消費生活都市宣言 高齢者を狙ったニセ電話詐欺や、インターネットの利用をめぐる若年層のトラブルを防ぐため、茨城県水戸市は4月、全国初の「消費生活都市宣言」を行いました。これを受け、2014年に制定した消費生活条例で「義務」とされた消費者教育推進計画が策定されました。「消費生活都市宣言」と条例は、水戸市議会公明党(幹事長:伊藤充朗市議)が一貫してリードしたものです。伊藤市議はこのほど、市民生活課の柏直樹課長と会い、消費者教育の具体的な取り組みについて意見交換しました。
教育推進計画を策定、詐欺などトラブルへの対応力向上へ
 水戸市消費生活センターには、2012年度に1919件、13年度に2442件、14年度に2353件の相談が寄せられ、いずれも県内最多。この件数について柏課長は「消費者が事実と違う商品を購入した際などに、泣き寝入りをせずに対処しようとしている証拠」と語ります。
 水戸市は以前から、弁護士ら専門家でつくるNPO法人に消費生活センターの業務を委託し、多様化する相談への対応を進めていました。しかし、市民が“自立した消費者”となるための教育が課題となっていました。こうした実情を受け、伊藤市議は「市民一人一人が消費行動に責任を持ち、自立した消費者市民をめざす『消費者市民社会』を実現すべきだ」と主張し、消費生活条例の制定を推進しました。
 2014年3月定例会では「条例の制定に伴い、消費者市民をキーワードとした都市宣言をすべきだ」と提案していました。
 4月に発表された消費生活都市宣言では、「健全で豊かな消費生活が送れる社会」の実現を表明。その上で、消費者の権利や事業者の姿勢を簡潔に示しています。
 さらに、「消費生活都市宣言」を受けて策定された消費者教育推進計画では、(1)ライフステージや場に応じた消費者教育の機会の提供(2)消費者教育に携わる人材の育成と活用(3)消費者教育の教材等の作成・活用および情報収集・提供の充実――の3点を明記。今後は、学校の授業や市民向けセミナーなどで消費者教育の推進を図ることになりました。
 5月23日には、消費者教育の場として、みと文化交流プラザで、消費者庁の板東久美子長官の基調講演やパネルディスカッションなども行われる予定です。
 柏課長は「この宣言が条例の後押しになっている」と強調。その上で「市民が消費行動で被害に遭っても、それに対処することができる能力を養うことが大事。この消費者教育を学校、家庭、地域へと広げていきたい」と語っていました。
 伊藤市議は「消費者教育、消費生活条例、そして消費生活都市宣言の三本柱が、消費者市民社会の実現には必要。水戸市が消費者市民社会のモデル都市となるように尽力したい」と決意を述べました。
(このブログは、公明新聞2015/5/19付けの記事を参考に再構成しました)