高解像度降水ナウキャスト 8月9日、台風11号は九州南部を暴風域に巻き込みながら北上していて、9日夜にかけて四国にかなり接近し、その後、上陸するおそれがあります。
 気象庁は午後5時20分、三重県に大雨の特別警報を発表しました。三重県ではこれまでに降った大雨で甚大な災害の危険が迫っています。土砂災害や浸水などに最大級の警戒が必要です。気象庁は、自治体からの避難の情報や周囲の状況を確認し、安全を確保するよう呼びかけています。
 こうした台風やいわゆるゲリラ豪雨の際に、きめ細やかな情報を提供してくれる新たなシステム「高解像度降水ナウキャスト」の運用が8月7日から始まりました。
 「青い空に真っ白な入道雲」は夏を象徴する光景ですが、入道雲は急な大雨や雷、竜巻等の激しい突風をもたらす恐ろしいものでもあります。雨が降り始めてからわずか10分程度で中小河川の増水や低地の浸水が発生することもあります。
 このように変化が激しい現象を予測するのに適した手法が「ナウキャスト」です。ナウキャストとは「現在(now)」と「予測(forecast)」を組み合わせた造語で、現在の状況を詳細かつ迅速に解析し、短い時間の予測を頻繁に更新することを意味します。気象庁はこれまでも「降水ナウキャスト」、「雷ナウキャスト」及び「竜巻発生確度ナウキャスト」を運用してきました。
 高解像度降水ナウキャストは、30分先までの5分ごとの降水強度及び5分間降水量を250m四方の細かさで予測し、5分間隔で発表します。従来の降水ナウキャスト(1km四方)の4倍の精度で、強い雨をより詳しく解析・予測できるようになりました。
 詳細な解析を行うためには、密度の高い観測データが不可欠です。高解像度降水ナウキャストでは、気象庁のレーダーに加えて、国土交通省が運用するXバンドMPレーダー雨量情報(XRAIN)を利用します。さらに気象庁・国土交通省・地方自治体が持つ1万箇所以上の雨量計の観測値や、ラジオゾンデ及びウィンドプロファイラによる高層観測のデータも組み合わせて、強い雨域の内部を立体的に解析します。
 予測は、雨域がこれまでと同じ速さ・同じ方向に移動すると仮定して将来の位置を決める方法を基本に、地形や風の流れの影響による雨域の停滞や、積乱雲の発生・発達・衰弱の予測を加えます。 140809nowcast
 高解像度降水ナウキャストが持つ詳細な情報を活用していただくため、気象庁ホームページでの表示方法も工夫しました。予測の細かさを活かすために図を大きく拡大できるようにしたほか、雨域が今後移動する領域や、雷ナウキャスト・竜巻発生確度ナウキャスト、アメダス10分間降水量を重ね合わせることで、1枚の画像を見るだけで現在及び今後の状況を把握できるようになっています。また、外出先での利用を想定し、位置情報から表示領域を設定する機能やスマートフォン用のページも用意されています。
参考:高解像度降水ナウキャスト(気象庁)