井手よしひろ県議、計画の進捗状況を街頭で説明
井手よしひろ街頭議会報告 7月29日、井手よしひろ県議は市内4箇所で県議会報告を行いました。日立市が進めている新庁舎の建設について、その経緯と課題などについて報告しました。このブログでは、そのポイントを掲載します。
 日立市は本年度から、新庁舎建設工事に具体的に着手しました。当初予算には、平成26年度から30年度の5ヵ年の継続で約130億円を計上しています。6月中旬に入札手続きを公示。8月6日に開札し、工事契約案は9月定例議会に提出し、10月にも着工する予定です。地上7階、地下1階建ての執務棟を中心とする第1期工事は28年末までに工事を終え、29年1月にも供用を開始する計画です。
 新庁舎の整備は、施設の老朽化や増築による複雑な構造などで、震災前に計画さました。耐震診断では全棟で耐震化が必要とされたが、結果判明直後に発生した東日本大震災で一部施設が被災。利用不能となる施設もあるなど防災拠点として機能しませんでした。震災復興計画では全面改築の方針が示されました。新築にあたっては、国の有利な震災復興資金を活用できるメリットがあり、比較的スムーズに議会の承認も得られました。
 平成24年秋には、全面改築に向けた基本計画を策定。昨年3月には、基本・実施設計コンペで選定した日立市出身の妹島和世氏が代表を務めるSANAA事務所と契約を結び、9月までに基本設計をまとめました。その後、建築費を抑え、保守、清掃などのやりやすさを考慮した見直しが行われ、実施設計が行われました。
日立市役所新庁舎変更案
 新庁舎は、敷地中央に配置された大屋根を持つ多目的広場が特徴で、多目的広場の西側部分には執務棟と大屋根を持つ屋内広場を配置。現庁舎を解体した跡地の東側部分には、多目的広場やレストランを併設する多目的ホール棟が配置されます。
 施設規模は、執務棟と屋内広場、多目的ホール棟を合わせて延べ2万8457平方メートル。このうち、地下部分に5662平方メートルを充て、書庫・防災備蓄倉庫や駐車場などを配置します。執務棟はコンペ時、地下1階地上8階建てされていましたが、1フロアあたりの面積を広く取れるよう機能面から見直しを行い、SRC造地下1階地上7階建て、高さ約27メートルに変更しました。妹島氏のデザインの特徴であるガラスを多用した壁面も、東面を除いて通常のコンクリートボードに変更されました。執務棟と屋内広場の一部には、災害時の防災拠点施設とするため免震構造を採用しました。
 大屋根部分となる多目的広場は延べ5872平方メートルで、国道6号側に面する敷地東側に多目的ホール棟を配置します。市道に面する南側部分には、路線バスやタクシーなどの乗降所となる交通広場を設置し、敷地最西端には車両棟を整備します。
 現在入札が行われている、第1期本体工事は、建築、電気設備、機械設備を一括とし、代表者となる全国ゼネコンと市内建築A等級の企業とで構成する特定JVに発注することになっています。
 6月6日に一般競争入札を公告され、JVの申請書は6月27日まで受け付けました。8月6日に開札されます。
 新庁舎は執務棟、屋内広場、大屋根、多目的ホール棟を整備する。今回、執務棟と屋内広場を建設する第1期本体工事のみ発注する。予定価格は約110億円です。
 また、大屋根と多目的ホール棟を建設する第2期本体工事については、今後の社会情勢を見極めた上で発注方法を固め、29年度に施工されます。外構、車両棟建設、既存庁舎解体、第2期数沢川改修などの工事は、地元業者に個別発注します。
日立市の新庁舎建設の財源内訳 財源は、その大部分を国の震災復興支援や合併支援のための補助金を活用。残りを1960年代から蓄えてきた新庁舎建て替えのための基金で賄う方針です。新庁舎の建設のために新たな一般会計での起債(借金)はありません。震災復興資金や合併関連資金が使える、この時期に整備することによって市民の負担は大幅に軽減されると市は説明しています。(震災復興債と合併特例債には地元負担が3割求められますので、起債による日立市の後年度負担は15億円程度になります)
 この新庁舎工事については、市民団体「日立市の再生を考える市民の会」(山本忠安、高浜正敏共同代表)が建設計画凍結を求めています。7月4日には、日立市に緊急要望をしました。3回目となる署名簿提出も同時に行い、「多くの市民の声を無視し、建設を強行することは極めて遺憾」として入札の中止と計画凍結を吉成明市長にあらためて申し入れています。
 要望書では、千葉県木更津市と埼玉県秩父市が建設資材や人件費の高騰を理由に新市庁舎の建設延期を決めたことに触れ、「建設強行はリスクを無視したあまりにも無謀な行為」と指摘。「入札を中止し、建設関連の市況が落ち着くまで建設を凍結し計画を見直すべきだ」と主張しています。署名簿は約3800人分増え、計8285人分となりました。 
 市役所の新庁舎は半世紀以上にわたり日立市の象徴として市民の親しまれていく存在です。130億円という大事業にもかかわらず、市民への情報提供が少なすぎます。現に入札がすでに進んでいることを知る市民はほとんどいないと思います。日立市には丁寧な市民への説明、広報を望むものです。