スマホ・携帯の2年縛り“9500円”の違約金見直しへ!
 そろそろ携帯電話の2年縛り“違約金9500円”という契約制度の見直しを進める時期ではないでしょうか。
 総務省の有識者会議(ICTサービス安心・安全研究会)は、スマホなど携帯電話の通信サービスについて、現行の2年契約を前提とする「2年縛り」を是正するよう提言、総務省は携帯各社に対応を求めました。今後、利用者は最初の契約から2年が経過すれば、違約金を支払うことなしに他社携帯に乗り換えができる可能性が出てきました。
 大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が採用している「2年縛り」の一般的な料金プランでは、利用者が契約から2年経った時点で1カ月以内に解約手続きをしないと契約は自動更新されてしまいます。それ以降の期間に解約すると、違約金として9500円を支払うシステムです。
 そもそも、携帯電話会社が契約期間を2年としているのは、2年間継続して使うことを前提に通信料金を割引しているという事情があるからです。例えばドコモの場合、契約期間を定めなければスマホの通話定額が月額4200円ですが、2年契約の場合は2700円に割引しています。ソフトバンクの基本プランである「標準プラン」は1867円ですが、2年契約のホワイトプランなら930円。KDDIも2年契約だと基本使用料が約半額になります。
 大手3社は期間拘束のないプランも提供しています。しかし、このプランの契約率は約1割に過ぎません。有識者会議の報告書は、「契約時点で2年後の期間拘束契約の更新を約束させるのは問題」と指摘。2年を経過したら、利用者がいつでも解約できる選択肢が必要として、事業者に「期間拘束が自動更新しないプラン」を設けるよう求めました。
 欧州では、(1)24カ月を超える契約を結ばない(2)最長12カ月以内の契約も提示する――ことが既にルール化されています。こうした制度を参考に検討する必要があります。
 違約金の9500円についても、契約後間もなく他社に乗り換える場合と2年ごとの更新以降に乗り換える場合が同額であることが、利用者の不満も素となっています。有識者会議の報告書は欧米にならって、加入期間に応じて段階的に違約金の金額を下げる方法を検討するよう要請。入院や海外赴任の場合も、違約金の支払いをしないで解約できるようにすることを促しています。
 大手3社は総務省の要請を受け入れ、今後、契約時に利用者に対して丁寧に説明すべきです。また、メールや請求書による契約更新の告知情報に関しても、利用者が分かりやすいようもっと工夫すべきです。
 番号のポータビリティー(持ち運び)制度によって、利用者による携帯の乗り換えがしやすくなったように、「2年縛り」の見直しでサービス向上に努力すべきです。
 今回は解約における条件の緩和にとどまっていますが、これを契機に携帯会社の本丸である2年縛りの撤廃まで影響が及ぶ可能性が出てきました。その際には現行の料金水準は維持する必要があります。携帯会社はもちろん、ユーザーにとっては見逃せない議論です。