東海第2原発
 日本電子力発電東海第2発電所の半径30キロ圏内(緊急防護措置区域:UPZ)には、98万人の県民が居住し、万が一の事故が発せした場合の避難体制の確立が大きな課題となっています。
 その中でも、病院や障害者施設、介護施設に入院・入所する方々の実態調査が行われ、その結果が12月26日公表されました。
 それによると、東海第2原発のUPZ内に位置する病院・社会福祉施設は316箇所。圏内の病院・施設は避難計画を策定することが義務づけられていますが、避難先を既に確保したのはわずか26病院・施設にとどまいます。
 病院の入院患者と社会福祉施設の入所者の総数は1万7745人で、このうち避難に付き添いが必要な人は1万3629人。内訳は救急車が必要な人3841人、バスや福祉車両などで移動可能な人が9788人となりました。
 避難に必要とされる車両は救急車が1809台。病院や施設で準備できず自治体が手配する必要のある車両は、バス(1台当たり50人換算)が379台、福祉車両などが1955台に上っています。
 一方、県原子力安全対策課によると、県内25の消防本部が保有する救急車は170台で、病院や施設で必要とする台数の1割にも達しません。県バス協会加盟社のバス保有台数は2400台余りで、福祉車両などは台数の把握も困難です。
 避難先を既に確保している施設は病院3、社会福祉施設23の計26で、調査に回答した施設の8.5%にとどまっています。また、自治体が手配する必要のある付き添い者は医療従事者1383人、ヘルパーなど1305人となっています。
 茨城県ではこの結果も踏まえ、当面は避難先確保を優先し、関係団体と避難先のマッチング案を順次策定して各施設に提示していく方針です。不足する車両や人員に関しては、国に対し今回の結果を示して支援を要請します。
 今回の取りまとめには、災害時に自力での避難が難しい在宅の高齢者や障害者、重症難病患者らは含まれていません。市町村が名簿を作成中で、必要な人員や車両はさらに膨らむことは必至です。
 避難体制の整備が整わない中で、東海第2原発の再稼働は絶対に許されません。