
PKO創設の時は、「自衛隊の海外派兵に反対!」「教え子に銃を持たせるな」「PKOとはいえ海外派兵」と反対の大合唱が起こりました。公明党はPKO5原則を定め、PKO派遣部隊のサワーマなどでの活躍は国際社会から高い評価を得ました。その当時反対の先頭に立ったマスコミも、今、PKOを憲法違反と批判するものはいません。
麻薬取引などの犯罪捜査のための通信傍受法の審議。「あなたの電話が盗聴される」「犯罪捜査が拡大解釈され、通信の秘密が守られない」と喧伝されました。これも杞憂であり、厳格に定められた範囲で凶悪犯罪の解決に寄与しています。
そして国旗国歌法。「国民の思想信条の自由を踏みにじるもの」「教育現場では、国旗の掲揚や国歌の斉唱が強制され、戦前の教育に後戻りする」などと、「公明党は平和の党の立場を捨てたのか」とまで厳しく批判されました。
過去に何度も繰り返された、野党とマスコミによる“国民の不安をいたずらに煽る行為”。同じ構図が、特定秘密保護法案にも言えるような気がしてなりません。朝日、毎日などの新聞はこの法案の衆議院での採決を“強行採決”と大見出しで扱いました。共産党の機関紙・赤旗には「最高刑が死刑に」という見出しを付け、戦前の「軍機保護法」に特定秘密保護法が相通ずるという記述さえみられます。
今一度冷静に、特定秘密保護法案がなぜ必要なのか、公明党はこの法案にどのように係わってきたのかを再確認してみたいと思います。
特定秘密保護法案とは
そもそも特定秘密保護法案とは、国の安全や外交にからむ機密情報の漏洩を防ぐための法案です。防衛や外交など安全保障に関する特に秘匿すべき情報を、各省の大臣が「特定秘密」に指定することができ、特定秘密を漏らした国家公務員らには最高で懲役10年を科し、厳罰化を図ります。一般民間人に対しては、特定秘密を得るために(1)あざむき・暴行・脅迫(2)窃取(3)施設侵入(4)不正アクセスなどの行為をすれば最高で懲役10年の処罰を受けます。特定機密保持法案に反対する方々が、街頭での署名活動などで「普通に生活している一般の国民もこの特定秘密保護法の処罰の対象になる」などと言っていることは、全くデマとしか言いようがありません。
なぜ、特定秘密保護法をつくる必要があるのか?
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。大量破壊兵器や国際テロ活動に適切に対処するためには、安全保障に関する重要な情報を入手し、その漏えいを防止し、国民の安全や国益を守ることは喫緊の課題です。
現在、「国家公務員法」や「自衛隊法」「MDA秘密保護法」にも秘密を漏えいした公務員等を処罰する規定はありますが、量刑が軽すぎたり、情報の対象が限定されており、わが国の安全保障に関する重要な情報の漏えいを防ぐ法整備は万全とは言えません。
今、政府が特定秘密保護法案の成立を目指す理由は、主に3つあるのではないでしょうか。
一つは、日本版のNSC(国家安全保障会議)の設置との関係です。国家の情報・安全保障の司令塔(日本版NSC)を創設する法案が11月27日に成立し、12月上旬には設置されることになっています。諸外国との情報を共有する、やり取りをする上では、各国は相手の国の情報がしっかりと守られる仕組みができていることが前提となります。日本の法整備が出来ていないと大切な情報を諸外国と共有できないことになってしまいます。こうしたことから本来、特定秘密保護法案は、国家安全保障会議とセットで考えなくてはいけないということです。
二番目は、インターネットの普及です。国家の安全保障に関する情報がいったん漏れてしまうと瞬時に広範囲に、そして半永久的に広がってしまうという環境があります。これは、いままでの状況とは全く違います。ですから、きちんとした法整備が必要になったのです。兵器の性能や外交の暗号等が漏えいし、インターネット上に流れでもしたら取り返しのつかない事態になります。特定秘密を守るための法整備は、もはや国際標準となっているからです。
三番目は、政府の中できちんとした統ールールを作らなくてはならないという判断です。特定秘密保護法案では、特定秘密とは何かということを決めるのと同時に、扱える人を限定します。きちんと適正を評価したうえで扱える人も決めて、情報の取り扱いを統ーしたルールでやることで、政府は一つの基準に基づいて扱えるような仕組みを作ろうという狙いがあります。今まで、こんなルールもなかったわけですから、ある意味で日本は情報管理がルーズな国であったといわなくてはなりません。
こうした視点で、特定機密保護法案の意義を見直してみると、「国家機密漏えい防止法」といった意味合いが強いことが理解できると思います。
どのような情報が特定秘密として指定されるのか?
