11月7日、橋本昌知事は定例記者会見で、東電が県内の中小零細企業者への福島第1原発事故の風評被害に対する損害賠償を一方的に打ち切った問題について、東電の茨城支店長と面会する意向を表明しました。
東京電力は8月以降、個人で請求している野菜の生産農家や食品加工業者などに対し、福島第1原発の損害賠償をの支払いを一方的に打ち切っています。9月には、県内22社に対して「(損害賠償は)事故後から相当期間が経過した現時点では、新たな取引の開拓や新たな事業の展開などが可能であると考えられ、売り上げが減少したことと、事故との間には、相当の因果関係を認めることが困難」とその理由を通知していました。
橋本知事は、10月23日の県議会予算特別委員会で、東京電力の対応について「事業者への事前の説明や協議が不十分」と批判していました。その上で、「個別事業に応じた丁寧な協議が必要」との認識を示し、知事自らが東電と交渉に当たる可能性も示唆していました。
東京電力は8月以降、個人で請求している野菜の生産農家や食品加工業者などに対し、福島第1原発の損害賠償をの支払いを一方的に打ち切っています。9月には、県内22社に対して「(損害賠償は)事故後から相当期間が経過した現時点では、新たな取引の開拓や新たな事業の展開などが可能であると考えられ、売り上げが減少したことと、事故との間には、相当の因果関係を認めることが困難」とその理由を通知していました。
橋本知事は、10月23日の県議会予算特別委員会で、東京電力の対応について「事業者への事前の説明や協議が不十分」と批判していました。その上で、「個別事業に応じた丁寧な協議が必要」との認識を示し、知事自らが東電と交渉に当たる可能性も示唆していました。
東京電力による損害賠償の打ち切りへの対応について
橋本知事の記者会見(2013/11/7)
朝日: 東電の賠償打ち切りについてお尋ねしたいと思います。 先般、知事は、予算特別委員会で、打ち切り通知の業者数40とお答えになっていまして、先週の金曜日、私が取材をしたときには東電側が22と言っていました。これは国会の答弁でも出た話らしいのですが、どういう経緯でこういう齟齬が出たかというのは、何かご説明は受けていますでしょうか。
知事: 私どもも数値が違っていたのでびっくりしたのですが、県には、茨城支店から、電話連絡などにより打ち切りの合意を得ているために通知を送っていない事業者もあるということで、その数も含めて40件と回答があったようであります。具体的に本社の方で通知を出していた数を精査したところ22件だったということであります。ですから、事前に打ち切りますと連絡したら、それで納得した事業者もいたようで、そのようなものも含めて40事業者に打ち切りの働きかけを行ったようであります。
朝日: 東電は、ケース・バイ・ケースということで、打ち切りの基準を明確にはしていないのですが、知事としては、どういった状況で打ち切りがなされるというのが妥当だとお考えでしょうか。
知事: 私は、前々から基準づくりの委員会で意見を聞かれたときにも、相当因果関係があるものについては、全て賠償して然るべきだということを申し上げておりました。したがって東京電力も個別の事業者と協議をしていく中で、因果関係が認められるものについては、損害賠償していくべきだと考えております。
朝日: 被害者の方々も、この先、未来永劫補償が続くとは一切考えていないようなのですが、例えば、売り上げが7割であるとか8割であるとかぐらいまでに回復したらいいとか、そういった基準といいますか、そういうお考えは何かありますでしょうか。
知事: そこは難しいだろうと思います。もし作るのであれば、全国的な基準をきちんと決めた委員会があったわけですから、そこでもう一度決めていただかなければ、各県で対応するということは難しいと思っております。先ほど申し上げましたように、相当因果関係というものが認められるものについては少なくとも損害賠償すべきであります。また、事業者との協議の中で、事業者によっては、段階的にやっていくのであれば(打ち切りも)やむを得ないというような考えを持っておられる人もおりますし、いろいろな考えの方がおられるようでありますから、個別に対応していくほかないのだろうと思っています。
朝日: わかりました。 先般の議会以降、知事は直接、東電側とお会いになったりしたことはございましたか。
知事: 今、いろいろな状況調査をしております。新しい事実はさっぱり出てこないのですが、そういったものを踏まえて、できるだけ早い機会に東京電力の支店長とは話をしていきたいと思っております。
NHK: 早い機会に東京電力の支店長とも話をしていきたいということなのですが、どのようなスタンスで話し合いに臨みたいとお考えですか。
知事: まず一つには、業者側の言い分をよく聞いてほしいということ。それから、その前の段階かもしれませんが、東京電力側の考え方をしっかり説明してほしいということです。業者側の言い分をしっかり聞いて、その上で、お互いにいろいろな議論をしてもらえればいいと考えております。
今、東京電力から通知を受けた事業者のうち、納得しているという方もかなりの割合おられます。
また、一方で、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介の申立ての意向を示した方も数名いると聞いているところでございまして、これらは議論をしていく中で、どういう方向にいくのか決まってくるのだろうと思っております。
いずれにしても、私どもとしては、できるだけ事業者側の説明をよく聞いてもらって、そして、相当因果関係があるということであれば、それについては積極的に損害賠償をしていただきたいということです。