アーツ千代田3331
芸術家や建築家からアイデアを募集し、廃校舎や旧庁舎などの有効活用によって地域のにぎわいの拠点を創出
 総務省は、地方創生の新たな取組の一つとして、自治体の公共施設の活用策を募っています。
 自治体の公共施設を改修して民間開放する「オープン・リノベーション(改修)」と呼ばれる取り組みです。専用サイトに登録された約90の公共施設を対象に、クリエイター(制作者)や建築家などから公共施設の再生に向けた提案を、8月31日まで募集しました。優れた提案を5〜10プロジェクト選定し、総務省が事業費を支援することにしています。
 過疎化や少子高齢化に伴い、廃校舎や閉鎖した保育所などが増えています。市町村合併によって使われなくなった庁舎も多く、維持だけでも多くの費用が掛かっています。
 総務省の調査によれば、利用は可能だが、具体的な活用策が見つからない公共施設は全国で約1200施設もあり、大きな課題となっています。
 そこで、若手のクリエイターの知恵や技術を借りて、地域の人々がにぎわう拠点を創出しようというのが、今回の取り組みです。施設の改修も行うことで老朽化対策にもつながることが期待されています。
 総務省は、さまざまな改修のイメージを想定しています。例えば、学校の廃校舎を市民団体に貸し出し、芸術・文化活動の拠点とすることも考えられます。
 施設の空きスペースなどを一部活用する手法でも構いません。美術館の休憩室や通路を活用し、ブランド品を販売する店舗を設けたりすることも一案です。
 井手よしひろ県議は、こうした公共施設のリにベーションの現場を、この3月に視察しました。東京都千代田区の廃校を活用した文化施設「アーツ千代田3331」です。施設の中にはアートギャラリーやカフェなどがあり、地域の文化活動の拠点となっています。昨年度は60万人以上の利用者がありました。
 京都府の公営団地である堀川団地でも、老朽化や耐震の問題から再生事業が進められています。団地の一部を改修して交流イベントを提供できる場所を設けたり、芸術家らを入居対象にした部屋を用意し、地域活性化に役立っています。