公明党井上幹事長の代表質問 10月1日、衆議院で安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行われました。公明党の井上義久幹事長は、地方創生や女性・若者が活躍できる国づくり、近隣諸国との関係改善など、政治課題は山積していると指摘。11月17日に公明党が結党50年を迎えることに触れ、「現場第一主義を貫き、地方議員、国会議員のネットワークを通じて、国民の声を政治に届ける」と語りました。
 その代表質問の中で、井上幹事長は「活気ある温かな地域づくり」について、地方創生は「『ひと』が要であり、中心」と強調し、行政サービスの充実と、地域で生計が立てられる“なりわい”の確保を両立させ、「住み続けられる地域」をつくることが重要と訴えました。その上で超高齢社会を支える介護人材の確保へ、「福祉人材確保指針」の見直しを要請。首相は「福祉人材確保のための国の指針を見直し、総合的な方策を講じる」と答えました。
 また井上幹事長は、魅力ある地域づくりへ、都市部の若者が過疎地で暮らして地域協力活動を行う「地域おこし協力隊」の事業拡大を主張。首相は「効果の高い政策を集中的に進めていく」と応じました。
 さらに、井上幹事長は女性と若者の活躍で活力ある地域づくりを進めるよう訴えたほか、安心の地域づくりへ「国と地方が連携し、地域の防災・減災対策を強化すべきだ」と述べました。
地方創生のキーワードは「人」
安部首相の答弁 地方創生のキーワードは「人」です。政府の「まち・ひと・しごと創生本部」の名称の通り、「まち」と「しごと」の真ん中に「ひと」がある、このことが重要です。「ひと」が要であり、中心になければ、地方創生はしょせん、形だけに終わります。
 「ひとが生きる」、そのために地域における行政サービス、特に医療・介護などの社会保障や教育の充実・確保を図りつつ、地域で生計が立てられるよう、“なりわい”としての産業と雇用の場を確保する、この両輪をかみ合わせながら、個性あふれる、安心して住み続けられる地域をつくっていく、それが地方創生だと考えます。
 今般、公明党は、こうした視点に立ち、全国の地方議員と議論を重ねながら「活気ある温かな地域づくり」をめざす提言を取りまとめました。その提言に沿い、以下、質問します。

支え合う地域づくり
 第1は、“支え合う地域づくり”です。超高齢社会に突入する我が国においては、高齢者が地域の中で、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスなどを一体的に受けることができる「地域包括ケアシステム」の構築、推進が不可欠です。そのための財源を適切に確保し、地域の実情に即して活用できるようにすべきです。
 その上で、在宅医療や介護を可能とする訪問看護や、小規模多機能型の居宅介護サービスの全市町村での実施、さらには、生活支援サービスと組み合わせた高齢者住宅の確保などが重要です。
 関連して、認知症対策にも力を注ぐべきです。「オレンジプラン」を抜本的に見直し、地域における早期診断・治療・ケア・相談など総合的な支援体制の充実を図るなど、認知症の人とその家族を支え、できる限り住み慣れた地域で生活できる環境を整えるべきです。
 また、こうしたサービスを支える介護人材を確保するため、処遇の改善はもとより、介護職のイメージアップのために「福祉人材確保指針」を抜本的に見直し、国を挙げて取り組むべきです。
 さらに地域の支え合いには、多様な支え手の協力が不可欠であり、NPO、ボランティア、民間事業所などによる新たな地域支援事業の展開が必要と考えます。

魅力ある地域づくり
 第2に、“魅力ある地域づくり”です。全国的に人口減少が進む中で、年間10万人程度の若年層が東京圏への転入超過となっています。地方から見れば、若年層の流出で高齢化に拍車がかかり、地域の活力がさらに奪われかねません。
 こうした人の流れを転換するため、地方のUターン・Iターン・Jターンを促す支援策を構築し、若者の地方就職を進めるべきです。また、地方への定住支援として、都市部の若者が過疎地で暮らしながら地域協力活動を行う「地域おこし協力隊」が大きな成果を挙げており、さらに事業を拡大すべきです。
 また、魅力あるコミュニティーを形成するため、コンパクトでスマートなまちづくりも欠かせません。地域の中小企業の人手不足を抜本的に解消するためのマッチングの仕組みや、地域資源のブランド化などによる新たなビジネスモデルの展開など、地域の特性をフルに発揮できる仕組みを構築すべきです。

安心な地域づくり
 第3に、“安心な地域づくり”です。国と地方が連携し、地域の防災・減災対策を抜本的に強化すべきです。特に、橋梁や上下水道、道路、学校施設などの老朽化対策、耐震化を計画的かつ効率的に進めていくべきです。
 また、防災や防犯等の観点から、空き家対策も重要です。放置された空き家は、倒壊や火災発生の恐れ、さらには犯罪の温床となるなど、問題は深刻です。周囲に迷惑をかけているような空き家は除却を促し、使用できる空き家は地域の活性化のために利活用するなど、問題解決に向けた法整備を早急に進めるべきと考えます。

活力ある地域づくり
 第4は、“活力ある地域づくり”です。これからの地域の担い手は、女性や若者です。
 公明党は、女性が輝く社会を構築するための「女性の元気応援プラン」を取りまとめ、提言しています。チャイルドファースト社会をめざした待機児童解消、特に明年4月に本格的に実施される「子ども・子育て支援新制度」について財源確保を含めた着実な推進が欠かせません。妊娠・出産、産後ケアを通じてワンストップで母子の健康を支えていくことも重要です。
 一方、若者を取り巻く環境は、正社員か非正規かという働き方の二極化や起業における障壁、地域からの疎外など、活力を発揮し難い隘路に陥っています。
 キャリアアップ助成金の活用等による非正規労働者の正社員化など、雇用対策を強化するとともに、創業・起業支援など、未来を担う若者が活躍できる環境整備に努めるべきです。