要介護状態になる原因疾患 国民病といわれる脳卒中の対策充実に向け、自民、公明など4党が6月18日に参院に提出した「脳卒中対策基本法案」。先の通常国会では継続審査となりましたが、秋の臨時国会での成立をめざして今後、議論が本格化する見通しです。
 介護が必要となった主な原因脳卒中は、脳の血管が血栓(血の塊)などで詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血、くも膜下出血により、脳細胞が壊死してしまう病気です。要介護状態になる原因の第1位であり、死因では第4位だ。2011年度の医科診療医療費は1兆7894億円に上り、全体の6.43
%を占めています。さらに、重い後遺症が残る場合があり、再発率も高いなど、医療・介護の両面で重い負担が掛かっています。
 対策としては、脳卒中の約7割を占める脳梗塞の場合、血栓を溶かす薬を投与する「t―PA療法」を発症後4時間半以内に行うことで、症状が大きく改善する確率が高くなります。しかし、現状では患者全体の5%未満しか同療法が用いられていません。また、脳卒中の予防には、生活習慣を改善し、主要な危険因子である高血圧を防ぐなどの取り組みも欠かせません。
 こうした状況を受け、自公両党は2013年12月に「脳卒中対策を考える議員の会」を設立し、公明党からは桝屋敬悟衆院議員が会長代行に就任。医療関係者や患者など14団体からなる「脳卒中対策立法化推進協議会」が作成した要綱案を基に、今回の法案をまとめました。
 法案では、居住地に関係なく迅速な救急搬送や治療、リハビリ、福祉サービスを総合的に提供できる体制づくりを掲げました。併せて、▽予防の推進▽専門医療機関の整備▽消防や医療など関係機関相互の連携協力体制の整備▽人材の育成―などの実施を求めています。
 国に対しては、脳卒中対策推進基本計画の策定を義務付け、策定の際は、関係者でつくる全国脳卒中対策推進協議会の意見を聞くよう定めました。都道府県については、対策推進計画の策定を義務付ける一方、協議会の設置は努力義務としました。
 公明党はこれまで、2005年にt−PA療法の健康保険適用を実現するなど、脳卒中対策に一貫して取り組んできました。法案提出者の一人である公明党の秋野公造参院議員は「正しい知識の普及・啓発や連携体制の強化、省庁横断的な施策の推進によって、対策の実効性を高めたい」と語っています。

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