武雄市のスマイル学習 佐賀県武雄市は、産学官の連携で、小学校低学年の児童を対象に、「子どもたちの未来の可能性を伸ばそう」と、課外授業のスタイルでコンピューターのプログラミング教育に取り組んでいます。(スマイル学習:武雄式反転授業)
 武雄市は2014年9月、東洋大学、ソーシャルゲーム運営大手ディー・エヌ・エー(DeNA)と、「プログラミング教育に関する協定」を締結しました。この協定に基づき、武雄市が子どもたちのICT(情報通信技術)環境の整備を、東洋大学が同教育全体の企画・評価を、DeNAが学習で使うタブレットPC(パソコン)用のソフトウェア作成などに取り組んでいます。
 2015年度のプログラミング教育は、市立山内西小学校の2年生を対象に6月から行われています。また、山内西小学校と市立若木小学校の1年生を対象に8月下旬をめどに開始される予定で、合わせて85人の児童が授業を受ける予定です。
 プログラミング授業は課外授業。プログラム言語は児童が理解しやすいようテキスト(英数字などの文字データ)を用いない「ビジュアルプログラミング」を採用。キャラクターを使ってプログラムの基本を学んだ後、児童がオリジナルな作品を制作します。
 具体的には、タブレットPC用ソフトの中で、「おおきくなる」「はんたいをむく」など、一つ一つの動きが書かれた「お願いブロック」を組み合わせることで、画面上のキャラクターに動作をさせるというものです。
 また、山内西小学校の2年生は、タブレットPCの画面上の2体のキャラクターのうち、1体に触れると、もう一方が動くといった複雑な動きについても学んでいきます。
 昨年度、試験的に山内西小学校の1年生39人を対象に行われた課外授業(7回)で、毎回の授業ごとに行われたアンケートでは、98%に当たる延べ257人が「授業が楽しかった」と答えました。
 市学校教育課の徳永貞康課長は、「ものづくりの一つとして『プログラミングはおもしろい』と子どもたちが感じることで、子どもたちの未来の可能性を伸ばすことができる」とプログラミング教育の目的を語っています。また低学年の児童を対象にしたことについては「プログラミングは言語の一種なので難しいが、早い段階から行う方が抵抗感が少なく、苦手意識をなくすことができる」と説明します。
 今後のプログラミング教育などICTを活用した教育について、徳永課長は「ICTは“秒進分歩”で移り変わりが激しく、今ある状態が正しいとは限らない。従って『子どもたちのためになるかどうか』という一点についてはブレることなく、新技術の活用の可能性などを探っていきたい」と話しています。
(このブログは、公明新聞2015年7月9日付けの記事をもとに作成しました)

【ビジュアルプログラミング言語とは】
 プログラムコードの記述がなくても、視覚的な操作でプログラミングが可能なプログラミング言語です。
 子ども向けのビジュアルプログラミング言語では、Webブラウザ上で動くものが多く、ドラッグ&ドロップといった簡単な操作だけでプログラミング体験が可能です。
 また、中にはソースコード(JavaScript)に変換できるものもあります。
 日本語に対応している主なビジュアルプログラミング言語には、以下5つがあります。
  • Scratch(スクラッチ)
    Scratchは世界的に一番有名と言っていいほどの定番言語です。もともとマサチューセッツ工科大学のMITメディアラボが開発したものですが、日本語にも対応しているため国内の小学生向けプログラミング教室でも多く使われています。
    操作方法はいたってシンプルで、ブロックを組み合わせて、動物などのキャラクターを動かしていくだけです。
    カラフルな色使いも特徴ですので、子どもが楽しく、興味をもっと使うことが出来ます。
    参考:https://scratch.mit.edu/
  • MOONBlock(ムーンブロック)
    MOONBlockは国産のビジュアルプログラミング言語です。
    Scratchと似ている部分もありますが、指示については文字で表現されることが多くなっています。
    また、ブロックで作成したものはJavaScriptのコードで表示させることも可能です。
    参考:http://moonblock.jp/
  • プログラミン
    プログラミンプログラミンは文部科学省が開発したビジュアルプログラミング言語です。
    予め用意されている絵を組み合わせることでプログラムを組みあげていくことになります。また、自分で描いた絵を使って動かすことも可能です。
    マウスを動かすと手のアイコンで表示されるので、小さな子どもでも視覚的に理解できると思います。
    参考:http://www.mext.go.jp/programin/
  • VISCUIT(ビスケット)
    VISCUITは2003年にNTTの研究で開発されたビジュアルプログラミング言語です。開発者は原田康徳氏です。
    Scratchと同じく、子ども向けのプログラミングスクールでも使われることが多くなっています。
    ブロックを組み合わせるのではなく、自分で描いた絵を動かしながらプログラミングを学んでいく流れをとっていて、自分の作品は公開して他の人に見せることもできます。
    参考:http://www.viscuit.com/
  • Google Blockly(グーグルブロックリー)
    Google Blocklyは、Googleが提供するビジュアルプログラミング言語です。
    全部で7つのアプリが用意されていますが、そのうち3つは日本語に対応しています。
    迷路のアプリでは、ゴールにたどり着くためにどんなプログラムを組めばいいかをパズルゲーム的に学ぶことができます。
    また、組み合わせたブロックをJavaScript、Python、Dart、XMLに変換できる機能も用意されています。
    参考:https://developers.google.com/blockly/

(この項目はTechAcademyマガジンの記事をもとに作成させていただきました。「子供が使える!ビジュアルプログラミング言語5選【日本語対応のみ・体験レポートつき】」