3月26日、茨城県北地域ビジネス創出支援事業「ビジネスプランコンペティション」の最終審査が水戸市内で行われました。
 この事業は、人口減少が進む県北地域(日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町)において、地域資源 を活用した新規ビジネスや、地域の課題解決につながる新規ビジネスの創出を支援することで、地域活性化を目指すものです。
 県北地域の活性化につながる新たなビジネスプランを選ぶコンテストでは、県北地域の特産品を生かしたプランなど、さまざまなアイデアが発表されました。この日は応募総数64件より、書類審査を通過した10人がビジネスプランを審査員にプレゼンしました。
 審査の結果、つくばメディカルセンター内で売店を運営する筑波サービス、「通い家」事業を提案した日立市の鯉渕健太さん、北茨城市の水産加工業者の三代目・杉本佳寿子さん、巡回警備業に高齢者支援や空き家管理などの付加価値を提唱した三井セキュリティ(日立市)の4者が優秀賞に選ばれました。今後の事業資金として、各々賞金200万円が贈られました。
県北ビジコン
 筑波サービスは、故郷大子、里山ホテル、奥久慈食品、山崎パン、筑波大学五十嵐研究室などとのコンソーシアムを設立し、このビジネスコンペに臨みました。大子町や常陸太田市特産の農作物や加工品をワゴンに載せて病室を回って販売し、タブレット端末を使って患者が現地の生産者と直接話して県北の魅力を知ることができるというビジネスプランを発表しました。県北地域の喫茶店やホテルに、五十嵐研究室が開発したロボットを置き、県北の風景や商品の生産者などとの対話など、最新のICT技術を活用したことに大きな特徴がありました。プレゼンを行った秋山晋一さんは「(精神的に落ち込んだ時期に)大子町で果物や昔ながらの漬物を食べた際にほっとできた。患者さんたちにも同じ感覚を味わってもらい、退院したら県北を訪れてもらえるようつないでいきたい」と訴えました。
 北茨城市にある水産加工会社の杉本さんは、イワシをオリーブオイルで煮付けたおつまみを販売したいと説明。杉本さんは、震災後、休業している加工会社の設備を利用したり地元の農家から野菜を購入したりするなど、地域にあるさまざまな資源をつなげていきたいと語りました。審査委員からは、「材料のオリーブオイルも茨城県や隣接するいわき市などで生産されています。地域にこだわった、安心、安全の食材の活用を検討しては」とのアドバイスがありました。
 建築事務所で働き起業した鯉渕さんは、県北地域の「空き家」問題に焦点を当て、半定住型の交流ライフスタイル「通い家」を提唱。空き家をリユースデザイン(調査・企画・設計・工事・マネージメントを一貫して請け負)プラットフォームを構築したいと語りました。空き家の情報をどのように集めるかなど課題はあるものの、山梨県のような先進事例をもとに、行政との連携の必要性も強調しました。
 警備会社を経営する三井セキュリティの三井隆男さんは、警備会社の持つノウハウを高齢者支援や空き家対策、ポスティングサービスなどの新分野に活かすビジネスモデルを提案しました。三井さんは、高齢者単身世帯や空き家が増えている日立市内で、高齢者向けの買い物支援や草刈り、庭の管理、空き家の管理などをすでに手がけています。巡回警備時にセキュリティスタッフがポスティングを行うことなど、多角的なサービスを展開するとしました。