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 日立市は様々な課題を抱え呻吟しています。地方創生元年と言われる今年4月には、統一地方選が行われ、日立市でも市長選と市議選が行われます。井手よしひろ県議は、日立の課題や可能性について、公明党の現職市議、党日立支部の役員と語り合いました。
 このブログでは、5回に分けてその内容をご紹介します。第2回目は、たての清道かつや市議会議員です。

たての清道市議井手よしひろ県議会議員 たての市議とは毎週木曜日、朝7:30〜8:30までの一時間、一緒にJR日立駅中央口で議会報告を行っています。もう7年目に入りました。この前、回数を数えてみたら285回に上っていました(2015年2月12日現在)。毎回まじめに原稿を書いて、市民の皆様に真剣に訴える姿に、敬意を表します。
 最近、街頭での訴えで、みなさんが一番関心を示されるのが、日立市役所の新築問題です。2月6日、2回目の入札が行われ、大手ゼネコンの竹中工務店が落札し、早ければ3月末にも起工式が行われると伺っています。日立市役所の新築工事について教えて下さい。

たての清道市議会議員 4年前の東日本大震災で、日立市役所は大きな被害を受けました。被災後、耐震診断を行った結果、どの建物も震度6以上の大きな地震の際には危険であるとの結果が出たため、全面的な建て替えを決断しました。市役所は、街のシンボルであり、行政機能、防災機能の拠点でもあります。さらに、市民サービスの中心でもあり、安心・安全の中核施設でもあります。国の震災復興の仕組みに位置づけると、その費用の多くが国から支援が受けられ、市民の負担を最小限に留めることができます。こうした点を考慮して、早期の全面建替に賛成しました。
 しかし、最初に市から示された設計には、多少違和感を感じました。デザイン性、芸術性を重視する余り、予定した工事費が予算内に収まるのかという疑問もありました。実際、昨年8月に行われた第1回目の入札は、建設会社の見積もりと市の見積もりが合わず不調に終わりました。唯一社、入札に参加申請していた大成建設・りんかい日産建設・鈴縫工業・秋山工務店・岡部工務店のJVが、辞退したためです。第1期分の予定価格は、110億2000万円(税込)で、東日本大震災の復興需要や東京オリンピックの建設需要拡大などによって、資材や人件費が増大しており、JVは予定価格内の工事施工を断念しました。
 この入札不調を受け、私共市議会は、特別委員会で工事設計の大幅見直しを市当局に訴えました。当初の床面積27000m2を2000m2削減して、25000m2とする。一部市民から不要ではないかと指摘された地下駐車場を設計から外す。エレベーターや階段の設計を見直す。曲面やガラスを多用したデザインを見直し、工事やメンテナンス性が高く、部材の値段も節約できる直線的なデザインとする。市民広場の大屋根の構造や面積を変更する。建物本体壁面のルーバーや窓の形状などを変更する。など、その見直しは多岐にわたりました。
 見直し後の2回めの入札が、この2月6日に行われました。先ほど、報告がありましたが、大手ゼネコンの竹中工務店が予定価格の112億3000万円を9%近く下回る102億5000万円で落札しました。
 今後、地元の建設業者で共同企業体を設立し、3月市議会で予算と契約が承認されれば、3月中にも起工式を行い、具体的な工事に着手されます。
日立市役所新築工事の概要

井手県議 今回の第1期工事と第2期工事分の市民広場(大屋根含む)や外構工事を合わせると総予算は130億円に上ります。街頭でお声をかけてくださる方や県政懇談会でのご意見の中でも、市役所にこれだけのお金をかけるなら、人口減少対策や街の活性化にもっとお金を遣うべきだとのご意見をいただきます。

たての市議 そういったご意見もごもっともです。日立市の人口減少は、特に社会減は平成26年、25年と連続して全国ワースト2という不名誉な結果でした。日立市が人口減少、子育て支援、高齢者の福祉、そして何よりも企業誘致などの地域活性化策に真剣に予算を確保し、積極的に取り組んでいると、市民の皆様に評されたならば、このようなご批判はいただかなかったのではないでしょうか。
 地方議会は市長と車の両輪のように、市政運営を担っています。その意味では、私共市議会議員の責任も重いと自戒しています。
 市役所建設がスタートする平成27年度を地方創生元年と位置づけ、地域の活性化や人口減少対策などにも、今までになかった発想で全力で取り組んでまいります。

