学校耐震化の進捗状況 全国的に見ると公立小中学校の耐震化率100%がほぼ達成される見通しとなりました。文部科学省は、来年度(2015年度)予算概算要求に公立学校施設の耐震化率を来年度中に99%にまで引き上げるのに必要な約3450億円を要求しました。公明党が国と地方のネットワークを生かし、長年、強力に推進してきた学校耐震化率100%への取り組みがいよいよ実ることになります。
 耐震化の対象となる公立小中学校は約12万棟。耐震化率が99%で100%に達していないのは、約1000棟が、学校の統廃合や東日本大震災の被災地の一部に改修の難しい学校があるためです。
 一方、文科省は学校施設の天上や照明器具、窓やガラスなどの「非構造部材」の耐震化や老朽化対策、防災倉庫設置などの防災機能強化、空調設備の整備やトイレ改修なども併せて進めています。このほか、概算要求では、国立大学施設の耐震化率も99%にまで上げ、私立学校施設も大学で約90%、小・中・高校などで約87%に耐震化率を引き上げる予算も盛り込みました。
 公明党はこれまでも学校耐震化を一貫して推進し、安全・安心の学校づくりをリードしてきました。
 具体的には、2001年に党女性委員会が「学校施設改善対策プロジェクト」を、2002年8月には党文科部会に「学校施設耐震化推進小委員会」を設置。徐々に耐震化は進められたましたが、2008年5月に中国・四川大地震が発生し、多くの子どもたちが学校の倒壊により命を落としたことが、その後の耐震化を加速させる大きな転機となりました。
 四川大地震直後、公明党は政府に対し学校耐震化の重要性を訴え、国庫補助率の拡大を提案。翌6月には、耐震化事業に必要な地方自治体の財政負担を軽減する地震防災対策特別措置法を改正したことで、公明党の地方議員も各議会で耐震促進を訴えました。
 これらの公明党の取り組みにより、2002年には44.5%と低迷していた学校の耐震化率は飛躍的に向上。民主党政権では一時期、耐震化予算が削減されてしまいましたが、公明党は強く抗議して撤回させ、予備費や補正予算で取り戻したこともありました。
 一方で、新たな課題も見えてきました。それが、非構造部材の耐震化です。2011年3月の東日本大震災でも、体育館の天井が落下するケースが相次いだのです。2013年の調査では、重大な被害を生じる可能性のある箇所に限っても、非構造部材の耐震化率は60.2%にとどまっています。
 公明党は引き続き、天井や照明器具などの崩落を防止するための耐震化にも全力で取り組み、災害時には避難所にもなる学校の安全対策を進めていく覚悟です。
茨城県内耐震化84.3%、全国40位と耐震化遅れる
 一方、県内公立小中学校の耐震化率は全国平均92.5%より8.2ポイントも低い、84.3%にとどまっています。前年度からの伸び率は全国で2番目に高い6.9ポイントとなったものの、順位は40位に止まっています。
 県内小中学校のうち耐震化されていないか、診断未実施は前年度から200棟減り449棟でした。このうち、震度6強で倒壊する危険性の高い建物が74棟となっています。
 市町村別でみると、100%はの耐震化が済んでいるのは7市町村で、前年度までに達成した龍ケ崎、潮来、守谷、美浦、五霞、利根の6市町村に境町が加わりました。逆に耐震化率が低かったのは、ひたちなか市が唯一6割を切る56.2%。常陸大宮市が63.6%、茨城町が66.7%でした。
 このほか、90%台が9市村、80%台が15市町、70%台が10市町で、全国平均を超えたのは12市町村でした。
 前年度からの伸び率は行方市が24.2ポイントで最高。次いで境町の23.1ポイント、日立市の18.5ポイントで、全国平均以下の中で北茨城、かすみがうら、茨城、大洗、城里の5市町はこの1年間で耐震化が全く進みませんでした。
 小中学校以外の耐震化率は、高校87.5%(全国31位)、特別支援学校94.5%(36位)、幼稚園64.4%(43位)で、いずれも全国平均を下回っています。

茨城県の公立小中学校の耐震化状況(平成26年4月現在)