マイナンバースタート総務省ポスター 来年(2016年)1月から運用が始まる社会保障と税の共通番号・マイナンバーの利用範囲を広げる改正マイナンバー法と、改正個人情報保護法が、9月3日の衆院本会議で、与党や民主党などの賛成多数で成立しました。10月5日からは、日本国内に住民票がある全ての人に番号通知が始まります。
 マイナンバーとは、赤ちゃんから高齢者まで日本に住民票がある全ての人に割り当てられる12桁の個人番号です。所得や年金などに関する情報とは、所管する行政機関が異なります。これらの情報を12桁の番号で管理するのがマイナンバー制度です。
 10月以降、マイナンバーの「通知カード」が住民票に記載された世帯ごとに簡易書留で届けられます。同封されている申請書を送るなどすれば、来年1月以降、公的な身分証明書として利用できる「個人番号カード」(顔写真付きICカード)を無料で受け取ることができます。ただし、受け取りには、ご本人が市区町村の窓口に出向く必要があります(再発行の場合は500円)。

◎マイナンバー導入の目的は…
 マイナンバー制度の導入の目的は、公平・公正な社会、利便性の向上など、きめ細かな社会保障が的確に行われる社会を実現するためです。
 具体的には、年金、医療、介護、生活保護、児童手当などの社会保障や税の手続き、被災者台帳の作成といった災害対策の3分野の行政手続きで利用します。マイナンバーの活用により、所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなるため、本当に困っている人へのきめ細かな支援が可能になります。その一方、脱税や生活保護などの不正受給の防止にも役立ちます。
 また、年金や福祉などの申請時に用意しなければならない書類が減るなど、行政手続きが簡素化され国民の利便性も向上します。
 戸籍や旅券の取得、自動車登録などへの利用も議論されています。なお、年金機構とマイナンバーの接続は、年金機構の情報漏洩の不祥事により、一定期間延期されることになりました。
◎個人情報の漏えいを懸念する声もあるが…
 まず個人番号カードには、プライバシー性の高い情報は記録されません。そして、政府はサイバー攻撃などから個人情報を保護するため、さまざまな対策を講じています。
 例えば、税の情報は税務署、児童手当や生活保護などの情報は市区町村というように個人情報を分散管理することで、芋づる式の情報漏えいを防いでいます。また、役所間で情報を照会する場合は、マイナンバーを直接使いません。
 2017年からは個人情報について不正な照会、提供が行われていないかを自分で確認できるシステム(マイナポータル)も稼働する予定です。

◎公明党、個人情報保護や情報弱者に配慮
 マイナンバーの利活用と個人情報保護は車の両輪です。このため、マイナンバーや個人情報の取り扱いを監視・監督する独立性の高い第三者機関「個人情報保護委員会」の設置を推進しました。また、サイバーセキュリティ基本法を成立させ、国の行政機関などのセキュリティー向上も進めています。
 一方、高齢者や障がい者などの情報弱者への配慮も一貫して主張してきました。その結果、DV(配偶者などからの暴力)やストーカーなどの被害者、東日本大震災の被災者、一人暮らしで医療機関に長期入院・入所している患者など、やむを得ない理由でマイナンバーの通知を住民票のある住所地で受け取れない人が避難先などでも受け取れるようにしました(なお、申請は9月25日までです)。