風力発電 7月31日、東京電力のことし4月から6月までの決算が発表されました。発表によりますと、東京電力の4月から6月まで3か月間のグループ全体の決算は、燃料費の増加に伴って電気料金が値上がりした結果、売上高が1兆5685億円で、去年の同じ期間と比べて9.1%増えました。また、コスト削減を進めたことで経常費用は2.6%の増加にとどまり、その結果、経常損益は525億円の黒字となりました。東京電力のこの期間の決算が黒字となったのは、東日本大震災が起こる前の平成22年以来4年ぶりです。ただコスト削減は、送配電に必要な設備の修繕工事を先延ばしたことなどによるものだとしています。
 一方、電気料金の再値上げについて、東京電力の廣瀬直己社長は修繕工事の先延ばしには限界があり、昨年度より収支が厳しくなっているとして、今後の状況を見極めながら検討する考えを改めて示しました。
 一般庶民に感覚からいうと、福島第1原発の事故を起こし、度重なる電気料金の値上げを行っている中での黒字決算。この4半期に限ったものかもしれませんが割り切れぬものがあります。

“ネガワット取引”電力会社は家庭への普及模索を
 さてこの夏は、連日連夜の暑さ。冷夏の予報は一転、当面は全国的に猛暑の夏になる見通しです。体調管理には適切な冷房使用が欠かせませんが、ピーク時の電力需給の行き詰まりを懸念する声は根強くあります。
 電力供給が厳しい状況は当面の間続きます。政府は太陽光に代表される再生可能エネルギーの普及加速と、節電など即効性の高い取り組みを同時に推進する必要があります。国民の協力による節電は重要な取り組みの一つですが、消費者が得られるメリットは実感しにくい傾向があります。この難点をクリアし、節電による需要抑制の効果を最大限に引き出すには「ネガワット取引」です。
 ネガワット(Nega−Watt)は英語で「負」を意味する「ネガティブ」と、電力単位の「ワット」を組み合わせた造語です。特徴は電力会社の要請を受けた消費者の節電努力を“発電分”と捉えて、見返りに電力会社が節電分へ対価(手数料)を払う点にあります。架空の電力を取引し、需要を減らせるためネガワット取引と呼ばれています。
 電力会社には、手数料の支払いを上回る利点があります。沖縄を除く電力各社は電力不足を解消するため、火力発電をフル稼働中です。発電に必要な液化天然ガス(LNG)の急増は、電力会社の収益を圧迫しています。電力会社にすれば、使えばなくなるLNGに費用を掛けるより、消費者に手数料を支払う方が電力需要を効果的に抑制できる上、消費者に節電に協力してもらいやすくなります。
 既に、関西電力は消費量の大きい企業向けを中心とした取引の実績があります。2013年夏季のネガワット取引での節電効果は約5万キロワット。マガソーラ(太陽光発電所)の5カ所分に相当する電力量です。利点の大きい取引だが、関西周辺以外への広がりはありません。ネガワットの考え方が浸透しておらず、活用が進まないことが一因です。電力使用量の把握が容易な大口需要家であれば、他の電力会社でも実施は可能です。
 大口需要家との取引が拡大し利点が認識されれば、将来的には家庭への適用も視野に入ります。取引の実現には、電力使用状況を瞬時に把握する計測器(スマートメーター)の普及が欠かせません。政府は各電力会社と連携し、ネガワット取引の拡大策を具体的に検討すべきです。
 エネルギー問題は、電力会社の努力だけに頼っていては、解決できません。我慢を強いる節電から脱却し、国民が主体的に電力使用の抑制に取り組める環境が重要です。
 安倍首相の原発再稼働路線には、疑問を感じます。再生可能エネルギーの活用、このネガワット取引などの電力使用の効率化などにもっと力点を置くべきです。