140906hirashima 9月4日、広島市など各地で大雨による大規模な土砂災害が発生したことを受け、公明党の「土砂災害防止法改正検討プロジェクトチーム(PT)」は、復興・防災両部会との合同会議の形で初会合を開き、土砂災害防止法の改正へ国土交通省と意見を交わしました。
 土砂災害防止法は、土砂災害の危険性がある「警戒区域」と、住民の生命や建物に著しい危害が生じる恐れのある「特別警戒区域」を指定し、住民への危険周知や避難態勢の整備などの防災対策を進めるものです。 
 国交省は、広島市で発生した土砂災害の人的被害が死者72人、行方不明者2人、負傷者44人に上ったことを報告。さらに、被害拡大の主な原因について、(1)被害現場の多くが警戒区域や特別警戒区域に指定されておらず、危険性が住民に伝わっていなかった、(2)土砂災害警戒情報の発表が避難勧告につながらなかった、(3)避難場所や避難経路が適切でなかった場所がある―と説明しました。
140905hyou 公明党は国交省に対して、全国には土砂災害危険箇所が52万5307あるにもかかわらず、警戒区域は35万4769箇所しか指定されていません。都道府県によって指定状況にばらつきがあることも問題で、区域指定が進むように財政・技術両面で国が支援を行うよう求めました。
 また、土砂災害危険箇所の調査から10年以上が経過していることを踏まえ、現在の実態に即した、より正確な危険箇所数を把握すべきだと要望しました。
 一方、太田昭宏国土交通相(公明党)は8月31日のNHK「日曜討論」に出演し、広島市で発生した土砂災害に触れ「雨の降り方が局地的、集中的、激甚化している」と指摘した上で、豪雨対策を進める上で前提となる1時間当たりの雨量について、「地形によっても違うが、これまでの50ミリ対応ではだめで、75ミリに対応していく必要がある」との考えを明らかにしました。
 土砂災害防止法に関しては、「(秋の)臨時国会での改正を考えており、大きな三つの柱を検討している」と表明。まず、土砂災害警戒区域に指定された市町村にハザードマップの作成を義務付けている現在の対策に加え、住民の避難行動計画の策定も求める規定を盛り込んでいくと強調しています。
 さらに、都道府県が警戒区域などの指定の際に行う基礎調査の結果公表の義務化や、土砂災害警戒情報の市町村への提供義務付けを進める考えも示しました。
 さらに、警戒区域に住む住民に建築などに関する私権の制限を強めるという考え方に対しては、「単なる力ずくの強制力ではなく、住民にどこまで納得してもらえるか、あくまでも命を守るという一点が大事だ」と述べています。
 今後、本格的な作業が進む来年度の予算編成に向けては、「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化のため、優先順位を付けて命を守る公共事業を的確に実施する」と強調。砂防ダムの整備についても、「財政の制約があるからこそ、優先順位を見極めて人命を守る体制を取りたい」と語りました。
 避難勧告のあり方に関しては、情報を素早く的確に漏れなく伝える必要性を指摘した上で、命を守るためには住民の主体性も重要であるとし、「国民の意識変化を促すために、国としてもバックアップしなければならない」と訴えました。