処分場を1か所に絞るのは現実的に困難、このまま一時保管を続けるべきとの意見が相次ぐ
第4回指定廃棄物処分推進市町村長会議 1月28日、第4回茨城県指定廃棄物処理促進市町村長会議が、水戸市内のホテルで開催されました。環境省から小里福田大臣、福山政務官、鎌形廃棄物リサイクル部長、茨城県から橋本知事、生活環境部長らが出席し、県内44市町村の代表と指定廃棄物の安心・安全な処理方法について議論を深めました。
 指定廃棄物とは、福島第一原発事故で拡散した放射性物質が1キロ当り8000ベクレル以上含まれる廃棄物のことです。具体的には、ゴミの焼却灰や下水処理汚などで発生した汚泥などです。茨城県では14市町村の15カ所に一時保管されています。民主党政権下で、地元自治体や県の意向を全く無視して、一方的に候補地が決められたため、茨城県、栃木県では白紙撤回を求める署名運動など反対の意見が強く出されました。政権交代によって、選定規準の見直しを改めて行っています。
 指定廃棄物の一時保管においては、第2回市町村長会議において、指定廃棄物を茨城県内で処理することは了承されました。
 その後の市町村長会議においては、国の方針通り最終処分場を県内一カ所にするか、または一時保管を続けて放射性物質が減衰するのを待って処分するかが、議論の中心となっています。
 今回の会議では、昨年9月付で行われたアンケート調査の結果が報告されました。このアンケートは、県内1カ所に最終処分を集約するか、現在保管されている14市町村(15カ所)での分散保管継続させるかを問うたものです。アンケート結果では、現在一時保管をしてる14市町村では、6市町村は1箇所に集約。7市町村が現地保管継続。1市町村が、国が最後まで責任をもって処理すべきと回答しました。一方、一時保管していない
市町村(30市町村)では、1箇所に集約6市町村。分散保管継続15市町村。その他9市町村となっています。
 市町村長の意見交換では、指定廃棄物を保管する14市町村の首長から、「まずは14市長村で別途集まって、処理方法を検討すべきだ」との意見が強く出され、橋本知事も「そのようなかたちで保管自治体の意見を聞く場所を設置すべきだ」と語りました。
 小里環境副大臣は「経費は国が責任をもっていく。保管をしている自治体による会議を設定していただきました。その検討経過を進めて、市町村長会議にお諮りしていく。環境省として、責任をもって安心・安全な対応をしていく」と挨拶しました。
 会議のあとの記者会見で、小里副大臣は「指定廃棄物を1か所に集約して保管するのが国の基本方針だが、一時保管を続けている自治体の協議の結果をふまえ、市町村全体の会議で方針を決めていきたい。茨城県は、ほかの県と比べると指定廃棄物の放射性物質の濃度が低く、施設で安定的に保管されているという事情があり、一時保管をこのまま継続するという選択肢も排除せずに検討を進めたい」と述べました。
 また、最終処分場の建設を計画している5つの県に、地域振興策や風評被害対策として合わせて50億円を交付する環境省の方針について、小里副大臣は、「地域振興策は指定廃棄物を1か所に集約することが前提となっていて、一時保管を継続する場合に地域振興策をどうするかは別に考えていくべき話だ。今後、県や関係自治体の意見を聞きながら検討していきたい」と述べました。
 茨城県内には14市町村の15箇所に1キロあたり8000ベクレルの指定廃棄物が3643トン保管されています。その大半を占める放射性セシウム時間経過とともに減衰するために、昨年(2014年)3月には1980トン(11市町村)、今年(2015年)3月には1689トン(10市町村)に減少すると試算されています。15年経過する2026年にはほぼゼロになるとされています。