遺産相続が同等に、最高裁判例を受け民法900条を改正
131212image  12月5日、結婚していない男女の間に生まれた子ども(婚外子)の遺産相続分を、結婚している両親(法律上の夫婦)の子ども(嫡出子)の半分とした規定(民法900条)を削除した改正民法が、参院本会議で全会一致で可決され、成立しました。
 この規定は、法律上の結婚を尊重するなどのため、明治時代に旧民法で採り入れられたものです。法改正により婚外子への差別は撤廃され、明治時代から続く差別が115年ぶりに改められ、「子の権利保護」で先行する欧米諸国と肩を並べることになりました。
 今年9月、最高裁は民法の規定について「親が結婚していないという選択の余地がない理由で子に不利益を及ぼすことは許されない」として審理に加わった14人の裁判官全員が「違憲」と判断。改正民法では、900条の中の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との箇所を削除し、婚外子と嫡出子の遺産相続分を原則同じにしました。改正民法は近く施行され、最高裁判所の違憲判断が出た翌日の今年9月5日以降の相続にさかのぼって適用されます。
 一方、嫡出子か婚外子かを出生届に記載するよう義務付けた戸籍法の規定を削除する内容の修正案は、参院本会議において、一部から「結婚制度の否定につながる」などとの異論が出ている自民党と日本維新の会の反対多数で否決されました。これは、非常に残念な結果です。公明党は民法、戸籍法両改正案をセットで成立させることが望ましいと、当初から主張していました。
 婚外子の差別問題について公明党は、「人権を守る」党として、マニフェストに盛り込むなど、かねてから差別撤廃を訴えてきました。最高裁の判断が出た翌日には、党法務部会(遠山清彦部会長=衆院議員)が谷垣禎一法相に対して申し入れを実施。席上、公明党は「今回の最高裁の判断を画期的な判断と受け止めている」と述べ、(1)最高裁の違憲判断を尊重し、民法改正の法案化を進め、早期に国会へ提出する、(2)出生届など婚外子の相続格差に起因する差別的な扱いの是正を行う―の2点を要望しました。
婚外子の差別撤廃に全力投球、地方議会でな“みなし寡婦控除”を推進
 また、婚外子の差別問題に関連して公明党は、未婚・非婚の母子家庭に対して寡婦控除が適用されない問題にも取り組んでいます。婚外子差別のもうひとつの大きな課題が、所得税の寡婦控除の問題です。所得税の計算の際、一定額(27万円または35万円)を収入から控除する寡婦控除(参考:“寡婦控除”に関する国税庁のホームページ)が受けらることがあります。しかし、そもそも結婚によらない子どもを扶養している場合は、この寡婦控除を受けられません。その上、公営住宅の家賃や保育所などの利用料、マル福制度の所得制限は、この所得税の寡婦控除の要件に準じて、一人親家庭の負担軽減を行っています。したがって、こうした負担軽減策を婚外子を持つ母親は、現行制度では受けられないのです。
 公明党は、まず地方議会で婚外子を扶養するひとり親への“みなし寡婦控除”の実現に全力を挙げています。
 12月12日開らけれた茨城県議会決算特別委員会でも、井手よしひろ県議は、県土木部長並びに保健福祉部長に、“みなし寡婦控除”制度を創設するよう強く求めました。