地域に根ざした“クラウドファンディング”
iikuniのホームページ 2月12日、井手よしひろ県議は、神奈川県鎌倉市を訪れ、全国に魁けて動き出した「クラウドファンディング」の仕掛け人の一人、村式株式会社の住吉優さんから貴重な話を伺いました。急な面会の申し入れにもかかわらず、大変、楽しい時間を共有させていただきました。
 クラウドファンディング(crowd funding)とは、不特定多数の人がインターネットを経由して、他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指します。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。ソーシャルファンディングとも呼ばれています。
 豊かな自然と歴史に恵まれた鎌倉の地に本拠地を移した若きITベンチャーが、鎌倉のまちをより活性化させたいと集まって結成したのがカマコンバレー有限責任事業組合(カマコンバレーLLP)。きっかけは、東日本大震災の犠牲者を追悼する神道、仏教、キリスト教の合同慰霊祭でした。住吉社長は「違いを超えて一つの思いに力を合わせる“共同”の重要性を強く感じた」と語ってくれました。
 同じ思いを共有した7つの企業は、カマコンバレーのもとに結集し、2013年8月から鎌倉市限定クラウドファンディング「iikuni(イイクニ)」の運営をスタートさせました。鎌倉の活性化につながるプロジェクトに対し、賛同者から資金を集める仕組みとして、すでに3本目のプロジェクトが成立しています。
鎌倉市限定クラウドファンディングiikuniのプロジェクト(2014/2/13現在)
  • 津波が来たら高いところへ逃げるプロジェクト(目標125万7000円:実績135万円)【成立】
  • 子どもたちにも『鎌倉じゃず祭』に参加してもらうプロジェクト(目標60万円:実績60万5000円)【成立】
  • 鎌倉にプチ移住したい人に鎌倉山テラスハウスを提供する鎌倉マイクロステイプロジェクト(目標10万円:実績40万円)【成立】
  • 鎌倉の名店、名所のステッカーを作ろう! “鎌倉オリジナル”ステッカープロジェクト(目標61万8000円:実績15万1000円)【不成立】
  • 「地域で子どもを育てる」 鎌倉アフタースクールプロジェクト(目標35万5000円:実績14万2000円)【進行中】
村式・住吉優社長 iikuniのプロジェクトは、カマコンバレーの月1回の定例会から始まります。鎌倉市をよくする施策を持ち寄った個人、ボランティア、NPO、企業などが数組プレゼンを行い、その後、グループに分かれてブレインストーミングを行います。そして、思いついたアイデアでいいものがあり、その回の参加者が全員賛成したらプロジェクト決定です。発案者は募集額と期間を決め、サイト内で企画内容や意図、募集資金の配分などを説明します。もちろんファンドですから支援額に応じた対価(リターン)の設定も必要です。支援者はクレジットカード決済で資金を出し、募集期間内に目標を達成した場合、iikuniは事務手数料などとして募集総額の15%を受け取っています。
 iikuniで初めて成立したプロジェクトは「津波が来たら高いところへ逃げるプロジェクト」でした。防災の日の9月1日(2013年)に、鎌倉生涯学習センターの外壁に、想定される津波の高さのシートを貼り、津波被災でむき出しとなった鉄骨をイメージしてもらおうという企画でした。募集金額125万7000円に対し、81人から135万円が集まり、見事にプロジェクトは実行されました。
 鎌倉市内で地域にしっかりと根付いた活動を行っているボランティアやNPOにとっては、このiikuniの取り組みは、単に資金を調達する方法だけではなく、横の連携や全国的な活動の広がりに直結しています。
 井手県議は、こうした鎌倉の取り組みを茨城の活性化のお手本として学びたいと考えています。特に、県北地域の魅力を全国に発信するツールとして欠くようできないか、検討していきたいと思います。