
今回の予算要望は、全国ワースト2という厳しい人口減少の現状を踏まえ、(1)「健やかで安心して暮らせるまち」づくりのための少子高齢化対策等、(2)「人と文化をつくるまち」づくりのための子ども教育環境の充実等、(3)「活力ある産業のまち」づくりのための交流人口拡大のための魅力あふれた観光施策等、(4)「都市機能が充実したまち」づくりのための市民の足となる公共交通事業の推進等、(5)「安全で環境にやさしいまち」づくりのための防災防犯対策等、(6)「みんなで築くまち」づくりのための女性の輝く社会づくりの6大項目、54項目の具体的な要望を行いました。
平成27年度予算編成に対する要望書
平成26年11月7日
日立市長 吉成 明 殿
日立市議会公明党
平成27年度の予算編成にあたって
本年5月、有識者らで組織する日本創成会議が発表した2040年に全国の数多くの市区町村が「消滅」の危機に直面するとした試算は、多くの国民に衝撃を与えた。
本市においては、2013年の人口社会減で全国ワースト2位を記録し、更に65歳以上の高齢者人口は増え続け、2030年における高齢化率は35%に迫ることが予測されている。このような中で、国が「まち・ひと・しごとの創生」を目指して動き始めている。本市においても「創生総合戦略」を策定し、まちの生き残りをかけた取組みが求められている。今後、国の動向を敏感に受け止められる体制を図り、活力にあふれた地方の創生を目指すことが急務である。
平成27年度の予算編成にあたっては、日立市総合計画に掲げた「知恵と自然が響きあい、暮らしを明日につなぐまち」の実現に向かって、限られた財源を有効かつ効率的に活用し、メリハリのある予算編成に取り組まれたい。
そこで、(1)「健やかで安心して暮らせるまち」づくりのために、少子高齢化対策等、(2)「人と文化をつくるまち」づくりのために、子ども教育環境の充実等、(3)「活力ある産業のまち」づくりのために、交流人口拡大のための魅力あふれた観光施策等、(4)「都市機能が充実したまち」づくりのために、市民の足となる公共交通事業の推進等、(5)「安全で環境にやさしいまち」づくりのために、防災防犯対策等、(6)「みんなで築くまち」づくりのために、女性の輝く社会づくり等、重点的に取組まれたい。
以下54項目にわたり、予算化並びに施策の実現を強く要望するものである。
1.「健やかで安心して暮らせるまち」づくりのために

2.「人と文化をつくるまち」づくりについて
3.「活力ある産業のまち」づくりについて
4.「都市機能が充実したまち」づくりについて
5.「安全で環境にやさしいまち」づくりについて
6.「みんなで築くまち」づくりについて

- 本市の最重要課題である医師の確保については、引き続き全力で取組まれたい。特に、周産期母子医療センター並びに婦人科の早期再開に努力されたい。
- 小児医療費助成制度については、外来の受給対象年齢を中学校3年生までに早急に拡大されたい。
- 乳がん・子宮頸がん検診については、無料クーポン券による検診を来年度も継続実施されたい。また、対象者及び未受診者への受診勧奨にも努められたい。
- 高齢者肺炎球菌予防接種は定期接種となったことに伴い、接種率の向上のために個別通知を実施されたい。
- 地域包括ケアシステムの構築については、関係諸団体・機関を含めた「地域包括ケア推進会議」を中心に、本市の目指すシステムを示されたい。また、モデル地区による具体事業の展開も検討されたい。
- 健康寿命と平均寿命を近づけるため、ヘルスロードの有効活用や、メタボ対策のための健康診断受診率の向上等、本市独自の健康寿命の推進に取組まれたい。
- 安心して子育てのできる支援策として、産前産後ヘルパー、産後ケア施設等、産前産後ケアの充実を図られたい。また、出産育児に関する情報や行政サービス等の情報を妊産婦に適切に届け、孤立防止につながるメール配信サービスを導入されたい。
- 児童クラブについては、対象年齢の拡大に伴う施設のスペースの確保に取組まれたい。また、全クラブが民営化されることに伴い、指導員の確保及び育成、利用時間の延長等、利用者の利便性を考慮した運営を推進されたい。
- 子どもの貧困対策の一助として、非婚の母子・父子家庭の寡婦控除のみなし適用を図られたい。
- 就労継続支援A型施設の誘致・拡充については、教育・行政・ハローワーク・民間企業等とのネットワークによる連携強化を図られたい。
- 鳩が丘の障がい者福祉施設の更新時の建設財源として、福祉基金を活用されたい。また、改築検討の際には、障がい者がスポーツやレクリェーション等ができる機能についても検討されたい。
