厚生労働省によると、65歳以上の高齢者数は2025年には3657万人、2042年には3878万人に達すると予測されています。
高齢者だけの世帯も増加。25年には、65歳以上の「単独世帯」と「夫婦のみの世帯」を合わせると、全体の25.7%を占めるとされています。こうした世帯は、社会から孤立しがちなため、認知症など病気の早期発見・ケアの遅れも懸念されています。
そこで、政府・与党は「団塊の世代」が75歳以上となる25年をめどに、医療・介護・予防・住まい・配食などの生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を急いでいます。このシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される中学校区など日常生活圏域を単位として想定。具体的な仕組みは、保険者である市町村や都道府県が地域の特性に応じてつくり上げていくことが重要です。
ちなみに、茨城県の介護保険を取り巻く状況を概括すると以下のようになります。
高齢者だけの世帯も増加。25年には、65歳以上の「単独世帯」と「夫婦のみの世帯」を合わせると、全体の25.7%を占めるとされています。こうした世帯は、社会から孤立しがちなため、認知症など病気の早期発見・ケアの遅れも懸念されています。
そこで、政府・与党は「団塊の世代」が75歳以上となる25年をめどに、医療・介護・予防・住まい・配食などの生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を急いでいます。このシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される中学校区など日常生活圏域を単位として想定。具体的な仕組みは、保険者である市町村や都道府県が地域の特性に応じてつくり上げていくことが重要です。
ちなみに、茨城県の介護保険を取り巻く状況を概括すると以下のようになります。
- 65歳以上の高齢者の数は、2025年には86.2万人となり、2040年には88.2万人となります。75歳以上の後期高齢者は2025年49.3万人、2040年には51.3万人となる見込みです。
- 65歳以上の高齢者の内、認知症患者は2010年に6万3000人でり、2025年には11万人までほぼ倍増します。
- 世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加します。2010年は、65歳以上の全世帯のうち16.7%ですが、2025年には24.1%となります。
世田谷区の事例:医療、介護、生活支援など高齢者へ一体的に提供
国としても、関連制度の見直しやモデル事業などを通じ、在宅医療と介護の連携強化や、認知症施策の充実、小規模型通所介護、サービス付き高齢者向け住宅の整備などを推進していく方針です。
東京都世田谷区は現在、人口86万7552人で、65歳以上は16万9568人と全体の19.55%を占めています。地域包括支援センターは区内27カ所に設置されています。このうち、4つの支援センターを中心とした地域で、国の介護予防・日常生活支援に関するモデル事業が行われています。
具体的には、地域の課題を“見える化”するため、住民と支援センターのスタッフが協力し、宅配してくれるスーパーやベンチのある歩道などを書き込んだ地図を作製。それを基に、課題の解決に向けたアイデアを出し合い、具体的な支援策を決めていっています。
例えば、ある都営住宅では近くにスーパーがなく、交通量の多い国道を横断しなければ買い物に行けないことが浮き彫りになりました。そこで、都営住宅で暮らす要支援者らの外出支援として、福祉施設の送迎車両の遊休時間帯を活用し、月1回、スーパーや郵便局への送迎サービスを行うことにしました。参加費は1回300円ですが、区の担当者は「単なる買い物だけじゃなく、皆で外出する楽しみに使うケースも出てきた」と語っています。
区内に住む70歳代の女性は、2012年7月に脊柱管狭窄症で手術を受け、「要支援2」の認定を受けました。その後、理学療法士などのアドバイスを受け、体操プログラムなどの教室に参加。その結果、退院から9カ月後には、正座ができるまで身体機能が改善し、要介護認定を更新せずに済みました。この女性は現在、地域の高齢者の集いで世話役ボランティアとして活躍しています。
