天皇杯に輝く“横田農場”を訪ねて 12月11日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、2013年農林水産祭の天皇杯を受賞した有限会社横田農場の代表取締役横田修一氏を訪ねて、水稲大規模経営の先進的な成功事例を学ばせていただきました。
 農林水産祭天皇杯とは、過去1年間の農林水産祭参加表彰行事において、農林水産大臣賞を受賞した出品財のうち、その内容が広く社会の賞賛に値する業績について授与される最高位の表彰です。それに次ぐ業績については、内閣総理大臣賞又は日本農林漁業振興会会長賞として表彰されます。この三賞は、農産部門、園芸部門、畜産部門、蚕糸・地域特産部門、林産部門、水産部門、むらづくり部門の7部門に授与されます。農水省と日本農林漁業振興会が優れた農林漁業経営者の活動を表彰するものです。今年度は、全国から優良492人が推薦され、中でも横田農場は最高位の天皇杯に輝きました。
 横田さんは茨城大学農学部で農業経営を学び、卒業後は家業である農業 (水稲) を継ぎました。横田さんが経営する横田農場は龍ヶ崎市内塗戸にあり、県下でも主要な穀倉地帯です。キャリアは15年。その経営概要(平成25年度)は、経営面積103ha、従業員14名、売上高1.1億円、経常利益1100万円です。茨城でも有数な稲作地帯であり、大規模なほ場整備も進んだ地域ですが、後継者問題は深刻です。後継者がいない周囲に農家では、横田農園に農地を貸し出して先祖伝来の土地を守ろうという方が増えています。一年に10ha程度耕作地が広がっています。
 横田農場の経営の基本は、徹底した効率化にあります。103haの田んぼを田植機とコンバイン各1台の機械でやり遂げるています。田植えも稲刈りも各2ヶ月を、多種目の品種により作業を分散化し、IT活用によるほ場管理、適材適所の人員配置で科学的な農業経営を行っています。
横田農園 今までお会いした多くの先進的な農家は、ひとつの農作物や品種にこだわり、例えば、米作りであれば「こしひかり」という銘柄にこだわり、徹底した管理でその美味しさを極めようとしていました。または、その収量を最大化しようとされていました。
 しかし、横田農場は、早生、中生、晩生という稲の品種や米粉用マイなど他種類の米を組み合わせて、2ヶ月間田植えや稲刈りを続けることになります。こうしたことで、全体的な生産量の増大とリスクの分散を図っています。まさに科学的農業経営といえると思います。
 横田農園の特徴の2番めは、生産する米の約9割を、消費者等へ直接販売しているということです。自社生産の米粉を100%使用したスイーツなど米粉製品の加工販売を行うほか、加工業者へ出荷する体制を整え、加工用米としてお酒、おせんべい、お餅、味噌麹などに使用されています。
 インターネットなどで販売にも力を入れています。横田農園のホームページをのぞくと、センスのある素晴らしいデザインです。かわいい子供さんが美味しそうに横田農園のご飯を食べています。実は、これは横田社長さんの実の子供さんだそうです。こうした消費者を向いた農業経営が徹底されています。
 しかし、このインターネット販売も東日本大震災で大きな打撃を受けたそうです。福島第1原発事故の風評被害によって、その売上は2割程度にまで落ち込んだそうです。この時期、物流が途絶えたために、地元のコメの需要が高まり、ネット販売が減った部分は十分に補うことができたそうです。横田農場“田んぼの学校”いずれも、消費者への直接販売という姿勢が明確であったからこそ、危機を突破できたといえると思います。
 3番目の特徴は、地域住民との協調、協働です。横田農園では、お米の魅力や価値を消費者に伝え、再認識してもらうため、地元の小学生や地域住民を対象とした「田んぼの学校」を開校しています。春には田植え、秋には稲刈りを中心とした農業体験ができる場として、年間のべ600名の地域住民が参加しています。
参考:横田農場のHP