国会議員の中にも、原発事故の情報や放射能汚染情報(SPEEDIのデーター)が秘匿されるといった誤解がありますが、安倍首相は特定秘密には当たらないと明確に答弁しています。
特定秘密に指定されるのは、安全保障に関する情報のうち、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイ)防止(4)テロ防止ーの4分野に限定されています。さらに「別表」を設け、上記の4つの分野の中で特定秘密にできる事項が限定列挙されており、国家公務員法が禁じる情報漏えいの範囲よりも、はるかに限定的になっています。
現在も特定秘密は42万件もあると言われています。「時の政府によってその解釈が恣意的に拡大されるのでは」との懸念もあります。
特別管理秘密として指定されている約42万件のうち、約9割が情報収集衛星から撮影した写真であり、次に多いのが外交・防衛等で用いられる暗号です。安倍総理大臣の委員会での答弁によると、42万枚の衛星写真は、一枚一枚の写っている対象が秘密ということもありますが、日本の人工衛星の解像度、つまり能力はどれくらいなのかということが、その写真を見ると判ってしまい、その写真の解像度それ自体が秘密ということのようです。また、外務省と出先の大使館の聞では暗号が使われています。この暗号を公開してしまったら暗号でなくなってしまいます。特定情報はできるだけ絞ろうとしているので、一般の人が特定秘密と関わることはまずないだろうと、安倍総理は答弁しています。
また、特定秘密を行政機関の長が勝手に指定することはできません。
公明党の主張で、行政機関の長は、有識者会議の意見を聴いて首相が決定した統一基準に則り特定秘密を指定することにしました。
修正協議においては、「別表」の中にあった「その他の重要な情報」という文言は特定秘密の範囲を拡大させる恐れがあるため、これを削除させ、恣意的な指定がなされないようにしました。
行政機関の長が実際に統一基準に従って指定・解除を行っているかを首相が確認し、改善の指示を出せるようにもしました。これにより、事前・事後のチェックを通じ、特定秘密の範囲が広がらないようにしました。
今回の法案では大臣や官僚が法律を恣意的に拡大解釈することを明確に禁じています。「法の適用に当たっては、これを拡張して解釈してはならず、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」(第21条)これは、公明党の修正案が反映されたものです。
公明党の主張により設置が決まった「有識者会議」も重要です。「何を特定秘密にするか」という基準は、政府の外から専門家が入るこの会議で定期的にチェックされます。外部の専門家の関与があるので、政府は自由に特定秘密を作ることはできません。さらに、与野党修正で、政府は毎年、有識者会議の意見を付して、特定秘密の指定・解除や適正評価の実施状況について国会に報告し、公表することになりました。ということは、毎年、この内容は新聞等に報道される事になります。秘密の具体的中身は出せないが、秘密の数の増減や適正であったかについては、毎年公開されます。
一部野党からは、「法律で拡大解釈が禁じられていても、政府が勝手に秘密を作ることをチェックできない」という批判があります。でも、考えてみてください、政権交代が起こった場合、前政権の大臣が恣意的に特定秘密を作っていたことは、すぐバレてしまいます。そんな危険を冒してまで、違法な特定秘密を作ることは、あまり現実的ではないのです。
国民の「知る権利」は本当に守られるか?
