稲刈り(ひたちなか市)  茨城県のコメの作柄は”やや良”となりましたが、米価の下落が深刻になっています。
 茨城県産のコメの相対取引価格(9月現在)は、玄米60キロあたり1万1344円で、昨年の1万4555円を1111円ほど下回っています。それに伴い概算金も9000円と前年(1万1500円)と比べて、2500円も低くなっている現状です。
 この米価下落に対応するため、茨城県と県内JAグループは、「米価下落緊急対策経営安定資金」を創設します。転作目標を達成していることなどを条件に、米生産農家の経営に必要な資金を無利子で融資します。貸付額は玄米60キロ当たり2000円を上限とし、今年産米の出荷量に応じて決定されます。JAグループの基準金利1.75%のうち、JAグループが1.5%を負担。残り0.25%を県が助成します。すでに申し込みを受け付けており、申し込み締め切りは12月30日。来年7月31日まで貸し付けます。

公明党は収入保険の導入をリード
 政府は現在、農家の経営所得安定対策の見直しなど農政改革の一環として、農作物の下落時に農家の収入を補う「収入保険」制度の導入に向けた調査を進めています。
 「収入保険」とは、コメや野菜など全ての農作物を対象に、市場価格の下落で農家の収入が減少した場合に減収分を補てんするセーフティーネット(安全網)のことです。今年度から具体的な制度づくりへ着手しています。農家の拠出を前提に、農家収入の変動や営農計画のデータを分析した上で、保険料水準の設定などが検討される予定です。
 現行の農業共済は、自然災害で収穫量が平年に比べて減った場合に共済金が支払われ、農家の経営安定に貢献していることは事実です。しかし、市場価格が下落した場合には適用されず、対象品目も限定されています。“豊作貧乏”の不安がないとは言えません。
 その点、収入保険は、農家の経営全体に着目した新たな制度で、生産品目に関係なく、農家の収入を支えるための保険金を支払う仕組みです。
 農家の安定的な所得確保が重要との立場から、公明党は農業政策の柱の一つに掲げ、農作物の価格下落による収入変動に対応した保険制度の導入を掲げてきました。
 今年1月の衆院代表質問では、公明党の井上義久幹事長が制度の必要性をあらためて訴えたほか、その後も国会質疑を通して再三にわたって求めています。
 制度導入に向けた調査・検討を進めるため、2015年度予算の概算要求では14年度当初予算(約3億円)の約2倍となる6億円弱が盛り込まれています。調査・検討を経て、2017年の通常国会に関連法案を提出します。法律成立後、準備や周知徹底を経て、新たな制度として開始する予定です。
 米価下落など、多くの農家は先行きに不安を感じています。米国では1996年から収入保険が実施されており、加入者も年々増えています。フランスやスペイン、ギリシャも類似した制度を取り入れています。収入保険に対する農家の期待は日増しに高まっており、公明党は、日本の農業を守るとの姿勢で、制度の具体化に全力を尽くします。