佐々木さやか参議院議員 平和安全法制の関連法案は現在、参院の特別委員会で審議が進められています。一部の各種世論調査によると、その内容や重要性について、国民の理解は徐々に深まっているようですが、まだまだ充分とは言えません。
 今回の関連法案は、<専守防衛の考え方は全く変わらない><国際法上、集団的自衛権の行使として認められる他国防衛のための武力行使を認めるものではない><あくまでも、わが国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置であり、国際情勢に対応し、日米安保体制の実効性を確かなものにするためのものである>。政府は、こうした説明を丁寧に、分かりやすく行い、理解を得る努力を続けなければなりません。
 野党の中に、議論を深めるどころか、「徴兵制の恐れ」「戦争法案」など、時代錯誤のレッテルを貼ることで、国民の不安をあおり、法案への攻撃を強める動きさえ見られるのは非常に残念です。
 かつての国連平和維持活動(PKO)協力法をめぐる審議でも、当時の社会党や共産党は「子どもたちを戦場に送るな」「海外派兵だ」と叫び、同調するマスコミも多くありました。しかし、今では自衛隊の活動は高く評価され、的外れの批判だったことが実証されています。
 一部野党の自衛隊や日米安保体制に対する基本姿勢は当時と変わらないようです。日米安保体制の解消や、自衛隊を憲法違反だとして弱体化したり、解散をめざす政党もあります。当然のように、国会審議で自衛隊による国際貢献や、日米同盟の深化などにはことごとく反対しています。これでは自衛隊の役割や新たな展開について議論に至るはずがはありません。
自国防衛でない武力行使するには「憲法改正が必要」、安倍首相が明言
 こうした中、8月21日の参院平和安全法制特別委員会での、公明党の佐々木さやか参議院議員の質問は出色でした。
 佐々木議員は冒頭、「女性は自分の子ども、家族のことを思うと、戦争は絶対に嫌だという気持ちが強いが、今回の(平和安全法制関連)法案は国民の平和と安全を守るためのものだ」として、「他国の戦争に巻き込まれるものではないことを説明してほしい」と、若い女性の立場から安倍首相に説明を求めました。
 安倍首相は、平和安全法制の整備は日米同盟を完全に機能させて戦争を未然に防ぐためのものであり、「他国の起こした戦争に日本がずるずると巻き込まれることは決してない」と答えました。
 また佐々木議員は、平和安全法制について、もっぱら他国防衛のための集団的自衛権の行使を禁じたこれまでの政府の憲法解釈と論理的整合性が維持され、法的安定性が保たれることの重要性を訴えました。
 その上で、自衛の措置として自衛隊に認められる武力行使は「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態に対処する場合」に限られるという昭和47年(1972年)見解の根幹部分を取り上げ、「この基本的な論理は、憲法9条の下では今後とも維持されなければならない」と主張しました。
 安倍首相は、「今回の憲法解釈を超えて集団的自衛権の行使一般を認める場合には憲法改正が必要となる。憲法解釈が広がっていくことはあり得ない」と強調、昨年7月1日の閣議決定は憲法9条が許容する自衛の措置の限界を示したものであると、あらためて明言しました。

国際協力で女性の活躍支援を
 一方、佐々木議員は「自衛隊の国連平和維持活動(PKO)への貢献は世界から高く評価されており、女性自衛官の活躍も注目される」とし、海外に派遣された女性自衛官の活躍状況について確認。「国際協力分野での女性の活躍をさらに支援すべき」と力説しました。
 石川博崇防衛大臣政務官は、これまで約520人の女性自衛官が海外に派遣され、このうちPKOへの派遣は約130人になると報告。医療、広報、国連との調整などの分野で女性自衛官としての視点を生かして活躍をしていると述べ、「これまでの派遣で得た教訓や経験も踏まえつつ、今後、女性自衛官のさらなる活躍を進める中で国際協力分野での取り組みも充実させたい」と語りました。
 安倍首相も「国際協力分野における女性の活躍が不可欠」とし、人材育成に取り組む考えを示しました。
 さらに、佐々木議員は、時の総理や政府の恣意的な判断で自衛隊が海外に派遣されるのではとの懸念に対して見解をただしました。
 安倍首相は、公明党の強い主張で国際平和支援法は国会の例外なき事前承認が必要になったと説明。その他の自衛隊の活動についても、政府として可能な限り国会の事前承認を追究していくと答えました。