阪神・淡路大震災
阪神・淡路大震災から19年、緊急時の行政機能低下を最小限に
 あす1月17日、阪神・淡路大震災の発生から19年を迎えます。
 井手よしひろ県議が、県議会に初登庁したその日。その惨禍は起こりました。忘れようとしても忘れられない鮮烈な記憶となっています。
 この震災は、さまざまな教訓を残した。その一つが、大規模な災害や事故に備えて策定する業務継続計画(BCP)の重要性です。
地方自治体のBCP策定状況 自治体は大災害が発生した場合、的確な応急対策を迅速に進めつつ、優先すべき行政機能を確保しなければならりません。そのための対応システムや必要な準備・方針などを、あらかじめ決めておく計画が求められます。
 東日本大震災の発生後、民間企業の策定は加速していますが、残念ながら自治体の動きは鈍いのが現実です。日本政策投資銀行の調べによると、約7割は未策定です。これでは、万全な体制で即応できるか、心もとない結果です。
阪神・淡路大震災
 緊急時にどれだけの職員が確保でき、業務を担当できるか。神戸市では多くの職員が阪神・淡路大震災の被害に遭い、発災当日は41%の職員しか出勤できませんでした。
 住民の生命・生活や財産、そして都市機能の維持に重大な影響を及ぼす問題は何か。災害発生後は時間の経過に伴い、優先業務は刻々と変わります。それが時系列的に把握できているか。計画作りを進めると、さまざまな課題や取り組みの不備が浮き彫りになります。
 例えば、情報処理の問題です。自治体は、住民台帳のほか税や国民健康保険など、多岐にわたるデータを扱っています。災害で情報システムに不具合が生じると、各種書類の発行などが滞り、住民生活や地域の経済活動に大きな支障をもたらします。
 市庁舎が被災した神戸市では、停電やコンピューターの破損でデータ処理を手作業で行いました。情報の管理・保管あるいは、バックアップ体制をしっかり確立しなければならなりません。作業要員を十分に確保するため、できるだけ多くの職員に日常的な教育の機会を設ける必要もあります。
 日本政策投資銀行の調査では、策定が進まない理由として、「庁内で議論がなされていない」が最も多くなています。緊急時の行政機能の低下を最小限に食い止めるために、検討を急ぐべきです。
 このほか、(1)必要な人員・人材がいない(2)策定に十分な知見がない―などの事情もあります。内閣府は、自治体向けに業務継続の手引を作成・公表しています。
 策定済みの自治体は、万一の事態が発生した場合に、計画を迅速かつ効果的に運用できるか、定期的な訓練を通じて確認しるひつようがあります。