10月22日、県議会決算特別委員会が開かれ、茨城県公営企業(茨城県企業局や病院局、土木部の流域下水道事業)の平成24年度決算認定に関わる審議が行われました。
 井手よしひろ県議は、医療機関の“損税”問題について質問しました。
 医療費(社会保険診療に関わる医療費、保険外診療は除く)は消費税が非課税となっています。しかし、医療機関が診療を行うために仕入れる医薬品や設備などには消費税が賦課されています。つまり、診療を行うための仕入れにかかった消費税を患者さんからいただくことはできず、その分は医療機関が負担しています。これを医療機関の“損税”問題と呼んでいます。
 このため、国では、消費税導入時や税率引き上げの際に、この医療機関負担となる消費税について、診療報酬に一部上乗せを行い、対応してきました。しかし、その額は、十分ではなく、医療機関の大きな負担となっています。
 消費税については、社会保障の安定財源の確保などを図る税制の抜本的な改革を行うため、その税率が来年4月に現行の5%から8%、そして、平成27年10月には10%に引き上げられることになっています。
 改正消費税法では、医療機関の消費税負担分は診療報酬などで手当てをするということにされていますが、その議論は未だに具体化していません。
8%引き上げ時に、県立3病院で6億2000万円強の負担
 22日の決算特別委員会の議論では、掲載した資料のように、現在県立3病院では平成24年決算ベースで、3億8768万円あまりの“損税”が発生しています。8%引き上げ時には6億2028万円(増加額2億3260万円)、10%引き上げ時には7億7553万円(3億8767万円)に上るとの試算が、病院局から明らかにされました。
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 これを医療収益と比べてみると、単純計算で診療報酬を8%引き上げ時に1.2%、10%時には2.1%も引き上げることが必要になります。
 診療報酬はそのまま患者さんの負担増になりますので、このような大幅な診療報酬引き上げは困難と考えられます。
 国では、8%への税率引き上げの際には抜本的な制度改正は行わず、従来のような診療報酬改定により一部対応とするとしています。現状の仕組みのまま消費税率が引き上げられると、医療機関の収益はさらに圧迫され、経営基盤が弱体化し、医療の崩壊につながりかねません。
 軽減税率の導入など、医療に関する消費税の見直しを早急に行う必要があります。