井手県議 いま、「平成27年度は地方創生元年」との発言がありましたが、日立市ではどのような取り組みを考えていますか。
 吉成明市長は、年頭の職員訓示で人口減少に関して次のように発言しています。
「まちの人口減少が叫ばれて久しいわけでありますが、一番大事なのは、やはりインフラだろうというふうに思っております。鉄道、道路、港湾、空港といったようなものがきちっと、そのまち、その地域に存在するということが、結果としては、そのまちが発展するということであります。(中略)本市でも、国が地方創生を担う新組織を発足させたことから、そういった担当をつくろうと思っておりますが、このままでいきますと人口獲得競争になる。日本の人口が増えているうちはいいんですが、日本全体が増えていないのですから、いわゆる奪い合いになる。片方が増えれば片方が減ると、こういった地方の人口獲得競争をそのまま進めていいのかということを、もう一方では考えていかなければならないだろうというふうに思います」
 私は、インフラ整備自体は否定しませんが、人口獲得競争を悪として切り捨ててしまうことには疑問を感じます。人口はそのまちのもっとも重要な「宝」です。人口減少に歯止めをかけることは、市議会にとっても最も大事な役割だと考えていますが、たての議員の考えをお聞かせください。

たての市議 今、日立市は厳しい地方自治体間の競争にさらされています。隣接する常陸太田市は、「子育て上手・常陸太田」を標榜し、子育て支援を日立市より手厚く行っています。外来治療におけるマル福(医療福祉制度)の対象は、日立市が小学校卒業までですが、常陸太田市は4月から18歳まで拡大する予定です。新婚のカップルが常陸太田で民間のアパートを借りると、月に2万円の家賃補助を3年間受けられれます。日立市にはこのような支援策は全くありません。昭和30年台から60年台にかけて、日立市の福祉は茨城県で最高レベルでした。現在は、マル福制度だけ見れば、県内最低レベルです。福祉が充実していないまちに住民は住み続けようとはしないでしょう。福祉の充実、特に子育て世代の支援拡充を、私は日立市の人口減少対策の一丁目一番地に位置づけたいと考えています。
 その上で、日立のすばらしい産業技術の集積や農業、水産業、観光資源の素晴らしさを全国に発信する仕組みを作りたいと思います。今ままでのように、大手企業一社に頼っている産業構造は転換しなくてはなりません。素晴らしい技術やノウハウをもつ市内の中小企業を全国、全世界に紹介したいと思います。日立市には産業技術センターのような先進的な取り組みがありますが、製品や技術の素晴らしさを発信する仕組みがありません。そのためには、若者の力、日立市以外の人の力を借りようと提案しています。
 例えば、国の「地域おこし協力隊」の仕組みを使って、全国から地域おこしに興味を持つ優秀な学生を日立に迎えます。この制度は3年間、生活費を支給して、決められたテーマに自由に取り組んでもらい、地域おこしに協力しもらおうとする仕組みです。日立市の素晴らしい中小企業を全国に紹介するホームページ、多言語で発信できるホームページなどを開発してもらいます。日立の中小企業と大都市の学生をインターンシップで結ぶ取り組みも有効だと思います。若者の力、よそ者の力を存分に活用する取り組みに是非挑戦したいともいます。

日立医療センター井手県議 現在、日立市では日製総合病院と日立医療センターの新築工事が進んでいます。地域では、診療所やクリニックの開業が相次ぎ、医療環境の充実が進んでいます。安心・安全のまちづくりの基本には、医療環境整備があります。医療や介護に関しては、どのような考えをお持ちですか?

