5月12日、井手よしひろ県議ら茨城県議会農林水産委員会のメンバーは、美浦村の株式会社リッチフィールド美浦を視察ました。リッチフィールド美浦は、オランダのノウハウを全面的に導入した「パプリカ」の温室栽培を行っています。東急建設が全面的に出資(出資額450万円、長期貸付8億5000万円)して、約2万平米の大規模温室を建設しました。年間生産量(目標)は400t、金額ベースで2億円です。
東急建設は、経営の多角化と企業としてのブランドアップ、遊休地の利用計画の提案とその展開のノウハウ蓄積などの目的で、パプリカ栽培に参入しました。東急建設は、農作物の生産や販売の経験がなかったため、リッチフィールド社と共同出資し、一般農業法人を設立しました。リッチフィールドは、東北や九州などでパプリカとトマトの生産や販売を続けてきていて農業法人格も持っています。
パプリカの栽培に当たっては、正社員・パート従業員など30人程度を地元の美浦村や近隣から雇用しています。
パプリカは、ビタミンA、C、Eなどの成分含量が高く、動脈硬化症などの予防に効果が高いと評価されています。ヨーロッパでは、“ビタミンの王様”と呼ばれています。また、赤、黄、オレンジなどの色が美しく、サラダや中華料理などの彩いろどりに重宝される野菜です。国内の生産量は2500t程度で、その一方、輸入量は2万5000t程度と大幅な輸入超過です。主な輸入先は、韓国とオランダです。以前に比べて、一般家庭でも外食でもパプリカを目にする機会が増えてきているように、消費量は年率で10%以上の割合で拡大してきています。このため、外国からの輸送コストや鮮度の確保などの面を考えると、国内産は充分な競争力があります。
リッチフィールド美浦の温室は鉄骨造りで高さ5.3メートル(最大高6.45メートル)。パフリカの苗は椰子殻溶液培養プラントに植えられています。オランダ養液栽培によって生産管理が厳格に行われています。養液は100%雨水が利用され、廃液も回収して赤外線殺菌で再利用されています。冬は温水による加温、夏は自動で開閉する閉口幕などにより温度管理が行われています。自走式の作業車や防除車が導入され、作業の効率化が図られています。植物の栽培に重要な二酸化炭素の濃度管理もコンピュータで行われています。
施設を視察した印象は、正に植物工場です。全面的にオランダのノウハウを詰め込んだ施設には驚きを禁じ得ません。東急建設という建設会社がつくった施設ですが、温室の設計、資材、機材すべてオランダからの輸入だそうです。(オランダのメーカーの仕様で韓国やドイツのメーカーの製品もあります)「新規に開発するコストを考えると、全てを輸入した方が格段に安上がりです」との親会社である東急建設役員の言葉が印象的でした。
株式会社リッチフィールド美浦
農場:茨城県稲敷郡美浦村土浦1306−1
電話:029-875-7833
URL:http://www.vege-innovation.jp/