茨城空港のスカイマーク 民事再生法の適用を申請した国内航空3位のスカイマークは、経営再建へ向けて不採算路線を一部縮小し、減便も実施する方針を示しました。茨城空港関連では、茨城〜札幌、福岡、米子の計6便が2月1日から運休されています。茨城空港の国内便はすべてスカイマークが運行しており、スカイマークの民事再生法適用は、茨城空港の今後の命運に大きな影響を与えます。
 こうした事態を受け2月3日、橋本昌知事は定例の記者会見で、総額6億円以上の利用促進支援策を講じる方針を明らかにしました。茨城空港を発着する国内便の利用客に対し、空港の関連施設で使える商品券や県内の旅館・ホテルなどで使える旅行券などの発行などを検討しています。
 記者会見で橋本知事は、「スカイマークに再建してもらわないと、とんでもないことになる。精いっぱい協力していきたい」と語りました。国が地方創生のメニューとして示している消費喚起型の交付金を活用し、空港や周辺施設で使えるプレミアム商品券や旅行券の発行などを検討しています。今年度補正予算案に盛り込む方針です。
 ただ、スカイマークの直接支援となる「搭乗率保証制度」の導入には否定的な見解を示しました。
 橋本知事は「首都圏の航空需要はまだまだ伸びる。果たすべき役割は十分にある」とも強調。スカイマーク以外の就航について「海外の航空会社を含め、これまで以上にアプローチに力を入れる」と話しました。
 さらに、常磐道・石岡小美玉スマートインターチェンジから空港につながる道路整備も早急に進めることも明らかにしました。
橋本知事の記者会見:2015年2月3日
【スカイマークの経営破綻と茨城空港の利用促進】

茨城放送(幹事社):それから、先週、航空会社のスカイマークが民事再生法の適用を申請しました。その前の週の1月21日に減便がスカイマークから示されて、民事再生法を適用して、29日にさらに減便が示されて、二段構えの展開ということになったわけですが、動揺の広がりがあるのかなとも見られるのですが、就航対策、利用促進、修学旅行への活用、県民への利便性の低下などの点からご覧になって、いろいろな受け止めがあるかと思いますがどのようにご覧になっていますか。

知事:急速に資金繰りが苦しくなったということで、民事再生法の適用を申請されたようであります。そういう中で、21日に発表したこれからのダイヤがさらに厳しいものになったということで、29日の発表は、私はやむを得ないのかなと思っております。
 ただ、できるだけ早く再建を果たして、また復活させてほしいという思いを強く持っているところです。
 私どもとしては、茨城空港の利用につきましては、国内線は完全にスカイマークに頼っているところであり、スカイマークに再建してもらえないととんでもないことになってくるわけですから、精一杯利用促進に協力をしていきたいと思っております。
 県民の皆さんにも、何とかスカイマークが残れるようにぜひ利用を活発化していただけたらありがたいと思っております。

茨城放送(幹事社):一部の学校では修学旅行の離着陸先として茨城空港の利用ということもやっているようですが、その枠を増やしていくなど現段階で考えとしてありますか。

橋本知事:我々としては、修学旅行については、これまでも積極的に県立高校などに働きかけてきております。これを予定どおりに実施していただいて、そして、スカイマーク利用による修学旅行が安全・便利でしかも価格的にも有利であるということをしっかり各学校に理解できるようにしてもらいたいなという思いが、今一番強いところであります。
 これから会社の経営がどのようになっていくのかわからない面もありますが、ある程度サポートしてくれるところも出てきそうだとの報道がなされておりますので、我々はそれがしっかりとしたものになっていくように期待をしております。

NHK:先ほどの茨城空港の関連で質問させていただきます。今回、スカイマークが民事再生法の適用ということですが、中期的な視点で今後の茨城空港をどうしていくべきなのか、踏みとどまって考えた場合どうあるべきなのだろうかというところで、知事の考えをお聞かせください。

橋本知事:茨城空港については、首都圏の航空需要はまだまだ伸びると思っていますので、そういう点で果たすべき役割は十分にあるのかなと思っております。
 それから、ドイツなどの例を見ておりましても、LCC空港が(大都市から)何十キロか離れているところにあるというのは結構多いものですから、そういったことなども参考にしながら、どうすれば利用客を増やせるかという点で力を入れていかなくてはいけないと思っております。例えば、アクセスをもっとよくするという点で、茨城空港へ常磐道から直接アクセスする連絡道路をもう少し便利なものをつくるとか、いろいろな検討をしていかなくてはいけないと思っています。
 当面の課題としては、スカイマークさんに存続してもらうためにどういう形で支援体制を組めるか、平成26年度の補正予算の中で、我々としては、利用者を増やすための様々な提案をしていきたいと思っておりますので、それは後ほど発表させてもらいたいと思います。

NHK:平成26年度の補正予算の中で、スカイマークの存続を支援できるような何らかの施策を入れたいということですか。

橋本知事:利用者対策という形で、実質的にかなり割り引いた形で乗れるようにするとか、乗った人に対して支援をするとか、そういうことを考えております。

NHK:補正予算の発表はまだ先だと思いますが、スカイマークの存続に向けて県として考えていることを、もう少し具体的に、今の段階で言える範囲で結構ですので、教えてください。

