、それに要する財源と負担をお願いできる世帯の範囲とのバランスを考慮しつつ、自公両党で協議を重ね、所得制限の基準額ならびに教育費負担の軽減のための具体的施策を確認しました。
その一つとして、公明党が主張してきた「給付型奨学金」の創設も盛り込まれましたが、今回の見直しの方向性についてのご認識を伺います。
教育委員会制度
経済再生と並ぶ最重要課題として、教育の再生を掲げる安倍総理が設置した教育再生実行会議ではこれまで3次にわたる提言がされています。
第2次提言となった教育委員会制度の在り方については現在、中央教育審議会に諮問、教育制度分科会で審議されており、10月11日の審議経過報告では教育行政の執行機関を現在の教育委員会から、自治体の首長とする案と、現行通り教育委員会とするがその性格を変えた執行機関とする案が提示されました。
現在の教育委員会制度は、責任の所在が不明確、委員会の役割が形骸化しているなどの批判も多く、見直しが必要なことは言うまでもありませんが、教育の政治的中立性・継続性の確保という教育委員会制度の本来の意義が損なわれることがあってはならないと考えます。
民法等改正
非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分と定める民法の規定について9月に最高裁が違憲判決を下しました。審理に加わった14人の裁判官全員が「違憲」と判断しており、司法の強い決意を立法府である国会に示したものといえます。
また、戸籍法では出生届に、嫡出子かまたは非嫡出子であるかを記入するよう義務付けていますが、最高裁は、憲法に違反しないものの、自治体の事務処理上、不可欠とは言えないと指摘しました。
関連して、寡婦控除について婚姻歴のない母親は適用外であるとの問題もあります。
憲法は「法の下の平等」を保障しています。民法、戸籍法の改正を含め、こうした差別の解消に取り組むべきと考えます。
最後に一言申し上げます。
公明党は明年11月、結党から50周年を迎えます。公明党は結党以来、「大衆とともに」の立党精神に立脚して政治に処してきました。その立党精神をさらに堅持し、どこまでも深く地域に根差し、国民の皆さまの声なき声に耳をそばだて、不安を取り除き、安心と希望の道を示す。それこそが政治に携わる者のあるべき姿であると自らに言い聞かせ、これからもさまざまな課題に真摯に挑み続けていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
山口代表に対する安倍首相の答弁(要旨)
- (スポーツ庁の設置について)オリンピック・パラリンピック東京大会に向け、障がい者スポーツも含め、スポーツ振興を図ることが重要だ。障がい者スポーツについては来年度から、パラリンピックなどに関する事業を文部科学省で一体的に実施する予定だ。政府として総合的・一体的なスポーツ推進の観点から、引き続きスポーツ庁の設置について検討を進める。
- (雇用の拡大について)個人のライフスタイルや希望が多様化する中、柔軟で多様な働き方を可能とするとともに、労働環境の改善を図っていくことが重要であり、非正規雇用のキャリアアップなどの取り組みや若者の就労支援などを進めていく。今後も、女性、若者を含め、頑張る人たちの雇用の拡大をめざす。
- (原発事故の損害賠償について)被災者の方々の一日も早い生活再建に向け、迅速、公平、適切になされることが必要と考えている。
- (公文書管理法の改正について)閣議の議事録を作成し一定期間、経過後に公開するための公文書管理法改正案については明治以来、議事録を作成してこなかった閣議の在り方とも関わる問題であるため、政府部内で必要な調整、検討を行った上で提出したいと考えている。
- (法律上結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子に対する差別解消に向けた取り組みについて)最高裁判所の違憲判決の趣旨を踏まえ、まず嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1としている民法の規定について見直しを検討している。