今年(2014年)7月、厚生労働省が発表した子どもの貧困率(平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合)は、2012年時点で16.3%と過去最悪を更新しました。政府は親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るために、8月の閣議で子どもの貧困対策「大綱」を決定しました。
 このブログでは、公明新聞10月16日付け記事から、政府の子どもの貧困対策に関する検討会の座長で、放送大学副学長の宮本みち子さんのお話をまとめました。
宮本みち子放送大学副学長に聞く
放送大学副学長の宮本みち子さん<公式ホームペエージより> 子どもの貧困は親の生活困窮の結果です。子どもが貧困状態にある世帯の大半は、ひとり親で、多くは母子世帯です。その理由の多くは離婚ですが、子どもを引き取った母親は、極めて経済力が弱い状態のため、生活が困窮しています。子どもは十分な教育を受けることができず、希望の就職や職種に就くことができない。その結果、貧しい生活から抜け出せないのです。
 貧困の連鎖を断つには、子どもが学力を付けることです。将来に夢を持てる教育支援などの環境づくりが大切です。
 政府が8月に決定した「大綱」では、親と子どもの自立を支えるために、教育や生活、保護者の就労支援などをきめ細かく盛り込んでいます。母子世帯の母親は中卒、高卒の場合が多いため、急いで自立を促すよりも、学び直しや職業訓練を同時並行で行う支援も打ち出しています。長い目で見て、経済力を付けることが不可欠です。
 また、子どもの教育支援は、学校を貧困対策の足場とし、福祉関連機関との連携機能を強化します。貧困問題は教育、福祉、雇用、保健医療が連携して対応することが必要です。社会福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーが学校に入り、生活困窮状態にある子どもの相談に乗るほか、専門機関と連携して子どもの家庭支援にも取り組む必要があります。
 一方で貧困問題は、経済面だけではなく、社会的な孤立の問題も含んでいます。地域の善意の人たちが、子どもの勉強を見たり、親が仕事で家に不在がちな子どもの様子を見てあげることも大切です。そういう意味では、保護者や地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールには期待をしています。
奨学金など教育資金の支援も不可欠、重要な地方自治体の役割
 子どものための経済支援は長い目で見れば社会は得をします。給付型や所得連動返還型の奨学金を進めるべきです。また、幼児教育の無償化は恵まれない環境に生まれた子どもにとって非常に重要な制度です。経済的に余裕がないから幼稚園や保育所に通えないというのは、人生のスタート段階で大きなダメージを負うことになりかねません。
 子どもの貧困対策は、地方自治体が最も関心を持つべきテーマだと考えています。一方で、教育や福祉など多くの分野が関わるため、横断的な総合相談窓口や人材の育成が必要です。
 日本だけでなく、すべての先進国で子どもの貧困と格差が拡大しています。政治には格差拡大を防ぐ力強い取り組みに期待しています。