たての市議 私は、6年前心筋梗塞で倒れ、カテーテル治療で一命を救われました。万が一、救急車の到着が遅れたら、受け入れてくれる病院がなかったらと、今でも背筋が寒くなります。
 そこで、私は救急医療体制の充実、AED配備などの緊急時への備え、様々な病への予防体制の整備などに、誰よりも真剣に取り組んできました。
 まず、救急医療体制の整備では、ドクターヘリが離発着できる体制の整備が必要です。日製総合病院の新本館屋上にはヘリポートが整備されます。市内の救急患者をいち早く専門の医師がいる病院に搬送できるよう取り組みます。また、子どもの救急体制が不足しています。産科、婦人科の陣容も十分でありません。井手県議と協力して、県立こども病院に新生児救急用のドクターカーを配備するよう求めていきたいと考えています。県北地域に設備の整った新生児対象の医療機関を作ることは非常に課題が多く現実的ではありません。それならば、県立こども病院の専門医と高度な医療機器を積載した大型救急車(ドクターカー)の整備し、超未熟児の出産などに対応させたいと思います。
 さらに、新たな救急医療体制も提案したいと思います。今、119番に電話して、患者を救急車に収容し、指定の病院まで搬送する時間が、日立市内では約35分かかっています(これをレスポンスタイムと言っています)。このレスポンスタイムで一番時間が掛かっているのが、患者を受け入れてくれる病院を探すことです。これは、現場に到着した救急隊員が、直接救急指定病院に電話をかけて受け入れの可否を問い合わせています。専門医がいない、ベットが空いていないなど、様々な理由で収容する病院が決まらず、それがレスポンスタイムが伸びてしまう要因になっています。そこで、私はスマホやタブレット端末を活用した救急指定病院のデータベース構築を提案したいと思います。
JR日立駅での議会報告 先日、テレビ番組で佐賀県の先進事例が紹介されていました。佐賀県が開発した「99さがネット」では、タブレットの画面にはあらゆる診療科目が表示されています。まず病院側が現在どんな専門医が待機しているかをリアルタイムで入力。救急隊が画面から患者の症状に合った科目を選択すると、その時点で受け入れ可能な病院が表示されます。タブレットには各病院の受け入れ件数と断った件数(応需率)が表示されています。受け入れが多い順に並べられています。このアイディアが医師たちの意識を激変されました。システム導入から1ヶ月で「受け入れ不可」が3割も減ったとの報告もありました。すでに、タブレットやスマホを使った救急搬送システムを8府県が導入し27県が導入を検討しています。日立市でも、茨城県と協力してこうしたシステムの導入促進を図ります。
 また、心筋梗塞などの急性の心疾患には「AED」がその威力を発揮します。日立市でも公共施設やコミニュティの施設にはAEDが配備されています。しかし、夜間や休日など、その施設が閉まっているときはAEDを利用することができません。そこで、私はコンビニエンスストアへのAED配備を提案しています。日立市がリースでAEDを一括購入し、協力を頂いたコンビニに配置していただきます。コンビニは、まさに24時間365日営業しています。市内の主な場所には必ずといっていいほど立地しています。このコンビニにAEDを配備することができれば、急性心疾患でなくなる方を大幅に減らすことができると確信します。

井手県議 たてのさんは、4月の市議選には5期目挑戦となります。これまでの16年間とは一線を画する議会活動、議員活動への決意があれば、お聞かせください。

たての市議 繰り返しになりますが、平成27年度は地方創生元年です。地方が生き残る最低限の条件として、地方には学びと雇用の場が必要だと考えています。加えて行政による結婚、出産、子育てに切れ目のない支援も重要になります。今、「人口減少」が大きな課題になっていますが、安心して子どもを産み育てられる環境が整えば、若者が生まれ育った地域で暮らしていく意義も生まれ、郷土の担い手にもなると確信しています。
 地方創生の動きは、国が作るものではありません。日立市では、日立に住む住民一人一人が、必要な政策を組み立て、実行する。その必要な予算や人材、必要な制度(法律や税制度など)を、国に求めていく。こうした下からの改革の提案が不可欠になります。
 地方の行政がつくる案の段階で、そこにどれだけ多様な意見が届いているかが重要です。お一人暮らしの高齢者や、20代、30代の若者や、若い女性の声は、どうしても欠けることが多いのが現実です。私はこれまで以上に、行政で抜け落ちた声を吸い上げて、しっかり届ける役割を果たしていきたいと思います。

たての清道市議のプロフィール
  • 日立市議会議員4期目
  • 環境建設委員会
  • 日立市監査委員
  • さくらグループ代表
  • 日立市子ども会育成連合会副会長
  • 中小路学区コミュ二ティ推進会防犯防災部部員
  • 公明党日立副支部長
  • 昭和35年7月16日生まれ
  • 昭和48年3月 日立市立中小路小学校卒
  • 昭和51年3月 日立市立駒王中学校卒
  • 昭和54年3月 茨城県立日立工業高校卒
  • 昭和58年3月 私立東海大学工学部卒