報道機関が公務員から特定秘密を聞き出すと処罰される。そうなると国民の知る権利が侵害されるのでは、との声があります。そこで、公明党の主張で当初の政府案にはなかった国民の「知る権利」「報道の自由」を条文に明記させました。これは画期的なことです。
さらに報道機関の取材行為は「法令違反」や取材対象者の人格を蹂躙するような「著しく不当な方法」に当たらない限り「正当業務行為」として処罰の対象とはならない旨も条文化しました。
特定機密保持法の第21条には、「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」。同2項には「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」とあります。
加えて、修正協議の中で、特定秘密を「取得」する行為は、外国の利益を図るなどの目的(スパイ等の目的)がなければ処罰されないように修正し、通常の取材活動は処罰の対象とならないことが、一層、明確になりました。
一般の国民については、何が特定秘密であるかを知らず、また、スパイ等の目的を持つこともないので、知ろうとした情報が偶然、特定秘密に該当するものであったとしても処罰されることはありません。通常の生活を送っている国民が処罰されるようなことはないのです。
特定秘密保護法の第23条では「人を欺き、人に暴行を加え、もしくは人を脅迫する行為により、または財物の窃取もしくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為」などの違法な方法により特定秘密を入手した場合に、罰せられることになっていますが、それ以外の通常の取材での入手は問題ありません。こうした条文を無視した扇情的な批判は慎むべきです。
国会議員すら特定秘密にアクセスできない、という批判もありましたが、これも与野党修正で改善されました。国会に特定秘密情報に関する委員会や組織を作り、漏えい防止対策をした上で、必要があれば、アメリカ議会のように秘密会形式で国会議員が特定秘密情報の提供を受けることができるような方向になりました。「政府は信用できない。法律の拡大解釈を必ずやり、運用で国民の権利を侵す」という意見を持つのは自由です。しかし、公明党はそういうことがないように、全力を尽くします。
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。大量破壊兵器や国際テロ活動に適切に対処するためには、安全保障に関する重要な情報を入手し、その漏えいを防止し、国民の安全や国益を守ることは喫緊の課題です。
現在、「国家公務員法」や「自衛隊法」「MDA秘密保護法」にも秘密を漏えいした公務員等を処罰する規定はありますが、量刑が軽すぎたり、情報の対象が限定されており、わが国の安全保障に関する重要な情報の漏えいを防ぐ法整備は万全とは言えません。
今、政府が特定秘密保護法案の成立を目指す理由は、主に3つあるのではないでしょうか。
一つは、日本版のNSC(国家安全保障会議)の設置との関係です。国家の情報・安全保障の司令塔(日本版NSC)を創設する法案が11月27日に成立し、12月上旬には設置されることになっています。諸外国との情報を共有する、やり取りをする上では、各国は相手の国の情報がしっかりと守られる仕組みができていることが前提となります。日本の法整備が出来ていないと大切な情報を諸外国と共有できないことになってしまいます。こうしたことから本来、特定秘密保護法案は、国家安全保障会議とセットで考えなくてはいけないということです。
二番目は、インターネットの普及です。国家の安全保障に関する情報がいったん漏れてしまうと瞬時に広範囲に、そして半永久的に広がってしまうという環境があります。これは、いままでの状況とは全く違います。ですから、きちんとした法整備が必要になったのです。兵器の性能や外交の暗号等が漏えいし、インターネット上に流れでもしたら取り返しのつかない事態になります。特定秘密を守るための法整備は、もはや国際標準となっているからです。
三番目は、政府の中できちんとした統ールールを作らなくてはならないという判断です。特定秘密保護法案では、特定秘密とは何かということを決めるのと同時に、扱える人を限定します。きちんと適正を評価したうえで扱える人も決めて、情報の取り扱いを統ーしたルールでやることで、政府は一つの基準に基づいて扱えるような仕組みを作ろうという狙いがあります。今まで、こんなルールもなかったわけですから、ある意味で日本は情報管理がルーズな国であったといわなくてはなりません。
こうした視点で、特定機密保護法案の意義を見直してみると、「国家機密漏えい防止法」といった意味合いが強いことが理解できると思います。
どのような情報が特定秘密として指定されるのか?
