6月27日、井手よしひろ県議は日立市議会の助川吉洋議員らと共に、日立市総務部新庁舎整備局から、日立市役所の新庁舎整備事業について、改めてヒアリングを行いました。
 平成29年1月の供用開始を目指している日立市新庁舎建設事業については、6月19日、実施設計の概要が市議会全員協議会で明らかになりました。日立市は昨年9月末に策定した基本設計の経緯を踏まえ、防災拠点機能や環境に配慮した新庁舎にする方針で、今年9月末までに実施設計を策定する予定です。
 本体工事に当たる第1期工事は10月に着手し、平成28年9月末に完成の見込みです。新庁舎建設では、市民団体からの豪華すぎる市庁舎建設への批判を考慮し、「総事業費130億円を超えない」との方針で設計が進められてきました。総事業費は129億8962万円あまりです。
 財源は、その大部分を国の震災復興支援や合併支援のための補助金を活用。残りを1960年代から蓄えてきた新庁舎建て替えのための基金で賄う方針です。新庁舎の建設のために新たな一般会計での起債(借金)はありません。震災復興資金や合併関連資金が使える、この時期に整備することによって市民の負担は大幅に軽減されると説明しています。
 整備局によると、第1期本体工事として本年度は執務棟と屋内広場の工事発注を予定です。
日立市役所新庁舎変更案
●実施設計で示された6月19日に日立市役所のイメージ
日立市役所新庁舎のイメージ
●基本設計で示された日立市役所のイメージ、機能性や経済性を配慮し大きく変更されました。
 最優秀設計案に選ばれた日立出身の建築家・妹島和世(せじま・かずよ)氏の基本設計案に対して、ガラスを多用し、前面に大屋根を配するなど贅沢すぎて、維持費が嵩むのではないかとの批判が、一部市民から寄せられていました。実施設計に当たっては、資財や人件費の高騰とも相まって、事業費の削減に努めました。
 その結果、基本設計では全面ガラス張りだった執務棟の外壁を、実施設計では南北面をセメント壁に見直し、東西面のひさしも外しました。固定だった窓ガラスも開口できる仕様に変更し、室内に海風を入れたり、窓ふきのメンテナンス性を高めました。
 執務棟と連結する屋内広場については、屋根を支える横張(よこはり)をなくし、アーチ状の鉄板の屋根を設置することで、柱の本数を減らすなどして建設費を圧縮しました。清掃や管理もしやすくなりました。
 一方、防災拠点としての機能は充実させています。3日間連続運転が可能なガスタービン発電機、防災設備機器や情報系機器に対応した無停電電源装置などを設けます。また太陽光発電のほか、雨水をトイレの洗浄水として日常的に有効利用し、環境に配慮した施設とします。
 執務棟と屋内広場は免震地下1階・地上7階建てで、延べ床面積は約2万7千平方メートル。地下1階に駐車場、1階に総務部や保健福祉部、2階に財政部や生活環境部、3階に教育委員会などを設けます。4〜6階は管理部門とし、7階に市議会議場を設置します。特に、免震構造を室内広場にまで拡大し、地震などで避難した市民の安全を守る配慮を加えたことは高く評価できます。
日立市の新庁舎建設の財源内訳 また、建物の外壁を基本設計時の特注ガラスから、合わせガラスとセメント板に変更することで総事業費削減に取り組みました。設計者の設計意図を最大限活かしながら、コストの大胆な削減に取り組みました。

 新庁舎建設事業は多目的ホール棟の建設などを柱とする第2期工事や解体工事などを経て、平成29年度中に全て完了する予定です。
 財源については、震災復興特別交付税や被災施設復旧関連事業債など国の制度を利用し、実質的な負担額は2割程度に抑えられる見込みです。大部分は庁舎建設のための基金(積立金)で賄える見込みです。