平成25年度決算の市町村財政健全化指数 地方自治体の財政の健全化を図るため、地方財政健全化法案が制定され、2008年度決算から全自治体に、公営企業や第三セクターまで含めた4つの財政指標の公表を義務付けられています。
 地方財政健全化法は、これまでの再建法が(1)自治体の財政状況を定期的に公表する仕組みがない、(2)基準が一般会計の単年度の赤字だけを対象にしている、(3)破たんに至る前段階での健全化策が用意されていない――ことへの反省から制定され、深刻な財政状態に陥る前の早い段階で健全化を図ることによって、自治体の財政改革が進めることを目的にしたものです。
 この制度により、すべての自治体に毎年、9月までに前年度の決算における4つの財政指標を公表するよう義務付けられています。公表される指標は、単年度の一般会計の赤字比率を示す「実質赤字比率」、国民健康保険や介護保険、公営企業も含めた「連結実質赤字比率」、一般会計が負担すべき公債(借金)の返済額の3年間の平均である「実質公債費比率」。土地開発、道路、住宅供給の地方3公社や自治体が出資している第三セクターも含めた自治体が負担すべき額の合計である「将来負担比率」の4つです。これによって、自治体の負担はほぼカバーされています。
 この指標が一定基準より悪化した場合に自主的な「財政健全化計画」を策定し、議会の議決を経て公表、公認会計士の外部監査を受けながら健全化に取り組むのが第一段階。さらに悪化している場合には、国の同意が必要な「財政再生計画」を策定し再建に取り組む、という仕組みです。この枠組みが、自治体に財政状況を公表することを義務付けることによって、指定を受ける以前の段階での自主的な健全化努力を促すことに重点を置いています。
茨城県では実質公債比率、将来負担率とも高萩市、境町が要注意
 茨城県内自治体の平成25年度決算の状況は、実質赤字及び連結実質赤字が生じた市町村はありませんでした。実質公債費比率については、過去に借入れた地方債の償還終了などによる地方債償還額の減少等で、県平均で0.8ポイント減の9.0%となっており、地方債の許可団体となる18%以上はありませんでした。早期健全化基準25%以上の市町村がないのは平成19年度から7年連続となりました。
 将来負担比率については、地方債の償還額等に充当可能な基金の増等により県平均で前年度比12.1ポイント減の42.9%となっており、早期健全化基準350%以上となった市町村はありませんでした。
 実質公債費比率のワースト5は、1.高萩市(17.2%)、2.境町(16.2%)、3.五霞町(14.5%)、4.鹿嶋市(14.2%)、5.城里町(13.7%)となっています。将来負担比率のワースト5は、1.境町(184.1%)、2.高萩市(120.4%)、3.古河市(105.9%)、4.水戸市(97.2%)、5.かすみがうら市(96.8%)となっています。
 なお日立市は、実質公債費比率が2.6%で東海村に次いで健全な財政状況。将来負担率は該当する負担がなく、県内でもっとも健全な財政状況でした。