- 自殺防止対策の強化を図るため、相談機能の充実やゲートキーパー研修の受講者増を図る等、自殺防止の啓発活動に継続的に取組まれたい。
2.「人と文化をつくるまち」づくりについて
- 「学校いじめ防止基本方針」の策定に伴い設置された調査機関は、実態の的確な把握に努め、各学校のニーズに応じた適切な支援をされたい。更に、携帯メール等による問題が増加している傾向から、小さなサインを見逃さない対応に努力されたい。
- こども発達相談センターにおいて、親が自分の子どもの行動を観察して、発達障害の特性を理解し、適切な対応をするための知識や方法を学ぶことができる「ペアレント・トレーニング」の導入を図られたい。導入に当たっては、発達障害児を育てた親(ペアレントメンタ―)を養成して取組むことも検討されたい。
- 改築を予定している校舎については、財源の確保を含め計画的に進められたい。また、老朽化による悪臭等が問題となっているトイレの整備についても早急に進められたい。
- 茨城県で開催される国体に向けて、新中央体育館の建設を計画通りに進められたい。また、小・中学生の競技への意欲や技術のレベルアップにつながるトップアスリートによる講習種目を拡大し、スポーツに対する技能の育成・醸成に取組まれたい。
- 保護者や地域住民の力を学校運営に生かし、質の高い学校教育の実現に向けたコミュニテイ・スクールの導入を検討されたい。また、文部科学省において取組みを進めようとしている、専門家の力を活用した「チーム学校」を取り入れ、教員が授業に専念できる環境を確立されたい。
- 日立市特別支援学校については、児童生徒数の増加、施設の老朽化等の状況を踏まえ、今後の在り方や整備計画を策定されたい。また、県への移管も検討されたい。
- がん教育を進めるために、小・中学校の授業にがん教育の導入を検討されたい。更に各学校にがんに関する書籍を整備し、がんについて学ぶ環境を整えられたい。
- スマートフォンの急激な普及から、児童生徒がLINE等を使用した有害サイトによる悲惨な事件が表面化している。本市においても、児童生徒の事件を防止するために、親と子を対象としたフィルタリング等の正しい使い方を学ぶ講習会を積極的に推進されたい。
- グローバル化に対応した英語教育を進めるために、英語力達成目標とされる小学6年生に「児童英検」を、中学3年生に「英検3級」の受験を公費負担で実施することを検討されたい。
- 青少年健全育成については、核家族化やインターネット・SNSの普及の進行、家庭教育力の低下等の青少年を取り巻く環境の変化に対応するため、「日立市青少年の健全育成等に関する条例」(仮称)の制定、具体的取組み施策を盛り込んだ「プラン」の策定を検討されたい。
- (公財)日立市民文化事業団及び(公財)日立市科学文化情報財団の合併に伴い、「新財団基本計画」に則って、心豊かなまちづくりに寄与できる財団育成に努められたい。更に、本市の科学・文化・芸術振興の理念を定めた「文化・芸術振興条例」の策定並びに幅広い市民活動と財団の活動の相乗効果が発揮されるよう、具体的「プラン」を策定されたい。また、市民の文化拠点に「Jホール」を明確に位置付けられたい。
3.「活力ある産業のまち」づくりについて
- 市内にある海・山等の観光資源を新たな視点で有効活用していくために、外部専門家のアドバイザー招へい事業を取り入れ、観光振興策に取組まれたい。
- 本市の魅力を国内外に配信できる「ユーチューブ」や「ユーストリーム」を活用して、「日立市ムービー(動画)チャンネル」を開設されたい。
- かみね動物園は、魅力づくりの努力により入園者が増加傾向にある。更に魅力をPRするために、引き続きFacebookや動画検索サイトの活用を推進されたい。また、開園60周年記念事業の一環として、更なる魅力づくりにつながる新たな動物の導入を検討されたい。
- 奥日立きららの里に新しい取組みとして、自然との共生を目指した「アドベンチャーパーク(フォレストアドベンチャー)」の導入を検討されたい。
- 河原子海岸については、南浜海水浴場の本格開場に向けて、必要な施設の整備に取組まれたい。更に、北浜のスポーツ広場を含めた施設を活用したスポーツや音楽等の幅広いイベントの開催等、河原子海岸一帯の活性化策を検討されたい。
- 市内北部地域の観光拠点となる道の駅として、「十王物産センター鵜喜鵜喜」の整備を検討されたい。
- 中里地区や高原地区等の古民家や空き家を活用した田舎体験事業や交流レクリェーション事業を展開し、都市部からの民泊や定住化を進め、地域活性化につなげられたい。
