空き家の状況 5月26日、放置された空き家の撤去や活用を促す「空き家対策特別措置法」が、完全施行されました。
 管理が不十分な空き家は、景観の悪化だけでなく、ごみの不法投棄や不審者の侵入、放火や地震による倒壊など、地域に及ぼす影響が大きい。総務省の調査によれば、全国の空き家は毎年のように増え続け、総住宅数の13.5%に当たる820万戸(2013年時点)に上っています。
 このため、400を超す自治体が空き家の解体や適正管理を進める条例を制定し、対策に乗り出しています。しかし、所有者の把握や撤去費用など、自治体の対応だけでは限界があるのが実情です。
 特措法は、市区町村が固定資産税の納税情報を活用し、所有者を把握しやすくしたほか、倒壊の危険などがある「特定空き家」への立ち入り調査や、所有者に対して撤去、修繕を促す指導、勧告、命令ができるようにしました。
 命令に応じない場合は、今日からは行政代執行として強制的に撤去することも可能になります。
 また、固定資産税の優遇措置を打ち切れるようにしました。小規模住宅の場合、固定資産税が6倍になる可能性もあります。
 法整備によって、市区町村が対策に乗り出しやすくなります。市区町村は特措法をあらゆる視点から活用し、対策を進めてる必要があります。
 空き家を資源として活用する視点も重要です。空き家情報をインターネットで公開し、借り手を募る「空き家バンク」に取り組む自治体が増えています。制度を周知するとともに、空き家を有効活用する方策にも知恵を絞りたいものです。
 空き家の所有者の中には、遠隔地に住んでいるなど、さまざまな事情で空き家の維持・管理や処分、利活用の方法に悩む人も少なくないはずです。空き家を減らすためにも、こうした人たちの相談や周辺住民の苦情に応じる体制を整備することも必要です。
 一方、実態調査や所有者の特定など対策を担う市区町村の負担は決して軽くありません。特に、職員数が限られる小規模自治体は、地域住民の要望に十分に対応できるかが心配です。対策を円滑に推進するためには、国や都道府県の支援が欠かせません。
 今後、市区町村は個別の対策計画を策定していくことになります。まちづくり計画と連動させるなど中長期的な視点で取り組んでいかねばなりません。