5月27日、集団的自衛権などを巡る自民党と公明党の2回目の与党協議が開かれ、政府は、集団的自衛権の行使容認や、新たな法整備をしなければ実行できないと考える事例など15の具体的事例を示しました。
NHKなどの報道によると、冒頭、座長を務める自民党の高村副総裁は「この協議の目的は、当面の政府方針を作ることであり、法案ができた段階で、より精緻な議論が行われることになる。きょうの時点では大きな方向性を議論してほしい」と述べました。これに対し、座長代理を務める公明党の北側副代表は「具体的な事例に即した議論がスタートする。国民の理解を得ながら進めていくことが大事であり、1つ1つの事例をしっかりと議論させてもらいたい」と述べました。
この後、政府側が、集団的自衛権の行使を容認しなければ、実行できないと考える事例など15の具体的な事例を示し、このうち武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーン事態への対応と、国連PKOを含む国際協力などの合わせて7つの事例を説明しました。
これを受けて、グレーゾーン事態への対応について検討が行われ、公明党は、事例のうち、日本の離島などに武装集団が上陸し不法行為を行った場合などに、政府が、どう対処するか、考え方を明らかにするよう求め、来週の会合で改めて議論することになりました。
一方、自民党は、国際協力などについて、国連のPKO活動に参加するほかの国の部隊が攻撃を受けた際に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」や、国連決議に基づく、多国籍軍への後方支援などを実施しやすくするための法整備が必要だと指摘しました。
また、自民党は、集団的自衛権の行使容認を巡る議論に早期に入りたいとしており、来週の協議では、これに関連した事例について政府側から詳しく説明を受けたいという考えを示しました。
集団的自衛権■15の具体的事例
「武力攻撃に至らない侵害への対処」いわゆるグレーゾーン事態への対応
- 日本の離島などに武装集団が上陸し不法行為を行った場合への対処
- 公海上で訓練をしていた自衛隊が、日本の民間船舶が武装集団から不法行為を受けている事案に遭遇した際の対処
- 武力攻撃が発生していない段階で、日本周辺で、弾道ミサイルの警戒にあたっているアメリカ軍の艦船の防護
国連のPKOや集団安全保障に関するもの
- 武力行使を容認する国連決議に基づく、多国籍軍への後方支援
- 国連のPKO活動に参加する、NGO職員や、ほかの国の部隊が攻撃を受けた際に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」
- PKOで、負傷したNGO職員などの輸送に向かう際に、妨害する武装集団を排除するための武器使用
- 海外で日本人がテロなどに巻き込まれた際、その国の同意があれば、自衛隊が救出活動にあたること
集団的自衛権に関係するもの
- 海外にいる日本人などを輸送するアメリカ艦船を防護すること
- 防御能力が十分でないアメリカの輸送艦や補給艦が武力攻撃を受けた際の防護
- 攻撃国に武器を運んでいる可能性がある不審な船舶を強制的に停船させ検査すること
- 日本の上空を横切り、アメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃すること
- 弾道ミサイル発射の警戒のため、防御能力が低下しているアメリカ艦船の防護
- 日本の周辺国からアメリカ本土が、大量破壊兵器で攻撃を受けた際に、日本周辺で対処する、アメリカの輸送艦や補給艦を防護すること
- シーレーン(海上交通路)で武力攻撃が発生した際、国際的な機雷の掃海活動に参加すること
- シーレーンでの武力攻撃に際し、各国と共同で、民間の船舶の護衛をすること