辻製油の全景 7月18日、井手よしひろ県議ら県議会予算特別委員会の一行は、県外調査の他のため三重県松坂市の辻製油株式会社を訪問しました。辻保彦社長ら会社幹部から、バイマスエネルギーの利用やアグリビジネスへの参入について、聴きとり調査を行うと共に工場内を視察しました。
 辻製油は、とうもろこし、なたね等から食用油を製造している製油メーカーです。独自の抽出・精製技術を駆使して大豆レシチン、とうもろこし胚芽由来のセラミドといった機能性素材を数多く製造し、健康食品、化粧品メーカー等に原料として販売しています。資本金1000万円、従業員100名の活力ある地方企業です。
バイオマスボイラー設備 従来、燃料としていた重油を、間伐材などの木質チップを燃焼させて発生する蒸気に置き換えました。間伐されず日光が遮られていたり、間伐材が放置されたままの森林は、地元松阪周辺でも多数の箇所で見受けられ、環境保全の観点から問題視されてきました。それら間伐材をはじめ、製材端材や樹皮、原木市場残材等を破砕し、木質チップに加工する「松阪木質バイオマス熱利用協同組合」に設立参画し、資源の有効活用に取り組んでいます。
 平成21年に、「松阪木質バイオマス熱利用協同組合」のバイオマスボイラー工場が完成。チップ化された木材を燃やし、発生した蒸気を辻製油の食用油製造工場へと供給することで、石油換算で年間9000キロリットルを削減。さらにCO2の発生を2万3000トン抑えることができました。
 また燃焼灰についても、路盤材やセメント、汚泥発酵肥料に利用する等、産業廃棄物を有価物へと変換して、資源リサイクル化を推し進めています。
最新鋭の植物工場
余剰の温水や蒸気を活用しアグリビジネスに進出
 さらに辻製油は、地元の浅井農園、総合商社の三井物産との合弁で、「うれし野アグリ株式会社」は設立。工場の排熱と木質バイオマス蒸気を利用した国内最大級の太陽光利用型植物工場を建設し、今年秋から高品質のトマトの栽培・販売を開始する計画を進めています。
 うれし野アグリは、天候や気候に左右されない周年栽培、計画生産、安定供給を可能にする技術を用いたオランダ型の「太陽光利用型植物工場」と国内の先進的技術を組み合わせ、トマトなど果菜類の高収量および低コスト生産を目指しています。
 植物工場に隣接する製油工場の排熱および木質バイオマスボイラーからの蒸気を有効活用し、化石燃料を使わない栽培を目指します。また世界最高レベルの技術を誇る高軒高のオランダの植物工場設備を採用し、自動化設備による生産性の向上を図ります。さらに、高温多湿な日本の環境に適した新たな栽培方法・技術に取り組むことにより、国内最高レベルの収量、ミニトマトの場合、25トン/10アール(日本の平均収量の約3倍)の生産を目標にしています。