国会議員の中にも、原発事故の情報や放射能汚染情報(SPEEDIのデーター)が秘匿されるといった誤解がありますが、安倍首相は特定秘密には当たらないと明確に答弁しています。
特定秘密に指定されるのは、安全保障に関する情報のうち、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイ)防止(4)テロ防止ーの4分野に限定されています。さらに「別表」を設け、上記の4つの分野の中で特定秘密にできる事項が限定列挙されており、国家公務員法が禁じる情報漏えいの範囲よりも、はるかに限定的になっています。
現在も特定秘密は42万件もあると言われています。「時の政府によってその解釈が恣意的に拡大されるのでは」との懸念もあります。
特別管理秘密として指定されている約42万件のうち、約9割が情報収集衛星から撮影した写真であり、次に多いのが外交・防衛等で用いられる暗号です。安倍総理大臣の委員会での答弁によると、42万枚の衛星写真は、一枚一枚の写っている対象が秘密ということもありますが、日本の人工衛星の解像度、つまり能力はどれくらいなのかということが、その写真を見ると判ってしまい、その写真の解像度それ自体が秘密ということのようです。また、外務省と出先の大使館の聞では暗号が使われています。この暗号を公開してしまったら暗号でなくなってしまいます。特定情報はできるだけ絞ろうとしているので、一般の人が特定秘密と関わることはまずないだろうと、安倍総理は答弁しています。
また、特定秘密を行政機関の長が勝手に指定することはできません。
公明党の主張で、行政機関の長は、有識者会議の意見を聴いて首相が決定した統一基準に則り特定秘密を指定することにしました。
修正協議においては、「別表」の中にあった「その他の重要な情報」という文言は特定秘密の範囲を拡大させる恐れがあるため、これを削除させ、恣意的な指定がなされないようにしました。
行政機関の長が実際に統一基準に従って指定・解除を行っているかを首相が確認し、改善の指示を出せるようにもしました。これにより、事前・事後のチェックを通じ、特定秘密の範囲が広がらないようにしました。
今回の法案では大臣や官僚が法律を恣意的に拡大解釈することを明確に禁じています。「法の適用に当たっては、これを拡張して解釈してはならず、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」(第21条)これは、公明党の修正案が反映されたものです。
公明党の主張により設置が決まった「有識者会議」も重要です。「何を特定秘密にするか」という基準は、政府の外から専門家が入るこの会議で定期的にチェックされます。外部の専門家の関与があるので、政府は自由に特定秘密を作ることはできません。さらに、与野党修正で、政府は毎年、有識者会議の意見を付して、特定秘密の指定・解除や適正評価の実施状況について国会に報告し、公表することになりました。ということは、毎年、この内容は新聞等に報道される事になります。秘密の具体的中身は出せないが、秘密の数の増減や適正であったかについては、毎年公開されます。
一部野党からは、「法律で拡大解釈が禁じられていても、政府が勝手に秘密を作ることをチェックできない」という批判があります。でも、考えてみてください、政権交代が起こった場合、前政権の大臣が恣意的に特定秘密を作っていたことは、すぐバレてしまいます。そんな危険を冒してまで、違法な特定秘密を作ることは、あまり現実的ではないのです。
国民の「知る権利」は本当に守られるか?
報道機関が公務員から特定秘密を聞き出すと処罰される。そうなると国民の知る権利が侵害されるのでは、との声があります。そこで、公明党の主張で当初の政府案にはなかった国民の「知る権利」「報道の自由」を条文に明記させました。これは画期的なことです。
さらに報道機関の取材行為は「法令違反」や取材対象者の人格を蹂躙するような「著しく不当な方法」に当たらない限り「正当業務行為」として処罰の対象とはならない旨も条文化しました。
特定機密保持法の第21条には、「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」。同2項には「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」とあります。
加えて、修正協議の中で、特定秘密を「取得」する行為は、外国の利益を図るなどの目的(スパイ等の目的)がなければ処罰されないように修正し、通常の取材活動は処罰の対象とならないことが、一層、明確になりました。
一般の国民については、何が特定秘密であるかを知らず、また、スパイ等の目的を持つこともないので、知ろうとした情報が偶然、特定秘密に該当するものであったとしても処罰されることはありません。通常の生活を送っている国民が処罰されるようなことはないのです。
特定秘密保護法の第23条では「人を欺き、人に暴行を加え、もしくは人を脅迫する行為により、または財物の窃取もしくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為」などの違法な方法により特定秘密を入手した場合に、罰せられることになっていますが、それ以外の通常の取材での入手は問題ありません。こうした条文を無視した扇情的な批判は慎むべきです。
国会議員すら特定秘密にアクセスできない、という批判もありましたが、これも与野党修正で改善されました。国会に特定秘密情報に関する委員会や組織を作り、漏えい防止対策をした上で、必要があれば、アメリカ議会のように秘密会形式で国会議員が特定秘密情報の提供を受けることができるような方向になりました。「政府は信用できない。法律の拡大解釈を必ずやり、運用で国民の権利を侵す」という意見を持つのは自由です。しかし、公明党はそういうことがないように、全力を尽くします。
