日立市役所新庁舎のイメージ
 3月4日、日立市議会は日立市新庁舎整備事業第1期本体工事の請負契約議案を、全会一致で可決しました。4日開会した日立市議会は、新庁舎関連議案を先議。「市議会新庁舎建設特別委員会」に付託された契約議案の審議を行いました。特別委員会は、庁舎設計の大幅な見直しによる事業費削減や県内初となる「入札後JV結成方式」を採用した点などを評価し、原案を可決すべきとしました。その後、案件は本会議で採決され、共産党を含む全会派が賛成し可決されました。一部市民から慎重な意見が寄せられている新庁舎建設事業に、共産党が賛成したことに驚きの声も上がっています。
 今回、契約案件が可決されてことで、日立市では新庁舎の起工式を3月25日に行うことを決定しました。第1期本体工事は2017年4月完成予定。既存庁舎の解体工事を2017年12月までに終了します。跡地に整備する第2期本体工事は2018年11月の完成を目指しています。
日立市新庁舎整備事業(第1期本体工事)
竹中工務店を代表構成員とし、地元企業の鈴縫工業、秋山工務店、岡部工務店で共同企業体
落札価格94億9000万円(税込102億4900万円)
 日立市役所新庁舎の入札は、昨年7月に一回目の入札が不調。これを受け日立市は、コスト削減を図るため設計を大幅に見直してきました。執務棟・屋内広場は規模を2000平方メートル減の延べ約2万5000平方メートルに、大屋根も面積を1000平方メートル減の約3300平方メートルにそれぞれ縮減しました。
 執務棟・屋内広場の規模縮小については、地下1階地上2階建ての屋内広場部分の東西幅を11.8m減の15.8mに抑えます。これに伴い、市民広場1階に円形状で複数配置する計画だった銀行やコンビニエンスストアなどは、窓際に直線上に設ける設計に変更します。市民広場のカーテンウォールは、高さ10mの一枚ガラスを使う予定でしたが、高さを7mに抑えるとともに3〜4mの汎用品を2枚使い、費用圧縮を図りました。
 また、市民からの批判もあった地下駐車場も設計から排除しました。最上階の市議会議場も、ドーム状の天井を平面の天井に変更しました。曲線状だった執務棟の東西面のアルミパネルも平面形状に変更。いずれも平面化することによって材料や工事費の圧縮を狙いました。
 さらに、新庁舎の特徴ともいえる前面の大屋根は、面積を削減するほか、柱のスパンも広げることにしました。 
 これらにより、大屋根や多目的ホール・レストラン棟を建設する第2期工事なども含めた事業費を、総額129億8962万9000円の範囲内に収めることにしました。
 発注方法は今後、再検討する。第1期の予定工期は、これまでどおり25カ月を基本とし、16年4月から17年4月末までとなるが、できるだけ早めたい考えだ。
 執務棟・屋内広場は、S・RC造(基礎免震構造)地下1階地上7階建て。設計はSANAA事務所(設計者の妹島和世さんのパートーナー会社)、CM業務は日建設計コンストラクション・マネジメントが担当しています。