一方、介護保険の軽度認定者に対し、ごみ出しなど簡単な家事援助でも介護保険サービスの訪問介護で対応している現状もあります。こうしたニーズ(要望)に対応できるような住民ボランティア活動の促進などが課題です。
注目集める「認知症カフェ」、早期治療にも期待:目黒区の事例
認知症の人や家族、医療従事者など、誰でも安心して集える「認知症カフェ」。自宅に引きこもりがちな認知症の人らが社会とつながる“居場所”であると同時に、地域の中で認知症の知識を普及させ、住民同士が支え合うまちづくりの取り組みとしても注目を集めています。
「Dementia(ディメンシア=認知症)」や「誰でもOK」などの頭文字「D」から名付けられた「Dカフェ・ラミヨ」。目黒認知症家族会「たけのこ」の世話人である竹内弘道さんが、自宅を改装し、2階に談話スペースを設置、2012年7月にオープンしました。竹内さんも介護の経験者。3年前にアルツハイマー型認知症と診断された母親を看取りました。「地域で暮らす認知症の人や家族に、そっと手を差し伸べる場所になれば」と竹内さん。毎月第2日曜日と第4土曜日に交流会を開いています。
カフェでは、神経内科医やケアマネジャーの資格を持つ女性なども加わり、竹内さんの進行で、コーヒーや和菓子を楽しみながら和やかに懇談。介護家族が経験を語ったり、医師に相談していました。専門病院や行政の窓口などを紹介された主婦は、「ここでは医師と気軽に話せるし、経験者がアドバイスをくれる。悩みを聞いてもらえただけでも気持ちが楽になった」と笑顔を見せていました。
国もこうした動きを推進しようと、12年9月に策定した「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」で、認知症カフェを今後の対策の柱の一つとして位置付けています。
日常生活で「おかしい」と感じ始めた人らが、いきなり病院に行くのはハードルが高い。そこでカフェに気軽に足を運んでもらい、早期発見・治療につなげる。交流を通じて、症状の進行を遅らせる効果も狙っています。
カフェ活動の形態はさまざまだすが、認知症の人と家族、地域住民、医療・介護従事者など誰もが集える場として定義され、各地で取り組みが始まっています。
そもそも認知症カフェは、オランダや英国で始まり、国内でも各地の自治体のほか、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人などが運営を始めています。厚生労働省も13年度から、開設を推進する自治体に事業費補助を始めています。
形態は様々で、「認知症の人と家族の会」が昨年度、全国で調べた28か所だけを見ても、家族会活動の発展型や介護施設などの活動、自治体のモデル事業、地域住民や個人の開設型などがありました。
国もこうした動きを推進しようと、昨年9月に策定した「オレンジプラン(認知症施策5か年計画)」で支援を明記。〈1〉認知症の人や家族だけでなく、地域住民、専門職、行政職員など誰でも参加できる〈2〉プログラムを持つ〈3〉医療福祉の専門職などコーディネーターをおく――などの要件を満たせば運営補助金を出すことにしました。
ただし、課題もあります。オランダや英国では、支援のあり方やプログラムの設定など運営の手引を示し、評価も行っています。一方、日本ではそうした質を確保する仕組みがまだありません。まずは、国や自治体が、実数や実態を調べて手引を示すとともに、本人の認知機能にどう影響し、家族や地域が変わったのかの効果も検証していく必要があります。
参考:認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業・報告書
国としても、関連制度の見直しやモデル事業などを通じ、在宅医療と介護の連携強化や、認知症施策の充実、小規模型通所介護、サービス付き高齢者向け住宅の整備などを推進していく方針です。
東京都世田谷区は現在、人口86万7552人で、65歳以上は16万9568人と全体の19.55%を占めています。地域包括支援センターは区内27カ所に設置されています。このうち、4つの支援センターを中心とした地域で、国の介護予防・日常生活支援に関するモデル事業が行われています。
具体的には、地域の課題を“見える化”するため、住民と支援センターのスタッフが協力し、宅配してくれるスーパーやベンチのある歩道などを書き込んだ地図を作製。それを基に、課題の解決に向けたアイデアを出し合い、具体的な支援策を決めていっています。
