特定疾患治療研究事業疾患別受給者数の推移
医療費助成の認定基準きめ細かく
 10月18日、山口那津男公明党代表は参院代表質問に登壇し、難病対策について言及。「公明党はかねてより、難病で苦しむ方々を社会で支える体制を築くべく、対策の抜本改革を主張してきました。“プログラム法案”では、恒久的な医療費助成、対象疾患の拡大、対象患者の認定基準の見直しについて、検討の上、来年の法案提出をめざすとされ、厚生労働省の難病対策委員会でも改革についての議論が進められています。今後の検討では、患者の方々の実態を踏まえ、真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られないよう留意すべきです。難病対策は、安定的な財源を確保した上で、医療体制の整備や治療方法の研究促進も含め総合的に推進すべきと考えます」と訴えました。
 公明党は、難病で苦しむ人を社会で支える体制を築くため、対策の抜本改革を主張してきました。1972年に国が難病対策の指針となる「難病対策要綱」を制定して以来、41年ぶりに抜本的な制度見直しが動き出すことになります。
 難病とは、原因が不明で、その治療方法が未だに見つかっていない病気です。現時点で300疾患もあります。そして、治療が極めて困難でかつ医療費が高額とされる56疾患の患者約80万人に対して、医療費助成を行っています。この医療費助成の事業費は、平成15年度に685億円でしたが、平成25年度には1342億円と10年で倍増しています。
 現在、新たな難病も発生しており、様々な支援を必要としている難病患者は年々増えております。
 厚生労働省は、難病患者の医療費助成について、来年の通常国会に新法を提出する予定です。対象疾患を現在の56から300以上に大幅拡大するなど、総合的な対策を盛り込んだ新制度を来年度中にスタートさせる方針です。
 限られた難病対策予算の中で、医療費助成の対象疾患を増やすためには、同じ難病の患者でも特に症状が重い方々に対象者を絞らざるを得ません。厚労省の難病対策委員会に示された新制度の素案によると、症状を5段階に分類し、3段階以上の方を支援の対象者とすることになります。新規認定者には一定の自己負担を求めます。既認定者は、これまでの給付水準を考慮し、別途の対応を考えるという内容です。
 医療費の自己負担割合を2割とし、現在の原則3割(70歳未満)から引き下げます。月額の上限は、住民税の非課税世帯で8000円、年収約3700万円までの世帯で1万2000円、約370万円を超す世帯で4万4400円を目安にする案を示しています。
 しかし、この案は、実態を細かく掌握しているとはいえません。医療費助成を受けるための認定基準は、慎重な上にも慎重な検討が必要です。まずは、必要な予算の確保が先決であり、公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築に取り組むべきです。
 医療費助成を必要としている人の支援が打ち切られたり、負担の増加は絶対に許されません。難病患者は、長期間の療養生活を強いられるため、働いて収入を得ることが難しい人が多いからです。
 一方、難病に苦しむ子どもの多くが、20歳に達すると、公費助成を打ち切られている。成人後も必要な支援が受けられるよう、切れ目のない支援の在り方を検討し、制度の充実を進めるべきです。
 安倍晋三首相は今国会の所信表明演説で「難病から回復して再び総理大臣となった私にとって、難病対策はライフワークとも呼ぶべき仕事」と答弁しました。この発言を具体的な政策に反映してもらいたいと思います。