- 鵜来来の湯十王については、平日の昼間の集客増を図るため、市民の健康増進を目的とした温泉を利用してのリハビリ等、活用策を検討されたい。
- 日立市民会館の安全性、利用者の利便性を考慮し、駐車場の拡充や事務所入口の庇(ひさし)の設置について検討されたい。
- 多賀地区は震災後特に空き地、空き店舗が増加している。これまで日立地区で実施してきた「まち起業家支援事業」を多賀地区に導入し、商店街の活性化を図られたい。
4.「都市機能が充実したまち」づくりについて
- 国道6号日立バイパスの延伸、大和田拡幅並びに国道245号線の4車線化について、引き続き国・県へ強く要望されたい。また、「茨城県北国道6号整備促進期成会」が新たに発足したことに伴い、更に強力な働きかけに努められたい。
- 災害時の避難道路確保のため、山側団地を連絡する新規道路の建設を検討されたい。
- 公共交通体系の維持については、利用者のサービスの充実及び乗車率の増加を図るため、学生・高齢者定期券の割引率の引き上げ、市内運賃の上限制システムの導入、地域に引き続き市内企業とのパートナーシップ協定事業の推進等を検討されたい。
- 新交通(BRT)導入事業の第2期計画区間については、常陸多賀駅西口まで計画通り平成28年度に整備完了できるよう進められたい。また、「日立BRTまちづくり計画」については、日立市の将来を見据えた活性化につながるように推進されたい。
- 大川については、国道6号下流部付近の河川の拡幅などに取組まれたい。大沼川についても引き続き関係機関と連携した河川改修を推進されたい。
- 土砂災害未指定区域については、県との調整を早期に図られたい。併せて、危険性の高い個所から順次必要な対応策を進められたい。
- 近年頻発する台風や大雨、ゲリラ豪雨対策は喫緊の課題である。市街地の側溝や排水路の流下能力の向上等、対策を進められたい。
- 道路や公園の草刈等については、里親制度の更なる拡充・支援を検討し、維持管理に努められたい。
- 市外からの来訪者に、市内の主要公共施設や観光施設をわかりやすく案内できるようサインの在り方を検討されたい。
5.「安全で環境にやさしいまち」づくりについて
- 治安の悪化や犯罪の件数も増加傾向にあるなかで、犯罪を未然に防ぐ有効な手段として防犯カメラの設置が進んでいる。本市においても、駅周辺には年次計画で進められているが、学校や商店街、公園等への設置についても促進されたい。
- JR小木津駅前への交番移設を引き続き県に要請されたい。
- 市民との協働による安全確保のために、市民が日常生活の中で目についた舗装や側溝、カーブミラーの破損等を、スマートフォンの行政アプリを活用して、市の担当課に通報できるシステムの導入を検討されたい。
- 本市においても増え続ける空き家については、空き家対策検討委員会を立ち上げ早急に現状把握に取組まれたい。更に、空き家の活用、適正管理に関する条例の制定に取組まれたい。
- 民間のAED設置場所の把握に努められ、緊急時に使用することができるよう、市内全域のAEDマップの作成を検討されたい。
- 本市は回収したOA機器や小型家電品を受け入れて解体やリサイクル事業を進めている。小型家電リサイクル事業の拡充を図るため、市からの受け入れ量の増量や新たな対象品目の拡大等、更なる事業の推進を検討されたい。
- イノシシの被害が急増しているため、関係団体等の協力を得て実効性のある対策に取組まれたい。
6.「みんなで築くまち」づくりについて
- 「ニセ電話詐欺」等の被害が茨城県内で過去最高となった。東京五輪関連への投資等新たな詐欺の手口も増えてきていることから、徹底した注意を呼びかけ、出前講座や警察、金融機関等との連携による予防策に取組まれたい。また、迷惑電話チェッカーの貸し出しを活用し、水際での防止対策にも取組まれたい。
- 協働による地域づくりとして、ボランティア・NPO法人等への活動の支援を推進するために、人材育成や情報提供ができる独立した「支援センター」の設置を検討されたい。また、事業に対する補助金制度の創設等、総合的な支援を検討されたい。
- 女性の活躍の場を拡大するために、企業をはじめとする社会全体の意識改革に向けた機運の醸成を図られたい。本市の取組みとして、各種講演会における講師等として市内で活躍している女性の登用を図られたい。
- 高齢者が輝く社会をつくるために、元気な高齢者が参加しやすい講座やセミナー等の場の提供に努められたい。例えば、シルバーリハビリ体操の指導士養成講習会を日立市で開催されたい。
- 多賀市民プラザ駐車場の出入口を拡充し、市民の利便性向上を図られたい。更に、多賀市民会館小ホールの照明を水銀灯からLED照明に切り替えられたい。