参議院本会議の模様　良識の府・参議院が揺れています。園遊会で天皇陛下に私信を渡した山本太郎議員。「自己責任だ」と捨て台詞を残して国会開会中に国交のない北朝鮮に渡航したアントニオ猪木議員。この大人げない二人の行為を見た国民は、特に彼らに一方を投じた有権者は何を感じているでしょうか？

　特に山本太郎議員は、反原発との思いを託した多くの東京都民の期待を見事に裏切りました。単に、原発反対と訴えるだけであれば、国会議員でなくても出来ます。一般の国民が、国民の権利である請願権を行使して、国に訴えるのであれば、憲法の精神に合致しています。もっとも請願法・第三条には、「天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない」と規定されていますから、天皇陛下に直接、手紙を渡すことは法律に反した行為になります。
　国会議員は「国権の最高機関」を構成する者として、請願を受ける立場にある人間です。
　この立場の人間が、国会議員としての地位を利用して出世した園遊会で、天皇陛下に私信を渡す行為は、売名行為そのものであり、絶対に許される行為ではありません。
　そもそも、山本議員は、原発の問題を陛下に伝えてどうするつもりだったのでしょうか。日本国憲法では、天皇は「国民の象徴であり」、「政治的中立」であるということは、中学生でも学校で習うことです。足尾鉱毒事件で天皇に直訴した田中正造氏を引き合いに出す議論もあるようですが、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ません。
　日本国憲法では、天皇は政治に関与できないのです。政治的な判断は内閣、国会が行い、その助言と承認に於いて、国事行為のみを行うのが天皇です。山本議員は憲法が分かっていないから、こんな失礼なことができたのです。国会議員の資格はありません。
　本来であれば、陛下と有権者にわびて、議員を自ら辞するべきだと思います。しかし、事件後も山本議員は、全く反省の気持ちはないようです。
　こうした最低限の常識も持ち合わせない人物を、国会議員として日本の舵取りを行う場に置いておくことに、私は我慢が出来ません。
　しかし、私たち国民には国会議員を罷免する方法はないのです。こんな公序良俗に反する人に、６年間も毎年数千万円もの血税を投じて行かなくてはならないことに、怒りを感じます。
　本人が辞職しないならば、国会議員を辞めていただく方法はただ一つです。
　憲法５８条２項に基づいて「除名」することです。出席した参議院議員の３分の２の賛成があれば、議員を除名＝国会議員を解職できるのです。
　憲法第５９条２項には、「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする」との条文があります。憲法の「院内の秩序をみだした」というくだりが議論を呼ぶと思いますが、参議院は国民の代表者たる参議院議員として守るべき憲法規範、日本の公序良俗を踏みにじったのですから、参議院の秩序を乱したものとして決断すべきだと主張します。
（なお１１月２日現在、山本議員を擁護するホームページに、陛下と山本議員が映っている写真が転載されていますが、著作権の侵害ともに天皇政治利用以外の何物でもないと思います）

　そして、アントニオ猪木議員。日本維新の会の猪木参院議員は、１１月２〜７日の日程で北朝鮮を訪問しています。国会開会中の議員の海外渡航の可否を決める参院議院運営委員会は１０月３１日、「（訪朝の）必要性がない」として許可しませんでした。維新の松野頼久国会議員団幹事長も、猪木議員に渡航自粛を求めたものの受け入れられなかったと説明しています。
　猪木議員は、自らのツイッターで「今回、議院運営委員会が書類の不備を理由に訪朝を許可しませんでした。書類のどこが不備なのか、まあそれぞれのいろいろな立場があるのでしょう。私は私の考えで決断しました。では、これから行って参ります」とだけ述べています。猪木議員もまた、国会議員としての自覚がまるでありません。一私人、プロレスラーのアントニオ猪木であれば、大いに北朝鮮に行って暴れてきて欲しいと思いますが、日本国を代表する国家議員であることを忘れています。
　猪木議員にも辞職を求めると共に、参議院の厳しい対応を望みます。