片田敏孝の防災講演会 1月18日、井手よしひろ県議は群馬大学広域首都圏防災研究センター長・片田敏孝教授の講演を聴く機会に恵まれました。この講演会は「暮らしに潜むリスクと向かい合う〜釜石の防災教育に学ぶ姿勢の教育〜」と題し、水戸市の消費生活講演会・学校防災研修会として開催されました。
 冒頭、片田先生は、水戸市は震災にとって無防備だった。この震災の教訓をどのようにして子どもたちに伝えていくかが課題と問題提起しました。
 また、学校における防災教育のあり方を3つに分類。「脅しの防災教育」外圧的に形成された危機意識は長続きしない。「知識の防災教育」主体的な姿勢がないまま地域を与えることはかえって危険、想定にとらわれることによって与えられた災害規模以上のことを考えられない。と指摘した上で、「姿勢の防災教育」海の恵みに近づくと同時に、特に災いにも近づくことであり、災いをやり過ごす知恵を備え暮らすことが、その地に住まう“お作法”であることを教える。自然と共存しながら、自ら取り巻く人々と共に手を取りながら生きる力を育む教育が重要だと強調しました。
 また、宮城県沖地震は、向こう30年の間に99%の確率で起こる、つまり絶対起こると言われていたにもかかわらず、避難勧告を出そうが、津波警報を出そうが、住民は逃げなかった事実を取り上げました。そして「このような大人たちの背中を見た子供たちは、避難勧告が出ても逃げようとしい。ある学校で、どうして君は逃げないのと聞いたら、だってお父さんも逃げないもん、おじいちゃんも逃げないもん」と言っていた事例を紹介。「このままあの子たちが大きくなり、そしてそのとき(大震災)を迎えたとするならば、必ずや命を落とす危険に、その状況に置かれているんです」と、防災教育の重要性を訴えました。
群馬大学・片田敏孝教授 昨年12月には、公明党が掲げる「防災・減災ニューディール」の主張を反映した「防災・減災等に資する国土強靱化基本法」が今月4日に成立しました。
 この「防災・減災基本法」には、公明党の主張でソフト対策の充実が明記されました。ソフト対策として、防災教育の推進も法律に盛り込まれました。
 これまでの防災は、被災後の対応をどうするかが議論の中心でしたが、今回、成立した基本法が災害に向けた事前の防災を強調していることは、大きな進歩です。
 一方で、国民自身が行政に頼ることなく、自らの命を自ら守り抜くという姿勢として“国民の強靱化”を、片田教授は強く訴えています。3・11の東日本大震災を経験し、想定される南海トラフ巨大地震なども考え合わせると、国土強靱化で行うハード対策を超える災害は必ずまた起こると考えるべきです。その対策を超える部分をどうするのかという議論を強化していかなければ、本当の意味での強靱化にはなりないとの主張です。
 今後、基本法に従って地域計画の策定が進みます。各地域においては、ソフト面の対策についても具体的に政策体系の中に盛り込んで行く必要があります。