「消費税転嫁の拒否はダメ!」経産省・公取委が要請
テレビ朝日(2014/1/17)
テレビ朝日 経済産業省と公正取引委員会は、いわゆる「買い叩き」などで消費税転嫁を拒否しないよう業界団体に対して文書で要請しました。
 経産省と公取委が建設、製造、卸・小売を対象にアンケート調査をしたところ、750社が元請け会社から消費税の転嫁拒否をすでに受けているか、今後、受ける可能性があると回答しました。このため、改めて575の業界団体に対し、消費税転嫁を拒否して下請けにしわ寄せをすることなどがないよう文書で要請しました。また、経産省は、アンケートで違法性を指摘された268社に対し、転嫁Gメンが立ち入り調査を始めたことも明らかにしました。違法行為が確認されれば、被害額の返還を命じたり事業者名を公表するなど厳正に対処するとしています。

中小企業の泣き寝入り防げ、不当な取引の監視態勢拡充が必要
 消費税率8%への引き上げまで、3カ月を切りました。新税率への対応作業が、行政や企業で行われています。
 企業が商品やサービスの価格に上乗せし、消費者に最終的な負担を求めるのが、消費税の仕組みです。しかし、消費税率が5%に引き上げられた際、下請け事業者に対して、増税分を商品価格に転嫁しないよう働き掛ける大企業があり問題となりました。
 その主な要因は、バブル経済の崩壊で景気後退が深刻化し、大企業が売り上げの減少を防ごうとしたからです。価格転嫁できなかった分は自らの利益を削り、泣く泣く対応する中小企業が相次ぎました。
 大企業が優越的な立場を利用して、下請け事業者に負担を強いる事態を今回こそ防がなければなりません。悪質な行為を取り締まらないと、来年10月に予定されている10%への引き上げ後も中小企業が苦しむことになります。
 自公連立政権による経済再生策の効果で、景気は上向いています。その恩恵を最も受けているのが大企業です。大企業が不景気を言い訳に、中小企業に不当な圧力をかける理由は見当たりません。日本経済の屋台骨を支える中小企業に不利益を押しつけることがあれば、本格的な景気回復にも悪影響を及ぼしかねません。
 全国中小企業団体中央会は2012年12月、増税分の価格転嫁を実施できるかを全国の会員組合に調査しました。転嫁を「できない」と答えたのは、48.7%に上りました。下請け業界の懸念は、調査から1年が経過した現在も「解消したとは言い難い」(全国中小企業団体中央会)状況です。全国中小企業団体中央会が行う特別相談窓口には消費増税を前に、価格転嫁に関する切実な相談が数多く寄せられています。
 昨年10月に施行された消費税転嫁対策特別措置法の狙いは、大企業の顔色をうかがわなくても、中小企業が価格転嫁できる環境を整備した点です。価格転嫁しないように圧力をかけられた中小企業が通報すれば、公正取引委員会が立ち入り検査を実施します。悪質な場合は、社名も公表する措置を設けました。通報した企業は、国が責任を持って保護します。通報した企業が報復を受けない態勢をしっかり確立しなければなりません。
 内閣府にも価格転嫁に関する相談センターがあります。中小企業がより気軽に相談しやすい環境づくりを進めるべきです。違法行為がないかの聞き取り調査を全国で行う「転嫁Gメン」の増員も検討すべきです。
 政府は、万全の態勢を整えて中小零細企業を守るべきです。