日立市の人口減少が止まりません。平成26年1月1日と27年1月1日の常住人口を比べると、この一年間で日立市では2355人、人口が減りました。出生や死亡による自然動態はマイナス750人。転入転出による社会動態はマイナス1605人でした。
 有効な人口減少対策がほとんど打てていない実態。具体的な数字をつきつけられると、暗澹たる気持ちになります。
平成26年日立市の人口動態

 こうした人口減少への具体的な対応策が、自公連立政権が進める“地方創生”の大きな柱となります。今一度、国の進める“地方創生”の基本的な考え方を確認しておきたいと思います。
 現在、地方は自公政権による経済政策の恩恵が十分に届いていません。その背景にあるのは、人口減少問題なのです。
 現在、地方から若年層を中心に多くの人々が東京圏へと流出しています。人口の流出は地方経済の停滞ばかりでなく、さらなる人口減を招いています。政府・与党は今こそ、この“負のスパイラル”を断ち切る対策を強力に進めなくてはなりません。
 人口減少対策の基本的な視点として「東京一極集中の是正」「若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現」「地域の特性に即した課題の解決」の3点が挙げられます。国では、地方創生で人口減少に歯止めをかければ、2060年に人口1億人程度を確保できると推定しています。
 ただし、個人の自由な決定に基づく結婚や出産に、数値目標を掲げることは適切ではありません。この点については、若者の希望が実現すれば、出生率は2013年の1.43から1.8程度まで向上するとの見通しを踏まえ、政策を総動員することにしました。
街頭で人口減少対策を訴える井手よしひろ県議 基本目標として、(1)地方での安定した雇用の創出(2)人の流れの転換(3)若者の結婚・出産・子育てに対する希望の実現(4)時代に合った地域づくり―の4つを柱が掲げられています。
 具体的には、2020年までに30万人分の若者雇用を創出するほか、地方移住に関する情報提供や相談支援を行う「全国移住支援センター」(仮称)を2014年度中に開設します。妊娠・出産・子育てへの切れ目ない支援や、中核市を中心に市町村が連携し、生活基盤や活力ある社会経済を維持する「連携中枢都市圏」の形成なども盛り込みました。
 さらに、従来の「行政の縦割り」「全国一律」「バラマキ」などの排除を明記。PDCA(計画、実施、評価、改善)サイクルのもとで地域に応じた政策を定め、効果を検証しながら必要な改善を行う方針を示しています。
 併せて、公明党が「今、そこに住む人に光を当て、その人が力を付けて輝き、そこに仕事が生まれるという流れが重要だ」と訴えてきたことを受け、地方創生は“ひと”が中心であると明確に位置付けられました。
 こうした国の流れを受けて、各地方自治体が、産業界や研究機関、金融機関、住民代表などでつくる「総合戦略推進組織」を整備し、2015年度中に地方版の「人口ビジョン」と「総合戦略」を策定します。茨城県では1月6日、橋本昌知事が本部長を務める「茨城県まち・ひと・しごと創生戦略本部」を立ち上げました。
 国も、2014年度補正予算案に、地方がより自由に使える交付金1700億円を盛り込むなど、財政や情報提供、人材派遣の面で自治体を支援する方針です。
 今年は“地方創生元年”であり、日立市にとっては“日立創生”最後のチャンスの年かもしれません。