ふるさとへの思い、小口資金で 地方自治体に広がるクラウドファンディング
ファーボ島根のホームページ インターネットで様々な事業への資金投資を募るクラウドファンディング。東日本大震災の復興支援の一類型として注目され、これまで民間団体や個人が資金を集めてきました。最近、自治体による活用例も登場。市民にとっては手軽に行える社会貢献の仕組みとして、自治体としては厳しい財政状況の中での新たな施策展開の仕組みとして、積極的な取り組みが今後も広がりそうです。
 クラウドファンディングは、団体や個人などの企画立案者がプロジェクトを仲介サイトに公開。必要な資金を不特定多数の賛同者から小口出資で募る仕組みです。資金は目標額を設定、募集期間内に目標額に達すれば、企画立案者が資金を獲得することができます。出資方法はクレジットカードでの決済が主流です。カード会社への手数料と仲介サイト使用料を合わせ、仲介サイト側が調達資金の15〜25%程度支払い、残りを企画立案者が受け取ります。
 小口資金の出資者は、事業の成否によって対価を受けることができます。概ねその対価によって4つに分類されます。出資者が対価を得ない「寄付型」、出資金を製作資金として活用し、完成品を提供する「購入型」、出資比率に応じて事業配当を受ける「投資型」(配当型)、仲介サイト運営者が小口の出資金をまとめて貸し付けを行い、出資者にはその金利を支払わる「貸付型」などです。
鎌倉市の「かまくら想いプロジェクト」
「かまくら想いプロジェクト」 自治体にの先進事例としては、神奈川県鎌倉市の観光商工課が昨年(平成25)年11月1日、観光施設整備事業「かまくら想いプロジェクト」を開始しました。鎌倉市は、ジャスト・ギビング・ジャパン(http://justgiving.jp/)を通じて寄付を募りました。出資金は市内観光スポットを案内する観光ルート板(8カ所10基分)の設置費用として、100万円を1口1万円に分割して募集しました。出資者(寄付者)はその対価として名前を銘板に刻み、ルート板に取り付けてもらいえます。この結果、100人の寄付者を22日間で集めました。お寺の檀家さんや鎮守の森のお社を修理するときなどに、寄付者の名前を建物などに刻印するのと同じ発想です。
 鎌倉市では、平成26年度も案内板やトイレなどの観光施設などでの活用を検討中とのことです。
参考:鎌倉をよくするアイデア支援!鎌倉市限定クラウドファンディング

島根県が「ファーボ島根」を立ち上げ
 また県レベルでは島根県の取り組みに注目です。島根県は民間団体への資金調達支援策に、民間の仲介サイト「ファーボ」と連携し、「ファーボ島根」を昨年9月に発足させました。通常は仲介サイトが行うプロジェクト審査を県が行い、PR策などを支援するアドバイザーの派遣も行い、資金募集も行うという取り組みです。出資金を活用して、地域の特色あるものづくりを行い、出資者に商品を届ける「購入型」サイトです。
 2月9日現在、3つのプロジェクトが進行中です。例えば、「幻の果物<<ポポー>>をみんなに食べてもらいたい!」プロジェクトは、集楽(集落)に自生するポポーを日本の市場に流通させることを目的に、ポポ―の加工費用を募ります。その対価は、おじいちゃんの押し花はがきのお礼のお手紙、ポポージェラート、季節の野菜などとなっています。
1000円支援すると、手作りの押し花のはがきでお礼のお手紙。3000円支援すると、手作りの押し花のはがきでお礼のお手紙+ポポージェラート2個(91mlカップ)をプレゼント。5000円支援すると、手作りの押し花のはがきでお礼のお手紙+ポポージェラート2個(91mlカップ)+集楽のエコ米3kg。1万円支援すると、手作りの押し花のはがきでお礼のお手紙+ポポージェラート2個(91mlカップ)+集楽のエコ米3kg+自給用季節のお野菜のおすそ分け。3万円支援すると、手作りの押し花のはがきでお礼のお手紙+ポポージェラート2個(91mlカップ)+集楽のエコ米3kg+自給用季節のお野菜のおすそ分け+集楽で採れた猪肉が贈られます。
 このファンドは25万円が目標でしたが目標を20%上まわる30万円が集まりました。