衆議院総選挙の争点の一つに定数削減問題があります。衆議院の定数削減については、メディアでも随分と取り上げられているようです。
解散前の衆議院の定数は480。今回の選挙に際して、1票の格差を是正するための「0増5減」措置が取られたため、改選後は475議席となります。
2年前の総選挙のきっかけとなった2012年11月14日に行われた党首討論。野田首相(当時)は、自民党の安倍晋三総裁に次期通常国会での議員定数削減と、それまでの議員歳費削減の確約を得られれば「16日に解散してもいいと思っている」と提案。これに対し自民党は14日夕に幹部会合を開き、受け入れる方針を決定しました。
しかし、2年前の総選挙以来、抜本的な定数見直しは全く進んでいません。
「安倍総理は嘘をついた!」「なぜ定数削減を決断しないのだ!」と、野党は意気込んでいます。マスコミの論調も同様のものが多いようです。
しかし、民主党は衆議院の「定数80削減」を公約に掲げて、2009年に政権についた政党です。自分たちが政権の座にあった3年3ヶ月の間に1議席も削減できなかったことを棚に上げて、政権交代後の2年間で削減できないことを非難するのは、筋違いです。
解散前の衆議院の定数は480。今回の選挙に際して、1票の格差を是正するための「0増5減」措置が取られたため、改選後は475議席となります。
2年前の総選挙のきっかけとなった2012年11月14日に行われた党首討論。野田首相(当時)は、自民党の安倍晋三総裁に次期通常国会での議員定数削減と、それまでの議員歳費削減の確約を得られれば「16日に解散してもいいと思っている」と提案。これに対し自民党は14日夕に幹部会合を開き、受け入れる方針を決定しました。
しかし、2年前の総選挙以来、抜本的な定数見直しは全く進んでいません。
「安倍総理は嘘をついた!」「なぜ定数削減を決断しないのだ!」と、野党は意気込んでいます。マスコミの論調も同様のものが多いようです。
しかし、民主党は衆議院の「定数80削減」を公約に掲げて、2009年に政権についた政党です。自分たちが政権の座にあった3年3ヶ月の間に1議席も削減できなかったことを棚に上げて、政権交代後の2年間で削減できないことを非難するのは、筋違いです。
議会の運営に関しては少数党の意見も尊重
民主主義に基づく日本の国会では、原則として「多数決」で物事が決まっていきます。法律をつくる場合、賛成が反対を1票でも上回れば、その法律は成立します。
しかし、民主主義には、忘れてはならないもう一つの不文律があります。それは「少数者の意見も尊重しなくてはならない」という原則。つまり、安易に「多数決」で決めてはいけないというルールです。
このルールが適用されるのは、主に国会運営に関する事柄です。例えば、委員会の開催日時やその議題については、基本的に全ての会派(政党)が合意して決定することになります。
そしてこの国会運営において、最も重要な事項が選挙制度と議員定数です。なぜなら、多数派が、少数政党を抹殺する最も手っ取り早い方法は、選挙制度を自分たちに有利なやり方に変え、議員定数を大幅に削減することで、少数政党の議席を減らすことだからです。
健全な民主主義の発展を考える時、国民の多様な価値観を、国会での議論に反映させることは極めて重要です。その意味で、多数派の横暴を許さないためにも、選挙制度改革や定数削減の議論は、慎重に進めていくことが求められているのです。
自民・公明両党が政権復帰した2013年の通常国会以降、衆議院では議員定数削減について継続的に話し合いが行われてきました。その回数は実に29回です。
定数削減に頑なに反対する共産党と社民党
しかし結局、合意には至りませんでした。最大の障壁は、そもそも定数削減に強固に反対する立場です。反対の主は、共産党と社民党です。
少数政党が党の消滅にも繋がりかねない定数削減を懸念することは理解できます。しかしながら、国会における「身を切る改革」の議論が、国民の皆様に消費増税をお願いすることとセットで始まったことを考えれば、自分たちの都合ばかりで議論を滞らせるのは無責任のそしりを免れません。
これまでになされた数々の提案に対して、ひたすら「反対」を唱えるだけで、「身を切る改革」に背を向けたままの共産、社民両党には、猛省を促したいと思います。
