指定破棄物市町長会議 4月6日、環境省は東京電力福島第1原発事故に伴って発生した指定廃棄物の最終処分に関して、県内で指定廃棄物を一時保管する14市町の首長を集めた会議を水戸市内で開きました。過去4回にわたり、県内全ての市町村長による会議を開いてきましたが、前回1月の会議で分散保管の方向性が示されたことから、実際に指定廃棄物を保管している14市町の会議が開かれました。
 参加した各首長からは各市町に分散して保管する状態を維持するため、国が責任を持って、安全な保管方法の検討や住民への説明を行うよう求める声が相次ぎました。環境省は分散保管に向けた課題を整理した上で、次回の会合で要望に回答する方針を示しました。
 福島第1原発の事故に伴って発生した放射性物質を含む指定廃棄物について国は、茨城県を含む5つの県で、それぞれ1か所ずつ最終処分場を建設し、集約する方針をすでに示しています。茨城県でも、民主党政権下で高萩市内に最終処分場を建設することを一旦は決定しましたが、地元の反対や政権交代により白紙に戻っています。茨城県内では14の自治体でおよそ3532トンが保管されたままになっています。

 6日の会議では、環境省と県、指定廃棄物を保管している14自治体が参加して、処分のあり方について話し合いました。
 参加した自治体からはそれぞれの自治体で放射性物質の濃度が基準を下回るまで保管を続け、その後、通常の廃棄物として処分するのが現実的だという意見が多く出されました。一方、県内1か所の最終処分場に集約すべきだという意見は出されませんでした。
指定破棄物の保管状況
 高萩市の小田木真代市長は、「市民の大変厳しい反対運動などを考えると、県内で1か所選定するのは、他の市町村でも非常に難しい」と主張。他の首長からも「1か所にするというのは非常に時間がかかる」(ひたちなか市・本間源基市長)などと分散保管を求める声が相次ぎました。
 龍ヶ崎市の中山一生市長は、「地域住民に『国の責任で処理してくれる。その間の一時保管です』と約束してきた。分散保管について、今の段階で私は賛成しかねるところがある」と慎重な姿勢を示しつつ、「ここで決まったことは尊重する」とも述べました。
 北茨城市の豊田稔市長は「14市町の話はほぼ煮詰まっている。一日も早く解決しないといけない」と強く訴えました。

指定廃棄物の保管、結論先送り:環境省は次回会合で要望事項へ回答
 環境省の福山守環境大臣政務官は「さまざまな課題が明らかになった。今後、実現可能性をよく精査していく」と述べ、次回の14市町の首長会議で今回出された要望に回答する考えを示しました。
 環境省が、地元市町村の意見を充分に尊重しながら、一刻も早く指定破棄物の最終処分問題を解決したという姿勢は評価できます。
 その上で、課題は二つあると思います。一つは予算措置です。環境省の予算措置は1県1箇所分の最終処分に係わる予算しか確保していません。14箇所で分散保管した場合の予算をどのように見積もるか、それをどのように確保するかが課題になっている思われます。二つ目は、他県との関係です。指定廃棄物は福島県以外では、栃木県、群馬県、千葉県、宮城県などで一時保管されており、環境省は各県1箇所の最終処分条を建設する方向で、地元との交渉に当たっています。茨城県が分散保管を決めたことによって、他県の最終処分場建設への影響を考慮する必要があると判断しているものと考えられます。
 いずれにせよ、茨城県の各市町村の意向は固まりつつあります。環境省の誠意ある回答を望みます。