例えば、ある都営住宅では近くにスーパーがなく、交通量の多い国道を横断しなければ買い物に行けないことが浮き彫りになりました。そこで、都営住宅で暮らす要支援者らの外出支援として、福祉施設の送迎車両の遊休時間帯を活用し、月1回、スーパーや郵便局への送迎サービスを行うことにしました。参加費は1回300円ですが、区の担当者は「単なる買い物だけじゃなく、皆で外出する楽しみに使うケースも出てきた」と語っています。
区内に住む70歳代の女性は、2012年7月に脊柱管狭窄症で手術を受け、「要支援2」の認定を受けました。その後、理学療法士などのアドバイスを受け、体操プログラムなどの教室に参加。その結果、退院から9カ月後には、正座ができるまで身体機能が改善し、要介護認定を更新せずに済みました。この女性は現在、地域の高齢者の集いで世話役ボランティアとして活躍しています。
一方、介護保険の軽度認定者に対し、ごみ出しなど簡単な家事援助でも介護保険サービスの訪問介護で対応している現状もあります。こうしたニーズ(要望)に対応できるような住民ボランティア活動の促進などが課題です。
注目集める「認知症カフェ」、早期治療にも期待:目黒区の事例
認知症の人や家族、医療従事者など、誰でも安心して集える「認知症カフェ」。自宅に引きこもりがちな認知症の人らが社会とつながる“居場所”であると同時に、地域の中で認知症の知識を普及させ、住民同士が支え合うまちづくりの取り組みとしても注目を集めています。
「Dementia(ディメンシア=認知症)」や「誰でもOK」などの頭文字「D」から名付けられた「Dカフェ・ラミヨ」。目黒認知症家族会「たけのこ」の世話人である竹内弘道さんが、自宅を改装し、2階に談話スペースを設置、2012年7月にオープンしました。竹内さんも介護の経験者。3年前にアルツハイマー型認知症と診断された母親を看取りました。「地域で暮らす認知症の人や家族に、そっと手を差し伸べる場所になれば」と竹内さん。毎月第2日曜日と第4土曜日に交流会を開いています。
カフェでは、神経内科医やケアマネジャーの資格を持つ女性なども加わり、竹内さんの進行で、コーヒーや和菓子を楽しみながら和やかに懇談。介護家族が経験を語ったり、医師に相談していました。専門病院や行政の窓口などを紹介された主婦は、「ここでは医師と気軽に話せるし、経験者がアドバイスをくれる。悩みを聞いてもらえただけでも気持ちが楽になった」と笑顔を見せていました。
国もこうした動きを推進しようと、12年9月に策定した「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」で、認知症カフェを今後の対策の柱の一つとして位置付けています。
日常生活で「おかしい」と感じ始めた人らが、いきなり病院に行くのはハードルが高い。そこでカフェに気軽に足を運んでもらい、早期発見・治療につなげる。交流を通じて、症状の進行を遅らせる効果も狙っています。
カフェ活動の形態はさまざまだすが、認知症の人と家族、地域住民、医療・介護従事者など誰もが集える場として定義され、各地で取り組みが始まっています。
そもそも認知症カフェは、オランダや英国で始まり、国内でも各地の自治体のほか、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人などが運営を始めています。厚生労働省も13年度から、開設を推進する自治体に事業費補助を始めています。
形態は様々で、「認知症の人と家族の会」が昨年度、全国で調べた28か所だけを見ても、家族会活動の発展型や介護施設などの活動、自治体のモデル事業、地域住民や個人の開設型などがありました。
国もこうした動きを推進しようと、昨年9月に策定した「オレンジプラン(認知症施策5か年計画)」で支援を明記。〈1〉認知症の人や家族だけでなく、地域住民、専門職、行政職員など誰でも参加できる〈2〉プログラムを持つ〈3〉医療福祉の専門職などコーディネーターをおく――などの要件を満たせば運営補助金を出すことにしました。
ただし、課題もあります。オランダや英国では、支援のあり方やプログラムの設定など運営の手引を示し、評価も行っています。一方、日本ではそうした質を確保する仕組みがまだありません。まずは、国や自治体が、実数や実態を調べて手引を示すとともに、本人の認知機能にどう影響し、家族や地域が変わったのかの効果も検証していく必要があります。
参考:認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業・報告書