
5月3日、東日本大震災で津波の被害を受けた茨城県北茨城市大津町で、豊漁と海上安全を祈る「常陸大津の御船祭」の紋祭が盛大に開催されました。御船祭は5年に1度、震災後初の開催となる今年は「震災復興」祈願も兼ねての催しとなりました。
「常陸大津の御船祭」は、大津町の佐波波地祇(サワワチギ)神社の春の大祭です。
国選択無形民俗文化財指定の御船祭は、神船の両側に海の幸を描き、御輿を乗せた神船を、水主(歌子)の歌う御船歌や囃しにあわせ300人ほどの曳き手に曳かれ町中を練り歩きます。船底に車輪はなく、ソロバンとよばれる井桁状に組んだ木枠100丁を敷き、50人の若者が船縁にとりつき左右に揺らしながら木枠の上を滑らすように曳いていくという、見ごたえのある勇壮な祭りです。

午後1時、おはやしが鳴り響く晴天の下、漁労安全の神様を祭る神社のみこしが船に積み込まれ、御船祭はスタート。諏訪町より東町まで約5時間かけて、曳き回されます。特に、辰巳屋酒店前の交差点で直角に方向を変える際は、御船祭のクライマックスとも言えます。
かつて神船は、海上を渡御していましたが、その後海上部分が陸地となったために、現在のような陸上を船が動く形になったといわれています。
北茨城市は、東日本大震災で津波の直撃を受けました。最大高さ6.7メートルの津波が押し寄せ、死者5人、行方不明1人の犠牲者が出ました。大津漁港は防波堤や漁船などが大破し、被害総額255億円。復旧工事は2016年度末を完成目標に現在も行われています。御船祭に使われる祭事船を保管・展示している北茨城市漁業歴史資料館「ようそろー」も大破し。2年以上も閉館を余儀なくされました。
津波で住宅や店舗なくなってしまった空き地に、今年は桟敷席が設えられました。震災から3年、久々に大津の街に人々の笑い顔が戻ってきました。

(東日本大震災直後の大津町、2011年3月14日、井手よしひろ県議撮影)