橋本知事:今言ったぐらいですね。少し控えさせてもらいます。

NHK:アクセスとかそういうことはどうですか。

橋本知事:アクセスについては、先ほど言いましたように、常磐道の石岡小美玉インターのほうから空港へ抜ける道路ができるかどうかという詰めを行っているところです。

NHK:空港の利用料とかのあたりについてはいかがですか。

橋本知事:利用料などについては今までも対応してきていますので、これからやろうとしていることのメインは、利用者に対する支援、あるいは茨城空港のPRということになってまいります。

NHK:首都圏との交通手段の確保とかということはいかがですか。

橋本知事:先ほど申し上げたように、500円バスが走っていますから、これをどうやって早く(走れるように)するかということが一番大切だと思います。

茨城:関連で、スカイマークの支援の中で、利用者対策ということで割り引く形でというお話がありましたが、搭乗者保証とかそういったものについてお考えですか。

橋本知事:それは今のところ考えておりません。とりあえず、実質的な価格割引になるような方策を考えていきたいと思っております。例えば、搭乗者に対して、空港で利用できる券を差し上げたり、あるいは、後で航空券を買うときに使えるようなものを差し上げたり、そういうことを考えております。

茨城:そうしますと、茨城空港に来てもらうことを促進するというような従来の対策を強化するといったところでしょうか。

橋本知事:そうです。

産経:関連なのですが、現在、茨城空港の国内線はもちろんスカイマークしかないわけですが、この存続に全力を挙げるというのは当然のことでありますが、なかなか難しいことであると思うのですが、LCCも含めて、ほかの航空会社に就航を呼びかけるために、新たに何かされるというお考えはございますでしょうか。

橋本知事:それは海外の航空会社も含めて絶えずいろいろな形でアプローチはしております。ですから、これからも継続してやっていきたいし、これまで以上に力を入れなくてはいけないと思っています。

産経:これまでの流れ以外に、具体的にどこかの航空会社というものはございますでしょうか。

橋本知事:これからLCCでも足(航続距離)の長いものができてくると、また対象範囲なども異なってきますので、そういったことなども期待しているところです。

NHK:茨城空港に関連してですが、先ほどの利用者に対する支援に関連して、主にスカイマークのほうにお金が流れるというよりは、利用者、地域の振興も兼ねたような対策方針ということでよろしいですか。

橋本知事:そういう方法を考えています。

NHK:茨城空港の関連でお尋ねしたいのですが、補正予算の規模というのは、茨城空港の部分でいうとどのぐらいをイメージしていますか。

橋本知事:茨城空港関係の補正予算で、結構大きい金額を考えています。何億円という単位になってまいります。それは年度内には全部は使いきれません。当然、来年度に使う形になりますが、5億円は最低超えるということでご理解いただきたいと思います。

NHK:当初予算と補正予算を合わせた額ということでしょうか。

橋本知事:補正予算だけで5億円をかなり超えると思います。

NHK:6億円に近いということですか。

橋本知事:そんなものではないです。もっと超えると思います。
 今のところ、予定しているものはもうちょっと大きいので、まだここで言う段階ではないので、後でまた発表したいと思いますが、かなり思いきった金額を出していこうと思っています。
 これはスカイマークの支援という観点もありますが、それとあわせて、地域消費喚起型の交付金の活用を考えておりますので、その交付金がどれだけ来るかということがまだはっきりしておりません。地域消費喚起型が(全国で)2500億円で、そのうち1000億円が都道府県分です。そのうち、本県に何億円来るかということになってくるわけですが、市町村のほうは、どちらかというと、例えば、1万2000円の商品券を1万円で売るとかいう域内対応型になってきています。
 県分のほうは域内・域外対応ということで、我々としては、県外のお客さんが本県へ来て消費してくれるような仕掛けをつくりたいということです。現在、県外のお客さんを呼ぶのに、プレミアム宿泊券をやっていますが、それと似たような形で、県外の人もこちらへ呼んできて消費をしてもらえればいいのではないかということで、その呼び水という意味でも、今回、茨城空港を利用した旅行を呼びかけていきたいと思っております。
 それから、消費という点では必ずしも域内になりませんが、国全体として消費を喚起するという意味では、県内の人に利用促進するということも役に立ってくれるのではないかと思っています。

NHK:大変不勉強で申しわけないのですが、これは地方創生の制度を活用しながらというふうに理解してよろしいのですか。

橋本知事:地方創生先行型ではないほうの地域消費喚起・生活支援型というほうを活用してやっていきます。我々としては、その交付金を活用する方策として、茨城空港の利用促進をするのはかなり有効なのではないかなということで力を入れております。

NHK:それでかなり大きな額というのは、10億円よりは下でしょうか。

橋本知事:それは下です。

NHK:9億円よりも下でしょうか。

橋本知事:あまり言わないようにします。

日経:茨城空港関連でお伺いしたいのですが、国内線の搭乗率が非常に低迷している路線が多いと伺っているのですが、一方で国際線に関しては、上海便などは非常に好調だというふうにも伺っております。今回のスカイマークの一件があって、先ほど、知事のほうからも海外の航空会社のアプローチなどという発言もありましたが、茨城空港を国際線により特化させていくというようなお考えも、可能性としてお考えの中にあるのでしょうか。

橋本知事:特化するという考えはありません。両方に力を入れていきたいと思っております。もちろん、海外からの便について、先ほど申し上げたように、足(航続距離)が長くなってくればもうちょっと接触する範囲も広げていきたいと思っておりますし、それから、今度のハルビンのように、チャーター便というものについても増やしていけたらなと思っております。
 いろいろな会合で、茨城空港の宣伝をしているところでありますので、これからも海外便についてもさらに力を入れていきたいと思います。