少数政党にとって不利にならない削減の仕方も検討されている以上、公党として前向きに議論し、合意形成に努力する責務があります。
さて、その他の政党については、削減案を提示し、いくつかの案に収束をみたものの、結局議論を先に進めることはできませんでした。
当初から指摘されてきたことですが、やはり自らの「“首”を切る改革」を、自分たちで議論することの難しさがあったのは間違いありません。でも、このままでは国民の皆様との約束を果たせなくなってしまいます。
そこで、打開策として急浮上したのが、衆議院議長のもとに第三者機関を設置し、そこに議論を委ねる案です。ここでも共産、社民は反対を表明しましたが、もう待ってばかりはいられません。
他の会派は受け入れることで合意し、本年9月から外部の有識者による定数削減の議論が始まりました。衆議院議長のもとに選挙制度の諮問機関を置くのは、初めてのことです。
急な解散となり、今回の総選挙には間に合いませんでしたが、定数削減の議論は、間違いなく動き始めています。
あとは提言が出るのを待って、国会で決断するのみ。更なる政治不信を招かないためにも、「身を切る改革」の議論は間もなく正念場を迎えることとなります。
民主主義に基づく日本の国会では、原則として「多数決」で物事が決まっていきます。法律をつくる場合、賛成が反対を1票でも上回れば、その法律は成立します。
しかし、民主主義には、忘れてはならないもう一つの不文律があります。それは「少数者の意見も尊重しなくてはならない」という原則。つまり、安易に「多数決」で決めてはいけないというルールです。
このルールが適用されるのは、主に国会運営に関する事柄です。例えば、委員会の開催日時やその議題については、基本的に全ての会派(政党)が合意して決定することになります。
そしてこの国会運営において、最も重要な事項が選挙制度と議員定数です。なぜなら、多数派が、少数政党を抹殺する最も手っ取り早い方法は、選挙制度を自分たちに有利なやり方に変え、議員定数を大幅に削減することで、少数政党の議席を減らすことだからです。
健全な民主主義の発展を考える時、国民の多様な価値観を、国会での議論に反映させることは極めて重要です。その意味で、多数派の横暴を許さないためにも、選挙制度改革や定数削減の議論は、慎重に進めていくことが求められているのです。
自民・公明両党が政権復帰した2013年の通常国会以降、衆議院では議員定数削減について継続的に話し合いが行われてきました。その回数は実に29回です。
定数削減に頑なに反対する共産党と社民党
しかし結局、合意には至りませんでした。最大の障壁は、そもそも定数削減に強固に反対する立場です。反対の主は、共産党と社民党です。
少数政党が党の消滅にも繋がりかねない定数削減を懸念することは理解できます。しかしながら、国会における「身を切る改革」の議論が、国民の皆様に消費増税をお願いすることとセットで始まったことを考えれば、自分たちの都合ばかりで議論を滞らせるのは無責任のそしりを免れません。
これまでになされた数々の提案に対して、ひたすら「反対」を唱えるだけで、「身を切る改革」に背を向けたままの共産、社民両党には、猛省を促したいと思います。
少数政党にとって不利にならない削減の仕方も検討されている以上、公党として前向きに議論し、合意形成に努力する責務があります。
さて、その他の政党については、削減案を提示し、いくつかの案に収束をみたものの、結局議論を先に進めることはできませんでした。
当初から指摘されてきたことですが、やはり自らの「“首”を切る改革」を、自分たちで議論することの難しさがあったのは間違いありません。でも、このままでは国民の皆様との約束を果たせなくなってしまいます。
そこで、打開策として急浮上したのが、衆議院議長のもとに第三者機関を設置し、そこに議論を委ねる案です。ここでも共産、社民は反対を表明しましたが、もう待ってばかりはいられません。
他の会派は受け入れることで合意し、本年9月から外部の有識者による定数削減の議論が始まりました。衆議院議長のもとに選挙制度の諮問機関を置くのは、初めてのことです。
急な解散となり、今回の総選挙には間に合いませんでしたが、定数削減の議論は、間違いなく動き始めています。
あとは提言が出るのを待って、国会で決断するのみ。更なる政治不信を招かないためにも、「身を切る改革」の議論は間もなく正念場を迎えることとなります。