140605JAからの要請 6月5日、政府の規制改革会議が農協の仕組みを抜本的に見直すとした意見を取りまとめたことに対し、県内のJAグループの組合長らは、県議会に公明党県議団を訪ね、政府に対して反対をともに働きかけるよう要請しました。
 茨城県庁を訪れたのは県内にある農協の組合長ら合わせて35人です。県農業協同組合中央会の加倉井豊邦会長が県議会公明党の幹事長・井手よしひろ県議に要請文を手渡し、高崎進県議、八島功男県議と共に意見交換を行いました。
 先のブログ「農協組織で見直し案/関係団体には不安や戸惑い」でも指摘しましたが、政府の規制改革会議は「地域の農協が独自性を発揮した経営を行えるようにするため」としてJA全中が法律に基づいて農協の経営指導などを行う、現行制度を廃止することを柱とした意見をまとめました。
 これに対して、要請文では、組合員の意志を無視した改革は現場に混乱を生むだけで、農業者の生活や地域社会の維持に大きな支障をきたすとして、政府に反対を働きかけるよう求めています。
加倉井会長は「JAグループの解体に結びつくもので看過できない。高齢化が進む地域社会の中でJAが果たす役割は増えるし、それに向けた準備もしており、理解と協力を求めたい」と訴えました。
 要請文を受け取った井手県議は「茨城の農業を守ることは重要。そのためには農協の力は掛け替えのないものです。地方の人口減少が日本の大きな課題ですが、農業の活性化はその対応策としてどうしても必要です。株式会社化された農協が効率の悪い地域でどのような事業が展開できるか疑問です。また、地球環境を守るためにも農業は重要。さらに、茨城県では医療部門を担う協同病院もなくてはならない存在です。こうした、地域に欠かせない組織である農協を短兵急な検討で解体することは考えられない。農協自体も自己改革のプロセスを進めており、じっくりと慎重な議論が必要である」と述べました。

規制改革会議農業ワーキンググループ「農業改革に関する意見」に関する要請書

 5月14日に、規制改革会議農業ワーキンググループの「農業改革に関する意見」が公表されました。これは農業の生産現場を全く踏まえておらず極めて問題の多い内容となっております。
 JA・連合会は、定款等による自治法規を定め、総会等を通じて組会員・会員の意思を反映し、自主・自立で運営されています。こうした組会員・会員の意思による組織運営は、協同組会の根幹です。
 そのようなことを無視し、全農の株式会社化や信用・共済事業の代理業化など、法人格・事業の変更・廃止を一方的に強制することは、民間組織の自治に過大に関与することであり、認められるべきものではありません。
 組会の健全性確保や系統組織の相互調整の役割を発揮している中央会制度の廃止、正組会員の事業利用にも貢献している准組会員の事業利用の制限等は、利用者の相互扶助組織である協同組会の実態を無視したものです。
 協同組会の理念や実態を無視した改革や、事業利用者である組会員の意思を無視した改革は、現場に混乱を生むだけで、組会員に対する事業サービスに悪影響を与え、農業者の所得向上、食料安定供給、地域社会・生活の維持に大きな支障をきたします。
 また、農業生産法人の要件緩和により、株式会社の農地所有を認めることや農業参入を緩和することは、農外への農地の転用、投機目的の農地取得を促進し地域農業の健全な発展を阻害する恐れがあります。
 農業者・地域のための農業・農協改革は、農業の構造問題等に対応しつつ、組会員の意思による組合の自治(自己改革)を基本に、今後も継続して進めて参る所存です。
 ついては、私どもの意をお汲み取りいただき、貴職におかれては、生産現場の実態からかけ離れ、JAグループが農業・農村に果たしている役割を無視した税制改革会鶉農業ワーキンググループの「農業改革に関する意見」が、今後改訂される「農林水産業・地域の活力創逢プラン」に反映されないよう、政府・国会に対して働きかけを行われるよう要請いたします。
平成26年6月5日
茨城県農業協同組会中央会
会長 加倉井豊邦