国民生活に不可欠なライフラインである上水道事業が岐路に立たされています。施設の老朽化に伴う維持・更新費が増加し、水道料金の値上げを余儀なくされる地方自治体も少なくありません。
更新費、年間約1兆円に/耐震化が遅れ、技術者不足も
高度に衛生管理された安全な水を提供し、世界に誇り得る日本の水道が、転換期を迎えています。
国土交通省の2014年版「日本の水資源(水資源白書)」によると、老朽水道管の更新費は増加の一途をたどり、20年から25年度には年間約1兆円に達します。25年度には、更新に必要な額(更新費)が、使える額(投資額)を上回る時代に入ることにあんります。
水道施設の耐震化の遅れも指摘されています。基幹管路で33.5%、浄水施設で21.4%、配水池で44.5%(いずれも12年度)と、“地震国”でありながら耐震適合率の低さが目立ちます。
PFIなど経営努力
日本の水インフラ(社会資本)の多くは、高度経済成長期、1950年代半ばから70年代前半にかけて整備されました。それが今、一斉に更新の時期を迎えているのです。11年度時点で法定耐用年数(配水管40年)を超えた管路は、全体の8.5%。更新スピードの遅い現状のままでは、この割合は、今後も増えていくと予想されます。老朽化が原因で水道管が破裂し断水を引き起こす事故も、6月の大津市など各地で顕在化し始めています。
更新費の負担は、上水道事業を管理する地方自治体(水道事業体)にとって頭痛の種です。特に、全体の約7割を占める給水人口5万人未満の中小規模事業体にとって、影響はより深刻となります。
上水道事業は独立採算制が原則です。人口減少に加え、家庭や工場における節水技術・意識の進展により、料金収入は減少傾向にあります。施設整備に充てられる補助金など、国の水道関連予算の減少も事態に追い打ちを掛けています。こうした状況を背景に、4月から水戸市が7.9%、10月から埼玉県秩父市が17.5%(12月以降の検針より新料金を適用)の水道料金値上げに踏み切るなど、各地で住民の負担増につながっています。
技術者不足も深刻です。水インフラの維持・管理に携わる職員は高度な専門技術を持つ、いわば“職人”です。ところが、地方公務員削減のあおりを受け、水道関連の職員数は、95年からの17年間で約3割も減少しています。経験豊富な人材が足りず、技術力を継承できない状況に、関係者から不安の声が上がっています。
こうした中、地方自治体は、さまざまな経営努力を展開しています。その一つが、民間委託の推進です。PFI(民間資金等を活用した社会資本整備)などの導入により、事業コストを削減するとともに人材不足を補完し、質の高い公共サービスを維持しようと努めています。実際、全国の浄水場の技術者のうち1割は民間委託によるものなのです。浄水場の統廃合や業務・工事の共同発注など水道事業の広域化の促進も模索しています。
日立では15年間に200億円の更新費用
日立市では、水道施設の老朽化と東日本大震災の被害を踏まえ、平成24年3月に新たな「日立市水道事業総合基本計画」を策定しました。
これによると、平成24年の1日平均給水量62,689立方メートル/日は、15年後の47年は50,105立方メートル/日に2割減少すると計画しています。また、耐震化の進捗状況は平成24年現在で50.2%で、全国平均を大きく上回っています。
こうした前提のもとに、平成39年度までの15年間で、導水管5,600m、送水管29,190m、配水管140,589mを更新する計画です。事業費は200億3378万円余りで、年間平均13億3500万円となります。
技術者不足も深刻です。水インフラの維持・管理に携わる職員は高度な専門技術を持つ、いわば“職人”です。ところが、地方公務員削減のあおりを受け、水道関連の職員数は、95年からの17年間で約3割も減少しています。経験豊富な人材が足りず、技術力を継承できない状況に、関係者から不安の声が上がっています。
こうした中、地方自治体は、さまざまな経営努力を展開しています。その一つが、民間委託の推進です。PFI(民間資金等を活用した社会資本整備)などの導入により、事業コストを削減するとともに人材不足を補完し、質の高い公共サービスを維持しようと努めています。実際、全国の浄水場の技術者のうち1割は民間委託によるものなのです。浄水場の統廃合や業務・工事の共同発注など水道事業の広域化の促進も模索しています。
日立では15年間に200億円の更新費用
日立市では、水道施設の老朽化と東日本大震災の被害を踏まえ、平成24年3月に新たな「日立市水道事業総合基本計画」を策定しました。
これによると、平成24年の1日平均給水量62,689立方メートル/日は、15年後の47年は50,105立方メートル/日に2割減少すると計画しています。また、耐震化の進捗状況は平成24年現在で50.2%で、全国平均を大きく上回っています。
こうした前提のもとに、平成39年度までの15年間で、導水管5,600m、送水管29,190m、配水管140,589mを更新する計画です。事業費は200億3378万円余りで、年間平均13億3500万円となります。