放課後児童教室 近年、子どもが小学校に入学すると、放課後の預け先が見つからず、母親が仕事を辞めざるを得なくなる「小1の壁」と呼ばれる問題が深刻化しています。厚生労働省によると、平成25年に放課後児童クラブを希望しても利用できなかった「待機児童」は8,689人となっており、保育所に比べて開所時間も短い放課後児童クラブは、共働き世帯の増加などを背景に高まるニーズに対し、受け皿の不備が指摘されています。
 この打開策として、厚生労働省と文部科学省は、「日本再興戦略」改訂2014(6月24日閣議決定)を踏まえ、放課後に校内などで子どもを預かる放課後児童クラブの拡充などを盛り込んだ「放課後子ども総合プラン」をまとめ、本年7月31日に全国の自治体に通知しました。
 日本の将来を担う子どもたちの成長と、女性の活躍を後押しする重要な政策です。必要な予算を確保し、着実に推進していきたいと思います。
 「小1の壁」が生じる原因は、放課後児童クラブの不足と使い勝手の悪さにあります。放課後子ども総合プランでは、現在約90万人の定員数を2019年度末までに30万人程度増やす目標を掲げています。まずは待機児童を解消した上で、潜在的な利用ニーズに応えていくため、受け皿の整備を急いぐべきです。
 開設場所について、政府は空き教室の徹底活用を求めています。しかし、学校側は「何かあれば責任を問われないか」と不安を感じています。放課後子ども総合プランには「市町村の教育委員会などが責任を持って管理運営に当たる」と明記されています。各学校に徹底して設置を進める必要があります。指導員を確保するための待遇改善や研修制度の拡充も必要です。
 使い勝手をよくするには、利用時間の延長が欠かせません。18時までに終了する放課後児童クラブは約4割に上っています。これでは、保護者は働き方や職場までの距離を制限されてしまいます。夏休みなどの長期休暇期間を含め、もう少し柔軟に対応すべきです。
 放課後の過ごし方は子どもの成長に大きな影響をもたらします。「質」の充実も忘れてはなりません。
 放課後子ども総合プランでは、学習支援や果物狩りなどの体験、絵画教室といった、さまざまな活動を行う文科省の事業との一体化を推進し、19年度末までに1万カ所以上での実施をめざしています。地域の大学生や高齢者、子育て・教育支援に関わるNPO、スポーツ・文化芸術団体などの協力を得て、多彩なプログラムを展開する必要があります。
 さらに、忘れてはならないのが生活に困窮する家庭の子どもたちの学習支援です。親の収入や生活環境で子どもたちの未来が左右されるような社会にしてはなりません。