
日立機械が開発した“アースセーバー”
東京電力福島第一原発事故で汚染された土壌を水で洗浄する移動型の装置を、日立市の工作機械商社「日立機械」が開発しました。“アースセーバー”と名付けられたこの装置は、放射性物質で汚染された土を高圧水で研磨・洗浄し、約9割を元の土壌に戻せる装置です。汚染土を1割に減容化できます。“アースセーバー”は10トントラックの荷台に組み込まれ、「フレコンバッグ」と呼ばれ、汚染された土が入る黒い袋が仮置きされている現場で、移動しながら減容処理が出来できます。
減容化に必要なのは、水のみです。フレコンバッグ内の土をいったん、装置内に取り込んで高圧洗浄することで、土の粒の表面を削り落とし、放射性物質を取り除きます。削り出された表面の粒は、最終的に25ミクロン以下まで細分化され凝集剤で固形化。汚染部分の土は容量全体の10分の1まで減らし、大半の土が再利用できるようになります。
環境省の実証実験で効果が確認され、除染で出た土壌の再利用が期待できます。環境省は今後、洗浄された土壌を再利用するための仕組みづくりを検討する方針です。
日立機械の松山浩一社長は、もともと災害時に泥水を飲料水に変える給水装置を開発していました。日立機械の環境企画室の小林充典室長が東日本大震災後、汚染土を高圧洗浄すれば、表面の放射性セシウムがはがれ落ちることに着目。給水装置と組み合わせて2011年秋、試作品の開発にこぎつけました。移動型の土壌除染装置として13年5月に特許を取得しました。
表土をはぐ除染作業ででた土をふるいにかけて、1.5ミリ以下のものを高圧ジェット水流で研磨して、表面に付いた放射性セシウムを落とし、洗浄後の土壌と分離、2.洗浄の際に汚染された水に専用の凝集剤を入れて、水とセシウム付着の粘土を分離、3.セシウムの塊を取り出す、という工程です。
環境省が2014年度の実証実験を、福島県浪江町の公園で実施。1キロあたり約1万ベクレルの土壌約480キロを洗浄し、取り出されたのは2000ベクレルの約380キロだった。除染率と再利用できる割合はともに8割でした。
その後の住民説明会でのアンケートで、除染方法について「はぎ取った土を洗浄して汚染が多少残るものの、自分の家に戻す」を選んだ人が半数を超え、建設資材として使うのに7割超が賛成したといいます。
松山社長は新聞社の取材に「放射性物質を粒の細かい粘土質に濃縮させて、比較的きれいな砂石を取り出せれば、建設資材として活用できる」と語っていました。
福島県内では現在、庭などで汚染された表土をはぎ取り、他の地域のきれいな土で埋め戻しています。はぎ取った土はすべて仮置き場などで保管され、今後、福島県内の中間貯蔵施設での保管が検討されています。
環境省によると、福島県内の除染土などは今年3月末で700万立方メートルを超えていて、今後も増え続ける見通しです。除染土の再利用を目指す技術は他にも開発が進んでいて、防潮堤の建設資材などとして活用が期待されています。環境省は今年度、再生利用のための枠組みづくりの検討会を発足させる方針です。
その後の住民説明会でのアンケートで、除染方法について「はぎ取った土を洗浄して汚染が多少残るものの、自分の家に戻す」を選んだ人が半数を超え、建設資材として使うのに7割超が賛成したといいます。
松山社長は新聞社の取材に「放射性物質を粒の細かい粘土質に濃縮させて、比較的きれいな砂石を取り出せれば、建設資材として活用できる」と語っていました。
福島県内では現在、庭などで汚染された表土をはぎ取り、他の地域のきれいな土で埋め戻しています。はぎ取った土はすべて仮置き場などで保管され、今後、福島県内の中間貯蔵施設での保管が検討されています。
環境省によると、福島県内の除染土などは今年3月末で700万立方メートルを超えていて、今後も増え続ける見通しです。除染土の再利用を目指す技術は他にも開発が進んでいて、防潮堤の建設資材などとして活用が期待されています。環境省は今年度、再生利用のための枠組みづくりの検討会を発足させる方針です。
環境省平成26年度除染技術実証事業評価結果概要より(平成27年2月24日)
放射性物質に汚染された土壌の洗浄実験及び洗浄後の土壌の再利用に向けた検証
株式会社日立機械
- 汚染土壌を湿式分級後、移動式の汚染土壌洗浄装置(アースセーバー)を用いた洗浄実験を行うとともに、低濃度となった洗浄後土壌の再利用の可能性を検討した。また、実証の見学会及び再利用に関する住民の意識調査を実施した。
- 約10,000Bq/kgの砂質土の汚染土壌を処理した場合、除染率及び土壌の戻し率(減容率)はともに80%であり、処理後の土壌は福島県の建築・土木工事におけるコンクリート骨材として使用できる条件を満たしていることを確認した。また、本事業の見学会・説明会に参加された方は本事業に興味を持たれた方が大半と考えられるが、アンケートの結果では洗浄後土壌の再利用等に大きな賛同が得られた。これにより、今後も継続的に洗浄土壌の再利用に向けた将来的な可能性を追求していく必要があると考えられる。